天竜舟下り 事業承継の支援事例|信南交通からDMO(南信州観光公社)へのM&A
全国1位の人気事業を、地域の手で未来へ
全国の川下りで人気1位に選ばれた「天竜舟下り」。その運営元が、新型コロナの影響で撤退を表明しました。人気の事業を、雇用を、地域の宝を、どう守るか——出された答えは、地域の観光地域づくり法人(DMO)が引き継ぐという、前例の少ない選択でした。弊社(株)アルファコンサルティングは、この事業承継をM&Aアドバイザーとして支援しました。撤退ではなく、継続と発展のための引継ぎ。その舞台裏をご紹介します。
ランキング(2020年)
地域での事業継続へ
直接、事業を引継ぎ
この記事の目次
事業の概要
| 対象事業 | 天竜舟下り事業(長野県飯田市) |
|---|---|
| 譲渡元 | 信南交通株式会社(大手バス会社) |
| 承継先 | 株式会社南信州観光公社(観光地域づくり法人・DMO) |
| スキーム | 分社型分割による事業承継 |
| 弊社の役割 | M&Aアドバイザー(実行支援・スキーム構築・事業価値評価・契約書等の作成支援ほか) |
CASE 01何が起きたか ― 人気事業が直面した撤退の危機
天竜舟下りは、天竜川の渓谷をゆく舟旅として長く親しまれ、2020年には全国の川下り・ライン下りランキングで1位に選ばれるほど人気を集めていました。長野県を代表するアクティビティのひとつです。
その運営を担っていたのが、地元の大手バス会社・信南交通でした。ところが新型コロナウイルスの影響で観光需要が急減し、業績の悪化から、同社は天竜舟下り事業からの撤退を表明します。人気の事業であっても、本業の経営判断のなかでは続けられない——観光業が広く直面した、厳しい現実でした。
ここで問われたのは、ひとつの事業の存続だけではありません。舟下りで働く人たちの雇用、舟頭の技と経験、そして天竜峡という地域の観光資源そのものを、これからどう守っていくか。事業の灯を消さずに次へつなぐ方法はないか——そこから、承継の検討が始まりました。

CASE 02なぜ「地域での承継」だったのか
事業をやめる、手放すというと、後ろ向きの決断のように聞こえるかもしれません。しかし私は、第三者への承継を、必ずしもそうは考えていません。しっかりとした引継ぎ手に事業を託せば、事業は継続し、地元との関係も、そこで働く人の雇用も守られます。「売却=撤退」ではなく、「継続と発展のための引継ぎ」として前向きにとらえることができるのです。
大切なのは、誰に託すかです。買い手と売り手だけでなく、地域の観光全体にとってプラスとなる承継であることが望ましい。第三者に譲ったことがきっかけで、地域の他の事業者やお客様に迷惑がかかってしまっては、本末転倒だからです。
その点で、今回の承継先は理にかなっていました。引き継いだのは、地域の観光をつくる役割を担う観光地域づくり法人(DMO)である南信州観光公社です。DMOが、地域の観光事業の再生に直接取り組む。営利だけを目的とした遠方の買い手ではなく、地域そのものが事業を引き受けるかたちは、雇用も、舟下りの技術も、天竜峡というブランドも、地域のなかで守り育てていける構図です。前例の少ない、しかし観光再生の一つのモデルになりうる選択でした。当時、地元各紙でも事業承継が報じられています。
CASE 03アルファコンサルティングが担ったこと
弊社は、この事業承継のM&Aアドバイザーとして、譲渡の全体設計から実行までをお手伝いしました。M&Aは、当事者だけで進めるには論点が多く、価格の妥当性や契約条件、税務・法務など、専門的な検討を要する場面が連続します。弊社は、依頼者の立場に立って、その一つひとつを実務のかたちに落とし込みました。
- M&A全体の実行支援 ― 譲渡の全体設計から実行まで、進行を取りまとめ
- M&Aスキームの構築 ― 分社型分割による承継スキームの設計
- 事業価値の評価 ― 引き継ぐ事業の価値を、根拠をもって算定
- 財務デューデリジェンス ― 財務面の実態調査と論点整理
- 契約書等の作成支援 ― 譲渡契約をはじめ必要書類の整備
- 税務・法務アドバイザリー ― 連携する税理士事務所・弁護士事務所と協働
M&Aで特に重要になるのが、譲渡価格と契約条件です。事業の価値には不動産のような明確な相場がなく、立場によって妥当と考える価格も異なります。だからこそ、価値を客観的な根拠から評価し、契約条件を一つずつ詰めていくことが欠かせません。雇用の継続、取引の引継ぎ、支払いの条件——曖昧にしたまま進めれば、引継ぎ後のトラブルにつながりかねないからです。
弊社は、特定の金融機関やオペレーター、建設会社などと利害関係を持たない独立した立場です。だからこそ、取引を成立させること自体を目的にせず、依頼者の利益と、地域にとってよい承継のかたちを第一に考えて動くことができます。
CASE 04この事例から見える、事業承継の着眼点
後継者の不在や本業の事情で、事業の先行きを考える場面は、観光業の多くの経営者がいつか向き合うテーマです。今回の天竜舟下りの事例から、承継を考えるうえでの着眼点を整理しておきます。
- 「やめる」ではなく「つなぐ」と考える
- 撤退や売却は、後ろ向きの決断とは限りません。よい引継ぎ手に託せば、事業も雇用も地域との関係も守られます。継続と発展のための引継ぎという視点を持つことが出発点です。
- 誰に託すかを、地域ごと考える
- 買い手と売り手だけでなく、地域の観光全体にとってよい承継かどうかが大切です。今回のように地域の担い手(DMO)が引き継ぐ形は、地域資源を地域で守る一つのモデルになります。
- 価値は、客観的な根拠から評価する
- 事業の価値には明確な相場がなく、立場によって主張も異なります。将来の収益や必要な投資を踏まえ、根拠をもって価値を見極めることが、納得のいく承継につながります。
- 条件は、曖昧にせず一つずつ詰める
- 雇用の継続、取引の引継ぎ、支払いの条件など、契約の詰めを曖昧にすると引継ぎ後のトラブルのもとになります。早い段階から専門家とともに整理しておくことが安心につながります。
Q & A事業承継・M&Aを検討する方からよくある質問
CONTACT事業承継・M&Aのご相談について
天竜舟下りの事例は、撤退の危機にあった人気事業を、地域の手で未来へつないだ事業承継です。後継者のことや、本業との兼ね合い、事業の先行き——いつか向き合うことになるテーマについて、選択肢を早めに知っておくことは、施設の価値を守るうえで欠かせません。
描いた構想を、
ともに、かたちに。
こうしたい、こう変えたい——経営者が描いた構想を、ともにかたちにしていくのが弊社の役割です。数多くの経営に寄り添ってきた立場から、依頼者の望むかたちを、いちばんに考えます。
初回無料相談を申し込む初回相談無料 ・ 秘密厳守 ・ 全国対応

