晴れの日を演出する仕事に、長く携わってきた会社の話です。
ある地方都市で複数の結婚式場を運営し、二百名を超える社員が働く、地域でも名の知れた企業でした。ところが感染症の拡大によって、ある時期には月の売上が前年同期比で九割近く落ち込む事態に陥ります。組単価も、参加人数の制限によって三百万円台から二百万円を割る水準まで沈みました。けれども、ここで安易な縮小に走ることはせず、経営者の方は私たちにこう言いました。「この会社が、本業の隣で食べていける構造を、一緒に設計してほしい」と。
立て直しの糸口は、新しい事業を始めることではありませんでした。鍵になったのは、自社がすでに持っている資源を、もう一度見直すことでした。市場を三つの層に分けて読み、強みを別の市場へ運び直す道筋を描く。競合のいない場所に身を置き、経営者の思いも含めて一枚の設計図にまとめる。この作業が、本業の隣に三つの新しい収益の柱を立てる足場になりました。
- 依頼者
- 地方都市で複数の結婚式場を運営する企業(地域・固有名は非開示)
- 施設規模
- 複数の独立型式場・二百名を超える社員を擁する中堅企業
- ご相談の背景
- 感染症拡大による婚礼・宴会の急減。あわせて、かねてより縮小が続く婚礼市場という構造的な逆風
- 業務内容
- マーケット分析/経営資源の換金ロジック設計/競合ポジショニング/事業計画への統合/資金調達計画の組み立て支援
- 当社の役割
- 三層のマーケット分析、強み→市場の換金マッピング、価格×体験価値の競合ポジション設計、思いを織り込んだ段階的収益設計、リスク想定と備えの設計
- 主な成果物
- 多角化の設計図(マーケット分析・換金マッピング・ポジショニング・収益計画を一枚に統合)/事業計画書/資金調達計画
- 到達点
- 本業の隣に三つの新規事業(体験型レストラン/大規模施設向けケータリング/自社商品のEC)を立ち上げる構造の確立
※ 守秘の観点から、地域・固有名・業態の細部は伏せ、数値は施設が特定されない範囲に調整しています。設計の方向性と比率の動きは、実際の取り組みに基づいています。
月次売上(対前年)
占める売上比率
経費率差(参入障壁)
営業黒字化時期
01.「戻る危機」と「戻らない危機」を見極める
本業が落ち込むと、多くの会社は嵐が過ぎるのを待とうとします。しかし、この会社の経営者は違いました。婚礼の市場は、少子化や価値観の変化によって、この二十年ほど縮小が続いてきた。感染症は、その下り坂を一気に早めたにすぎない。待っていても元の市場には戻らない、というのが経営者の見立てでした。当社がまず取り組んだのは、その見立てをデータで裏づけることです。
あわせて当社が丁寧に確かめたのは、この会社が何を守りたいのかでした。長い歴史のなかで大切にしてきた、品格と社会とのつながりを重んじる理念があります。かつての震災のときには、延期にかかる費用を会社が引き受けてでもお客様に寄り添い、ほとんどのキャンセルを防いだ。そうした自負もありました。さらに、いま働く二百名を超える社員の雇用や、長年支えてくれた地元の食材店・生花店との取引も守りたい。経営者はそう考えていました。
02.設計図① ─ マーケットを三層で読む
「飲食を始めよう」というだけでは、計画になりません。どの需要が、どこに、どれだけあるのか。それを確かめる必要があります。当社はマクロ・業態・商圏の三つの層に分けて、狙うべき需要の在りかを絞り込みました。
第一層 ─ マクロ:市場全体の方向を確かめる
外食の市場全体は、長期で拡大基調にあり、なかでもレストラン業態は底堅く推移してきました。まず「沈んでいく船ではない」ことを確認します。
第二層 ─ 業態:逆風下で伸びる需要を探す
注目したのは、ここです。感染症で外食全体が打撃を受けるなかでも、「記念日」を目的とした来店は、前年比で1割以上伸びていました。外出を控える時期だからこそ、誕生日や記念日といったハレの日には、身近な相手と特別な時間を過ごしたいと考える人が多い。ファストフードや居酒屋の客単価が下がる一方で、ディナーレストランの客単価は前年を上回って推移していました。この需要は、婚礼で特別な一日を演出してきたこの会社の強みと、よく重なります。進むべき方向は、ここにありました。
第三層 ─ 商圏:数字で需要量を推計する
方向が定まったら、出店候補エリアにその需要が「どれだけあるか」を推計します。この商圏は、近隣の他都市と比べて一世帯あたりの外食消費が全国平均の約1.9倍という、突出して外食に支出する土地でした。当社は、車で十分の一次商圏に住む約十四万世帯に、一世帯あたりの外食支出額を掛け合わせて、洋食外食市場をおよそ年間四十億円規模と見積もりました。さらに、隣接する大規模施設のケータリング需要については、想定来場者数(年間十数万人)に利用率二割と単価五千円を掛けて、年間およそ一億五千万円規模の市場と推計しています。
