債務超過の老舗旅館を黒字化|原価率の見直しによる収益構造の再生事例

地元の宴席に支えられてきた宿。それが、その旅館の長年の姿でした。

創業から半世紀あまり。歓送迎会や祝いの席、団体の宴会といった地元の集まりを引き受けることで、長く愛されてきた温泉旅館です。けれども、ご相談をいただいた時点で、その得意としてきた宴会こそが、収益をもっとも重く圧迫する原因になっていました。決算書は債務超過。手元の資金は細り、先代から受け継いだ宿を、これからどう立て直せばよいのか──。

結論から申し上げます。再生の鍵は、新しい建物への大きな投資でも、安売りでもありませんでした。強みだと信じてきたものの輪郭を、もう一度引き直すこと。原価の見直しから始まったその作業が、債務超過の宿を、自己資本のプラスへと静かに反転させていきます。

夜の温泉旅館の佇まい(イメージ)
地元の宴席に支えられ、長く愛されてきた老舗の温泉旅館。その得意分野こそが、いつしか収益を圧迫する原因になっていました。
※写真はイメージです。事例の施設とは関係ありません。
OVERVIEW
依頼者
創業半世紀超の老舗温泉旅館(全国の温泉地・地域非開示)
施設規模
客室35室前後・年商3億円規模の中規模旅館
ご相談の背景
実質債務超過・営業赤字。宴会を強みとしながら、収益が残らない構造
業務内容
収益構造の診断/経営改善計画の策定支援/原価・料金・人員配置の見直し設計/実行段階の伴走
当社の役割
部門別の損益分解、料飲材料費率の改善設計、料金体系の再設計、シフト最適化と外注見直しの設計、月次のアクションプラン管理への伴走
主な成果物
経営改善計画書/改善施策一覧/月次アクションプラン管理表/料金カレンダー・原価管理の仕組み
到達点
営業損益の黒字転換、減価償却前利益の確保、帳簿上の自己資本のプラス転換

※ 守秘の観点から、地域・固有名は伏せ、数値は施設が特定されない範囲に調整しています。改善の方向性と比率の動きは、実際の取り組みに基づいています。

21.6%改善前の料飲材料費率
(業界指標を大きく超過)
47.5%改善前の客室稼働率
(同地域平均を下回る)
9項目月次で回した
改善アクション
+債務超過から
自己資本プラスへ転換

01.「得意の宴会」が、いつのまにか重荷になっていた

ご相談をいただいたとき、決算書はすでに実質的な債務超過に陥っていました。営業損益は赤字。観光地の知名度には恵まれ、地元の宴会需要にも一定の固定客を抱えているにもかかわらず、年間を通して利益が手元に残らない。先代から受け継いだ宿を預かる経営者の方が、もっとも気にされていたのは「どこから手をつければよいのか分からない」という点でした。

面白いことに、業績の悪い旅館ほど、決算書の売上総利益率(粗利率)は高く見えることがあります。この宿もそうでした。粗利率だけを取り出せば、業界の指標を上回っている。一見すると健全です。しかし、その数字の裏側を一枚ずつめくっていくと、まったく逆の風景が見えてきました。

当社がまず行ったのは、決算書を会社全体で眺めるのをやめて、部門ごとに損益を分解することでした。宿泊、料飲、宴会、売店──売上の出どころと、それぞれにかかる原価を、別々の物差しで測り直す。この地味な作業のなかに、再生の出発点が隠れていました。

結論を先に申し上げれば、この宿の本当の問題は「売上が足りないこと」ではなく、「稼いだそばから、原価とコストが利益を食い尽くしていたこと」でした。

02.業界の物差しに当ててみて、見えたもの

部門別に分解したうえで、当社はそれぞれの原価率を、宿泊業の標準的な指標と横並びにしました。「同業の平均と比べたとき、この宿のどこが、どれだけ突出しているのか」を浮かび上がらせるためです。

最初に目を引いたのが、料理の材料費率でした。

FIG.01

改善前の主要指標と業界指標の比較

本ケース(改善前) 業界指標(目安)
料飲材料費率21.6%18.4%客室稼働率47.5%60.0%人件費率(実質)38.0%30.0%

料飲材料費率は業界指標を大きく上回り、稼働率は地域平均を下回り、実質的な人件費率も高止まりしていました。粗利率の高さの裏で、原価と人件費が静かに利益を削っていたことが、横並びにして初めて鮮明になりました。

