百貨店跡地に、まちの新しい中心を立ち上げる。
宮崎県都城市の中心市街地で、長く更地となっていた旧都城大丸跡地に、ホテル・スーパー・オフィス・レストランを束ねた七階建ての複合施設が立ち上がりました。基幹百貨店の閉店で求心力を失っていたまちの中心に、民間の事業性と公共の利便機能を結びつけて、新しい人の流れを生み出す——商工会議所が主導した受け皿会社と、まちづくり型ホテル運営の専門事業者を核に、構想・事業計画・関係者調整を重ねた中心市街地再生事業。弊社(株)アルファコンサルティングは、立地ポテンシャル分析、事業スキーム設計、参画事業者との調整、運営設計まで、長く事業を支援してまいりました。
01長く更地だった、まちの中心を引き受ける
都城市の中心市街地は、平成5年のナカムラデパート閉店、平成14年の寿屋都城店閉店、そして平成23年1月の都城大丸閉店と、長年まちの顔として親しまれてきた大型店舗が相次いで姿を消し、歩行者の通行量が大幅に減少する状況が続いていました。中心市街地の空洞化という、地方都市の多くが直面する構造的な課題が、この場所にも色濃く現れていました。
こうしたなか、平成24年9月、都城商工会議所の会員企業を中心に、都城大丸跡地の取得・活用を目的とした受け皿会社「株式会社ハートシティ都城」が設立されました。翌平成25年3月に同社が跡地を取得して以降、中心市街地中核施設整備事業として、公共と民間の二つの柱で再生を進める枠組みが整えられました。一方は、都城市が整備する図書館・子育て支援センター等を中核とする公共施設「Mallmall(まちなか)」。もう一方が、本案件である民間複合施設です。
ところが、民間部分は事業者の選定が二転三転し、長く更地のままとなっていました。2020年9月、ようやく民間施設の立地が正式に決定。同年9月2日の朝日新聞でも報じられたとおり、長く首を長くして待たれていたまちの新しい中心の姿が、ここに動き出すこととなりました。
02七階建てのなかに、複合機能を束ねる
中心市街地の中核となる施設には、多様な人の流れを呼び込む複合性が求められました。本案件で計画された建物は、地上七階建てのなかに日常の買い物、働く場、食事の場、そして滞在の場を一つに束ねる構造となりました。日常的にまちに通う動機(スーパー・オフィス)と、まちに滞在する動機(レストラン・ホテル)を重ねることで、一つの建物が時間帯を変えながら人の流れを生み出す——そんな設計思想が、フロアごとに具体化されました。
- 1F複数テナント方式のスーパーマーケット(地元の食材を扱う事業者が出店)
- 2F商工会議所を中心としたオフィステナント
- 3Fレストラン、バーベキューテラス
- 4F〜7Fホテル(運営:UDS株式会社/株主:小田急電鉄株式会社)
運営主体は、都城商工会議所会員企業が出資して設立した株式会社センター・シティ。ホテル運営を担うUDS株式会社は、まちづくりと一体になったホテルや宿泊施設の企画・設計・運営で全国に実績を持つ事業者です。地域の食材を扱うテナント、商工会議所オフィス、地域の人にも開かれた飲食機能、そして全国・地域外からも訪れる人を受け止めるホテル——複数の機能が一つの建物の中で支え合う設計が、本案件の独自性となりました。
本案件は、単独の収益施設の開発ではなく、まちの中心の構造そのものを再生する事業として位置づけられました。商工会議所主導の受け皿会社が事業性のある複合施設を立ち上げることで、公共投資だけでは実現困難な高付加価値施設の導入が可能となり、その建物が再び人の流れを呼び込んで、周辺の商店街・公共施設「Mallmall」と一体になった面的な再生が動き出します。中心市街地の空洞化という構造的課題に対する、一つの応答のかたちです。
03弊社が担った、構想から運営設計までの伴走
中心市街地の中核施設を生み出す仕事には、立地の分析、需要の読み解き、収支設計、出資負担の整理、参画事業者との調整、開業後の運営設計まで、多くの専門領域が交差します。弊社は本案件において、構想段階から運営設計の段階まで、長く一貫して伴走しました。
- 立地ポテンシャル分析 ― 中心市街地の現況、商圏、来街動機の整理
- 需要予測と採算性検証 ― 複数パターンの収益・リスクシミュレーション
- 事業スキーム設計 ― 公共と民間の役割分担、出資負担構造、運営方式の検討
- 参画事業者の誘致・調整支援 ― ホテル運営事業者・テナント事業者との接続、関係者折衝
- 運営設計のサポート ― 収益モデル、維持運営費の算定、利用計画(動線・商業レイアウト・時間帯戦略)
- ガバナンス体制の整理 ― 実施主体と運営者の責任範囲明確化、契約スキーム案の策定
中心市街地活性化は、行政だけでも、民間だけでも実現が難しい領域です。事業性を確保する民間の視点と、公共性を担保する行政の視点を、一つの事業計画のなかで両立させる——弊社は、これまでに多くの政府委託事業や官民連携案件、観光・宿泊施設の事業計画策定を手がけてきた経験を生かし、構想段階の発想から、参画事業者との接続、関係者の合意形成までを統合してご支援しました。
長く更地のままだったまちの中心に、複数の機能を束ねた複合施設が立ち上がり、公共施設「Mallmall」と隣り合うかたちで、中心市街地の新しい中核が形成されました。地方都市の中心市街地は、いまも全国で空洞化という共通の課題と向き合っていますが、本案件は、商工会議所主導の受け皿会社と、まちづくり型ホテル運営の専門事業者を核に据えることで、再生の一つの道筋を示した事例となりました。弊社は引き続き、地域の中心を引き受ける仕事に取り組んでまいります。
OVERVIEW事業の概要
| 事業名 | 都城市中心市街地中核施設整備支援事業(旧都城大丸跡地・民間施設立地支援) |
|---|---|
| 所在地 | 宮崎県都城市・中心市街地(旧都城大丸跡地) |
| 建物 | 地上七階建ての複合施設(ホテル・スーパー・オフィス・レストラン) |
| 受け皿会社 | 株式会社ハートシティ都城(都城商工会議所会員企業が中心となり設立) |
| 民間施設運営主体 | 株式会社センター・シティ(都城商工会議所主導) |
| ホテル運営事業者 | UDS株式会社(株主:小田急電鉄株式会社) |
| 民間施設立地決定 | 2020年9月(朝日新聞ほかで報道) |
| 関連公共施設 | Mallmall(まちなか)— 都城市が整備した図書館・子育て支援センター等の公共施設複合体 |
| 弊社の役割 | 立地ポテンシャル分析、需要予測、採算性検証、事業スキーム設計、参画事業者の誘致・調整支援、運営設計、ガバナンス体制整理 |
PROJECT中心市街地活性化・官民連携のご相談について
地方都市の中心市街地活性化、商工会議所や受け皿会社による民間複合施設の整備、行政と民間の役割分担を組み立てた地域再生事業——構想段階の立地分析から、事業スキーム設計、参画事業者の誘致・調整、運営設計まで、自治体・商工会議所・民間事業者の立場の違いを橋渡ししながら、一貫してご一緒できます。中心市街地の空洞化や、長く動かなかった事業を動かしていく仕事に、これまで多く取り組んでまいりました。
中心市街地活性化、官民連携、複合施設整備、地域再生事業のご支援を承っております。構想・調査・計画・調整・運営設計まで、自治体・民間事業者の双方の立場から一貫してご一緒します。
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