FIG.01
マーケットを三層で読み、需要を一点に絞り込む
市場全体(マクロ)→ 伸びる需要(業態)→ この商圏での需要量(ミクロ)と層を下りながら絞り込み、「記念日 × 高単価 × この商圏」という取りに行くべき需要を特定しました。
※写真はイメージです。
03.設計図② ─ 資源を「換金ロジック」に変える
需要の在りかが定まれば、次は「自社の何で、その需要に応えるか」です。当社は、建物・料理・人材・サービス・仕入れ・人脈といった資源を、「余力があるか」「他社より強いか」の二つの観点で一つずつ評価しました。ただし、棚卸しはそこで終わりではありません。重要なのは、その強みが、どの市場で収益に変わるのかという点です。
| この会社の強み | 運び直す先と、収益化の道筋 |
|---|---|
| 大量・同時に高品質な料理を出す厨房能力 | 大規模施設のケータリング。競合の小規模厨房では応えられない需要を独占できる |
| 晴れの日を演出するノウハウ | 体験型レストランのライブ感。記念日需要に直結する |
| 生産者直接・一括の仕入れネットワーク | 原価率を競合より低く保ち、手頃な価格でも採算が合う |
| 平日に稼働していない厨房 | セントラルキッチン化し、眠っていた時間を収益に変える |
| 引き出物への高い評価 | ECで全国へ。式後のお客様を生涯顧客に変える |
この組み立てには、経営上の重要な意味があります。これらの資源をそのまま使えるため、同じ事業を他社が一から立ち上げる場合に比べ、経費率をおよそ18%低く抑えられるという試算になりました。これはコストの優位というだけの話ではありません。同じ事業を他社が新たに始めても、高コストで採算が合いにくいということです。結果として、この会社にとっての参入障壁になります。自社にしか割に合わない事業を選ぶ。これが、多角化を成功させる勘どころでした。
こうして、三つの柱が「強みの運び先」として形をとりました。
PILLAR 01 ─ 体験型レストラン
人の集まる大型の拠点施設に、異国の食文化をテーマにした体験型レストランを出店。料理人が目の前で仕上げるライブ感で、記念日需要に応えます。
PILLAR 02 ─ 大規模施設向けケータリング
隣接する数千人規模のホールへ、セントラルキッチンから料理を届ける。平日に眠っていた厨房を、収益を生む装置に変えました。
PILLAR 03 ─ 自社商品のEC
料理長監修の品や地元食材を全国へ。式を挙げたお客様との一度きりのご縁を、生涯のお付き合いへと広げます。
三本柱を貫く設計思想
いずれも、ゼロから始める競合には真似できない既存資源の上に立つ事業です。「自社にしか割に合わない」場所に陣を張りました。
※写真はイメージです。
04.設計図③ ─ 競合の弱みに、自社を置く
良い需要があるところには、必ず競合がいます。勝てるのは、競合がそろって手薄にしている空白の領域です。そこに自社を置けるよう、価格と体験価値の二つの軸で陣地を設計しました。
出店候補エリアの競合店を一軒ずつ調べると、共通の傾向が見えてきました。ディナーの中心価格は一万五千円から二万円と高く、限られた客層だけを相手にしている。個室は狭く、大人数には対応できない。多くが郊外型で、車がないと行きにくい。予約も電話が中心です。これらはそのまま、競合がそろって満たせていない条件でもありました。
そこで当社は、自社の立ち位置をディナー一万円前後 × 高い体験価値と大量対応力という領域に定めました。競合より手頃な価格で出せるのは、設計図②で示した仕入れの強みがあり、新たに土地を取得せず初期投資を抑えられるからです。そこに、婚礼で培ったライブ感と大量対応力、駅前という立地、予約のしやすさを重ねます。競合が一店もいない場所に陣を構えました。
FIG.02
競合ポジショニング ─ 空白地帯に陣を張る
競合は「高価格・少人数・予約しにくい」一帯に集中していました。その対極にある「手頃な価格 × 体験価値 × 大量対応 × 駅前 × 予約しやすさ」の空白地帯に、自社を置きます。
もう一つ、設計で慎重に避けた落とし穴があります。結婚式の会社が飲食へ進むとき、料理人を掛け持ちさせれば人件費が浮くように思えます。けれど、ご相談を受けてきたなかで、この「相性の良さ」が裏目に出る場面を、私は何度も見てきました。