料飲材料費率は、業界の指標を明確に上回っていました。宴席の膳を厚くすることでお客様の満足を保とうとするうちに、いつしか材料原価の管理が緩み、宴会料理には原価の張る食材が当たり前のように使われ、相見積もりも宴席ごとの原価管理も行われないまま、年月が過ぎていたのです。強みであったはずの宴会が、利益を出さない構造を固定化していました。

もう一つ目立ったのが、人にかかるコストでした。少ない人数で回しているにもかかわらず、客数に対する就労者数の比率が高く、人的効率は同業に見劣りします。役割分担と勤務時間帯が硬直的で、手すきの時間と忙しい時間の差をならせていない。さらに、清掃を二社に外注していたため、委託費が高止まりしていました。

売上を倍にする必要はない。稼いだ売上から漏れ出ていくものを、一つずつ塞いでいけば、この宿は黒字になる。当社はそう見立てました。
宴会場に並ぶ宴席膳(イメージ)
膳を厚くすることで満足を保とうとするうちに、原価の管理は緩んでいきます。強みであったはずの宴会が、利益の出ない構造を固定化していました。
※写真はイメージです。

03.強みを、捨てずに、研ぎ直す

ここで安易な道を選ぶこともできました。宴席の膳のグレードを一律に落とし、人を減らし、価格を下げる。短期的には数字が整います。けれども、それは長年かけて積み上げてきた「宴会の宿」としての信頼そのものを傷つける選択でした。地元のお客様が大事な集まりにこの宿を選んでくださる理由を、自ら手放すことになりかねません。

当社が経営者の方とともに描いたのは、強みを捨てるのではなく、輪郭を引き直すという方針でした。具体的には、次のような着眼で進めました。

第一に、宴会料理の構成を見直すこと。膳の主役を、原価の張る高級食材から、同じく地域性があり満足度も高い食材へと組み替えました。お客様の満足度を落とさずに、一卓あたりの材料費を確実に下げられる組み合わせを、宴席のコース全体で組み直したのです。私がこれまでさまざまな旅館で見てきた経験からも、「主菜を一品見直すだけで、料飲材料費率が一段下がる」という効果は、想像以上に大きいものです。あわせて、主要食材の相見積もりを取り、宴会・宿泊プランごとに一卓あたりの原価を可視化して管理する仕組みを入れました。

第二に、据え置かれてきた料金を、需給に応じて組み立て直すこと。この宿の客室料金は、曜日や季節による需要の濃淡にかかわらず、長く横並びのまま据え置かれていました。けれども実際には、需要の強い時期・プランは確実に存在します。そこを取りこぼさずに単価へ反映させ、逆に弱い時期は機動的に動かす。値下げ一辺倒でも、値上げ一辺倒でもなく、需給に沿って単価を最適化する考え方へと切り替えました。

原価の張るところは研ぎ澄まし、需要の強いところは取りこぼさない。同じ宿でも、単価の設計ひとつで利益の残り方はまるで変わります。

第三に、稼げない時間と、ならせていない人手を、整理すること。時間帯別・持ち場別に必要な人数を洗い出して「あるべきシフト」を描き、現員を当てはめ直しました。一人がいくつかの持ち場をこなせるようにし(マルチタスク化)、硬直していた配置をほぐす。清掃の外注は二社から一社に絞り、固定料金へ切り替えることで、委託費を大きく圧縮しました。

料理を盛り付ける板前の手元(イメージ)
主菜を見直し、原価を可視化して管理する。満足度を落とさずに材料費を下げられる組み合わせを、宴席のコース全体で組み直しました。
※写真はイメージです。

04.「来ているお客様」を、取りこぼさない

コストの構造を整える一方で、当社は売上の側にも手を入れました。ただし、新しいお客様を闇雲に追いかけるのではありません。すでに来てくださっているお客様、すでに存在している需要を、取りこぼさない──この発想を徹底しました。

まず、販売チャネルです。複数のオンライン予約サイトに薄く広く掲載していたために、広告費がかさむ一方で、どのサイトの対策も中途半端になっていました。これを主要チャネルに集中させ、広告宣伝費を圧縮しつつ、検索上位に表示されやすい状態をつくります。

FIG.02

売上を100%としたときの損益構造(改善前→改善後・概念図)

売上原価 変動費 固定費 利益/損失
売上原価 30%変動費 18%固定費 57%償却前損失 -5%改善前売上原価 26%変動費 14%固定費 54%償却前利益 6%改善後

同じ売上規模でも、原価率と変動費を引き下げたことで、基準線の下にあった償却前の損失が、基準線の上の利益へと反転します。売上を急拡大させたのではなく、内訳の比率を組み替えたことが、黒字化の正体でした。比率は説明のための概念図です。

料金設計の方針は前章で触れたとおりですが、その実装として、過去の日別実績から「曜日・季節ごとのあるべき価格」を割り出し、料金カレンダーへ落とし込みました。一律の定価で売っていた状態から、日々の需給に応じて単価が動く状態へ。チャネルの集約と料金カレンダーが噛み合うことで、客室単価と稼働率は少しずつ底上げされていきました。

そしてもう一つ、見落とされがちですが効果の大きい論点がありました。「客層の幅が広すぎる」という問題です。あらゆるお客様を受け入れようとするほど、なかには利益の出ない受注も混ざり込みます。当社は、こちらから営業や広告をかける対象を、利益の出る客層へと意識的に絞り込みました。不採算の受注を静かに減らすことは、売上の数字こそ一時的に伸び悩むものの、利益率を着実に押し上げます。

「断る勇気」もまた、再生の一部でした。すべてのお客様を追わないことが、結果として宿の体力を取り戻していったのです。

05.満足度を、落とさずに上げる

収益構造に手を入れるとき、もっとも警戒すべきは「コスト削減が、お客様の満足度を削ってしまう」ことです。原価を下げ、人を整理し、不採算客を絞る──どれも一歩間違えれば、サービスの質の低下に直結します。当社が同時に進めたのは、むしろ満足度を引き上げる取り組みでした。

この宿は、口コミ評価が以前より少し下がっていました。スタッフによって接遇の質にばらつきがあり、宴会を強みとしながら、その料理がいかにも旧来型の宴席料理にとどまっていた。当社は経営者の方と、次のような手を打ちました。

満足度を引き上げるために打った主な手
課題打ち手
接遇の質がスタッフによってばらつく宿の理念を言語化し、最小限のサービス基準(決め事)を整える
宴席料理が旧来型にとどまる食事会場を活かし、個人客には一品ずつ仕立てて供する形へ
水回りの老朽化でクレームが増加補助金も活用し、クレームの原因となる箇所を優先的に改修
リピーターを次回来訪につなげられない自社サイトの予約導線を改善し、会員化の仕組みを構築

注目していただきたいのは、これらが原価を下げる取り組みと矛盾しない点です。宴席の主菜を原価の低い食材へ替えても、それを一品ずつ丁寧に仕立てて供すれば、お客様の体感価値はむしろ上がる。理念を共有し、サービス基準を整えれば、人を増やさずとも接遇は均質化する。「安くする」のではなく「無駄をなくす」。「削る」のではなく「研ぐ」。この区別が、満足度を保ったまま収益を取り戻す分かれ目でした。

コスト削減と顧客満足は、しばしば対立すると思われています。けれども設計次第で、両者は同じ方向を向きます。
一品ずつ供される料理を味わう客(イメージ)
原価を下げながら、一品ずつ丁寧に仕立てて供する。「削る」のではなく「研ぐ」ことで、お客様の体感価値はむしろ高まりました。
※写真はイメージです。

06.債務超過から、自己資本のプラスへ

原価の見直し、料金の再設計、人員配置の最適化、外注費の圧縮、不採算客層の整理、満足度の引き上げ。一つひとつは派手さのない打ち手です。けれども、これらを月次のアクションプランとして並べ、毎月の会議で進捗を確認しながら、一つずつ着実に回していきました。

その積み重ねが、決算書の風景を変えていきます。

FIG.03

営業損益と自己資本の推移(改善前→数期・方向性の概念図)

営業損益 自己資本(帳簿)
0改善前1期目2期目3期目4期目営業黒字へ自己資本プラスへ

改善着手から数期をかけて、赤字だった営業損益は黒字へ、マイナスだった自己資本はプラスへと反転していきます。初期に設備の優先改修などで一旦負荷がかかる時期を挟みつつ、収益構造そのものが直ったことで、宿は自力で利益を生み出す状態を取り戻しました。縦軸の単位は伏せ、方向性のみを示しています。