| 典型的な期待 | 実際に起きること |
|---|---|
| 料理人を新旧事業で掛け持ちさせれば人件費が浮く | 仕込みと提供のタイミングが重なり、結局は余分に人を抱え込む |
| 既存厨房と新店舗で食器・食材を共用すれば原価が下がる | 運搬距離が長いと、運搬コストと時間が削減効果を上回ってしまう |
| サービススタッフを兼務させれば教育コストが浮く | シフトの硬直化で、繁忙の波に対応しきれなくなる |
だからこそ、相乗効果を曖昧な期待のままにせず、「誰が、いつ、どの持ち場に立つのか」というシフトのレベルまで落とし込んで確かめます。この事業では、仕込みを一カ所に集めるセントラルキッチン化と、運搬距離を最小限にする立地の選び方で、この落とし穴をあらかじめ避けました。
05.設計図④ ─ 思いと数字を、一枚に統合する
需要・資源・競合の分析を、最後に一つの収益計画へまとめます。このとき、第1章で受け止めた「守りたいもの」が、計画の前提として効いてきました。単に書類を作るのと、計画を設計するのとでは、ここが大きく違います。
三つの柱を同時に立ち上げるのは現実的ではありません。そこで、初年度は立ち上げに集中し、段階的に売上を積み上げて、3期目に新規事業全体での営業黒字化を目指し、5年後には新規事業が全社売上の約15%を占めるという時間軸で収益を設計しました。客数と単価、原価率、人件費を一つずつ積み上げ、いつ・どれだけの利益が出るのかを、月次のレベルまで描いていきます。結果として、付加価値額は5年で年率約47%の伸びを見込む計画にまとまりました。本業の婚礼を立て直しながら、その隣に新しい収益の柱を着実に積み上げていく進め方です。
FIG.03
段階的収益設計 ─ 既存事業の回復と、新規三本柱の積み上げ(概念図)
既存事業を回復させながら、新規事業を段階的に積み上げる構造。3期目に新規事業の営業黒字化、5年後に新規事業が全社売上の約15%を占める計画にまとめました。縦軸は方向性のみを示しています。
第1章で受け止めた「雇用を守る」「地元との取引を続ける」という思いも、計画の前提に組み込みました。婚礼のスタッフが新規事業の接客や調理も担う仕組みにすることで、人を減らさずに固定費を吸収できます。地元からの仕入れは、むしろ新規事業で増やしました。数字の都合で思いを切り捨てるのではなく、思いを満たしたまま成り立つ数字を探す。これが、この設計でいちばん難しく、いちばん価値のある部分でした。
さらに、需要の見込み違い、運営経費の上昇、資金繰り、災害時の事業継続といったリスクを事前に洗い出し、それぞれに備えを用意しました。うまくいく前提だけでなく、つまずいたときにどう立て直すかまで描いておきます。そこまでして、計画は机上のものから実行できるものに変わります。本業が大きく落ち込んだあとの再投資ですから、自己資金や借入だけでは初期投資をまかないきれません。そこで、当時利用できた公的支援も、資金面の制約を解く手段の一つとして計画に組み込みました。ただし、これはあくまで計画を前に進めるための手段にすぎず、計画の骨格は「自社の資源で採算が合う構造」のほうにあります。
※写真はイメージです。
06.設計図が一枚にまとまったとき、変わったもの
これらの要素が一つの計画にまとまると、経営の見え方が変わりました。それまでは「何から手をつければよいか分からない」状態だったものが、「何を、いつ、どの順番で動かせばよいか」が見える状態になったのです。
設計図ができたあと、月次の経営会議で参照される資料が変わりました。これまで決算書の数字を眺めるだけだった時間が、三本柱それぞれの進捗、計画との差異、見えてきたリスクをどう手当てするかを議論する時間へと組み替わったのです。経営者の方が下す判断も、感覚や経験だけに拠るものから、設計図の数字と前提に照らした判断へと、土台が確かなものになっていきました。
もう一つ、大きな変化がありました。金融機関との会話の質です。それまでは「コロナで売上が落ちた、なんとか持ちこたえている」という後ろ向きの話に終始していた面談が、計画ができたあとは「本業の隣に、こういう収益の柱を、この時間軸で立ち上げます」という前向きな話で進むようになりました。同じ会社、同じ財務状況でも、外部に説明できる構造があるかどうかで、相手の受け止め方は大きく変わります。多くの会社が見落としがちな点です。
本業の婚礼そのものにも、よい影響がありました。多角化を設計する過程で自社の強みを言葉にし、競合のなかでの位置を見直したことで、本業の打ち手も明確になっていきました。多角化を考える作業は、本業を見直すよい機会にもなります。これは、当社がさまざまな会社で繰り返し見てきたことです。
07.この設計が、その会社に残したもの
数字の改善以上に大きかったのは、会社の内側に「自分たちで新しい収益を作れる」という手応えが戻ったことでした。設計図ができたことで、何をいつ判断するか、どの数字を月次で見ていくか、リスクが現れたら誰がどう動くかが、はっきりしました。多角化は当社の手を離れても続く性質のものになります。残せたものを、四つの側面から整理します。
本業の隣に、収益の柱を
マーケット分析・資源の換金設計・競合ポジションを噛み合わせ、本業の婚礼を立て直しながら、その隣に三つの新しい収益源を立ち上げる構造を作りました。
強みを守ったまま
長年磨いてきた料理力と演出力を捨てるのではなく、別の市場へ運び直しました。雇用も、地元との取引も維持したまま、新しい事業を成立させる設計です。
判断の物差し
需要をどう読み、強みをどこに置き、競合の何を避けるか。その判断軸が、共有の財産として残りました。次の新規事業や投資判断にもそのまま使える設計の型です。
次の一手の足場
三本柱の段階的な収益設計が完成したことで、設備投資・人員配置・追加の事業展開を、選択肢として比較検討できる状態になりました。
本件の本当の意義は、新規事業を立ち上げたこと自体ではありません。本業が構造的に縮んでいくという長期の逆風を見据えたうえで、自社の強みが活きる別の市場を選び抜き、そこへ運び直す。その設計の型を、この会社が手にしたことです。これが、これからの経営判断の足場になります。派手さはありませんが、重要な変化だったと考えています。
※写真はイメージです。
─── ある結婚式場の話、として読まれているかもしれません。けれども
この記事をお読みになりながら、ご自身の会社や、引き継いだ事業の現状と重ねた方も少なくないと思います。本業の市場が長く縮んでいる。新規事業を考えたいが、何から手をつければよいか分からない。構想はあるが、数字として成り立つか確信が持てない。いずれも、構造を一つずつ分解してみないと、答えの見当がつきにくい課題です。
当社は、本件のような多角化・新規事業開発の設計だけでなく、経営改善や収益構造の見直し、事業計画の策定、リノベーション計画、早い段階での事業再生まで、観光・宿泊・サービス業の課題を幅広くお手伝いしています。次の章では、この記事をお読みの読者層ごとに、どのようなご相談があり、当社がどう関わってきたかを整理します。
08.こんなご相談を、これまで頂戴してきました
本記事のような多角化・新規事業開発のご相談は、立場の異なるさまざまな方からお預かりしています。代表的な五つの立場と、よく頂戴するご相談の輪郭を、参考までに整理しておきます。
本業の市場縮小に直面している経営者の方
業界そのものが長期で縮んでいる。本業を守りながら、本業の隣にもう一つの収益の柱を立てたい。何から考え始めればよいのか。
マーケットの三層分析から入り、自社の経営資源を換金ロジックに置き換え、競合の空白地帯を見極め、思いと数字を一枚の設計図に統合します。流行りの業態を勧めるのではなく、自社の強みが最も活きる事業の方向性をご一緒に絞り込みます。
受け継いだ事業の、次の一手に迷う経営者の方
先代から継いだ事業の先行きに不安がある。守るべきものと、変えるべきものの境目を、第三者の目で整理してほしい。
経営判断ほど、身内には相談しにくいものです。特定の業者と利害関係を持たない第三者として、自社が何を持っていて、それがどの市場でお金に変わるのかを丁寧に棚卸しし、判断の物差しを整える形でお手伝いします。
新規事業の構想はあるが、成否を見極めたい方
やりたいことはある。けれど、需要は本当にあるのか、数字として成り立つのかを客観的に確かめてから動きたい。
商圏需要を金額で推計し、客数・単価・原価・人件費を積み上げた収支シミュレーション、競合分析、リスク想定までを一冊の事業計画書にまとめます。「需要がある気がする」を「数字で語れる需要」に変えるところまでご一緒します。
守りたいものを、犠牲にしたくない方
従業員の雇用、地元との取引、受け継いだ理念。それらを守ったまま成り立つ事業の形を、一緒に探したい。
「守りたいもの」を計画の制約条件として最初に組み込み、それを満たしたまま黒字化できる構造を設計します。数字の都合で思いを切り捨てるのではなく、思いを満たしたまま成り立つ数字の組み方を一緒に探します。
受け継いだ施設・不動産の活用に悩む方
宿や施設だけでなく、飲食・物販・不動産活用まで含めて、資産の可能性を広く検討したい。
現状診断、選択肢の棚卸し、各選択肢の事業性評価を整理します。観光・宿泊だけでなく、飲食・サービス業まで含めた事業構造の読み解きができる立場から、意思決定の前提を揃えるお手伝いをします。
もし以上のいずれかが、ご自身や所属組織の現在の状況に近いと感じられましたら、次の章でご紹介する業務メニューも参考にしていただけるかもしれません。
09.多角化を設計する仕事の核心
本業務を通じて当社が用いている、多角化の設計の型は、次のように整理できます。観光・宿泊・サービス業の業態を問わず、本業の隣に新しい収益の柱を立てたいご相談に対して、繰り返し用いている五段階のプロセスです。
経営者の理念、雇用、取引先、これまで築いてきた信用。これらを「数字の都合で切り捨てるもの」ではなく、「計画の前提として組み込むもの」として最初に位置づけます。
マクロ・業態・商圏の三層に分け、「沈まない市場」「逆風下でも伸びる需要」「この商圏での需要量」を順に確かめます。「金額で語れる需要」を特定するまで、層を下りていきます。
余力と強みの二軸で資源を棚卸ししたうえで、「その強みがどの市場でお金に変わるか」の道筋を一本ずつ描きます。「自社にしか割に合わない事業」を選ぶことが、参入障壁になります。
価格と体験価値・対応力の二軸で競合をマッピングし、競合が手薄にしている空白地帯を特定します。多角化の落とし穴(シフトの硬直化・運搬コスト)は、設計の段階で構造的に避けます。
段階的な収益シミュレーション、雇用・取引先を維持する仕組み、リスク想定と備えまでを一冊にまとめます。机上の計画で終わらせず、実行できる設計図にまとめ上げる工程です。
この進め方の核心は、奇抜な打ち手ではありません。自社が持っているものを正しく見極め、それが最も活きる場所へ運び直す。突き詰めれば、そこに行き着くと考えています。当社は、このために多角化のご支援をお引き受けしています。
10.ご相談いただける業務メニュー
当社が観光・宿泊・サービス業向けに提供している業務のうち、本記事のテーマに関わるものを、ご相談の進め方の見当がつくよう整理しました。「自分の状況なら、どこからご相談できるか」をイメージしていただくための、ごく簡易な見取り図です。
いずれも、案件の規模・状況・緊急度によって関与の形を柔軟に調整しています。「自分の場合はどのメニューに当てはまるか分からない」「複数にまたがっている気がする」というご相談も多く頂戴しており、その整理自体を初回相談でお手伝いしています。
※ 当社は特定の金融機関・運営会社・建設会社と利害関係を持たない、独立した立場の専門家です。いずれの工程でも、依頼者の利益を最優先に、中立的な第三者として関与します。
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事業計画の作り方、業績不振の打ち手、業態別の利益率、リノベーション計画など、本記事の前後で参照される実務記事をご用意しています。お問い合わせの前に、当社の関心や視点を確認いただくのにご活用ください。
新規事業の多くが失敗するのは、自社にない強みで勝負しようとするからです。流行を追っても、その分野の人材もノウハウも仕入れの伝手も自社にはありません。逆に、自社にしか持てない強みで戦える場所を選べば、競争はずっと有利になります。多角化の設計とは、需要のある場所を見つけ、自社の強みがどこで利益に変わるかを見極め、競合の空白に身を置き、それらを経営者の思いも含めて一つの計画にまとめる仕事です。大切なのは、書類を整えることではなく、設計図を描くことです。それが、本業の隣にもう一つの収益の柱を立てる仕事だと考えています。
株式会社アルファコンサルティング 代表 青木康弘構想を、現実のかたちへ。
初回相談(60〜90分・無料・オンライン可)では、お手元の状況や課題を整理し、当社がどう関与できるかをその場でご一緒に考えます。特定の業務に絞った形ではなく、本記事のテーマに沿うご相談であれば、次のような論点を扱うことができます。
- 本業の構造的縮小に対する見立てと、多角化の必要性の整理
- 自社資源の棚卸しと、活かせる市場の方向感のすり合わせ
- 類似案件の参考事例・想定スキームのラフなご紹介
- 次のアクション(マーケット分析・事業計画策定等)へ進むうえでの優先順位の整理
ご相談の際に、決算書・試算表・既存の事業構想メモなど、お手元の資料を共有いただけると、初回相談の密度が高まります。まだ何もない段階でのご相談も歓迎しております。
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