赤字だった営業損益は、黒字へと転換しました。とりわけ大きかったのは、減価償却前の利益(償却前営業利益)が、マイナスからしっかりとしたプラスへ反転したことです。これは、設備の更新原資や借入の返済原資を、事業そのものが生み出せる状態になったことを意味します。そして、長く実質的な債務超過にあった自己資本は、帳簿の上でもプラスへと転じました。

もちろん、一度の決算で完全に安泰になるわけではありません。けれども、「稼いだそばから漏れ出ていく」構造そのものが直ったことの意味は大きいものでした。同じ売上規模でも、利益の残り方がまるで違う。再生の本質は、売上を急拡大させることではなく、収益が残る器に作り変えることにあったのです。

この宿に欠けていたのは、お客様でも、もてなしの力でもありませんでした。欠けていたのは、稼いだものを利益として手元に残す、収益構造そのものの設計だったのです。

─── ある旅館の話、として読まれているかもしれません。けれども

本記事をお読みになりながら、ご自身の宿や、継いだ施設の現状と重ねた方も、少なくないのではないかと思います。料理や設備にお金をかけているのに利益が残らない、稼働率が伸び悩む、客単価が上がらない、決算書を見ても何から手をつければよいか分からない──いずれも、構造を一枚ずつ分解してみなければ、原因の見当がつきにくい種類の課題です。

当社は本件のような経営改善・収益構造の再設計だけでなく、事業計画の策定、リノベーション計画、早期段階での事業再生まで、観光・宿泊産業の課題に幅広く伴走しております。次の章では、本記事をお読みくださっている読者層ごとに、どのようなご相談があり、当社がどう関与してきたかを整理いたします。

07.この再生が、その後に残したもの

数字の改善以上に大きかったのは、宿の内側に「自分たちで利益を作れる」という手応えが戻ったことでした。月次でアクションを管理し、結果を確認し、次の一手を打つ。このサイクルが回り始めたことで、再生は当社の手を離れても続く性質のものになりました。残せたものを、四つの側面から整理します。

収益が残る構造へ

料飲材料費率の引き下げ、得意商材の値上げ、人員配置の最適化、外注費の圧縮を組み合わせ、同じ売上規模でも利益が手元に残る損益構造へ作り変えました。

強みを守ったまま

宴会を強みとしてきた看板を捨てずに、その輪郭を引き直しました。宴席料理の主菜の見直しと、一品ずつ仕立てて供する形への転換により、原価を下げながら、むしろ体感価値を高めています。

回し続けられる仕組み

9項目の改善施策を月次のアクションプランに落とし込み、進捗を会議で管理する習慣を定着させました。外部の関与が薄れても、自走で改善を続けられる体制です。

次の判断の土台

自己資本がプラスへ転じ、償却前利益を確保できたことで、設備更新やリノベーション、事業承継といった「次の一手」を、選択肢として検討できる状態になりました。

本件の本当の意義は、一期の黒字そのものではありません。宴会という強みを守りながら、稼いだものを利益として残せる宿へと、収益構造そのものを設計し直せたこと──それが、先代から受け継いだ宿の次の世代への橋渡しに、確かな足場を与えました。地味ですが、決定的に重要な変化だったと考えています。

着物姿で和の空間に佇む女将(イメージ)
収益が残る構造を取り戻したことで、宿は次の一手を選べる状態になりました。先代から受け継いだ宿を、次の世代へ渡すための足場です。
※写真はイメージです。

08.こんなご相談を、これまで頂戴してきました

本記事のような経営改善業務に限らず、観光・宿泊施設の収益改善や再生・承継に関するご相談は、立場の異なるさまざまな方からお預かりしています。代表的な五つの立場と、よく頂戴するご相談の輪郭を、参考までに整理しておきます。

旅館・ホテルを継いだ経営者・女将の方

先代から受け継いだ宿の決算が思わしくない。料理や設備にはお金をかけているつもりなのに、利益が残らない。何から手をつければよいのか。

収益構造の診断から入り、部門別の損益分解、原価・料金・人員配置の見直し設計、月次のアクションプラン管理まで伴走します。強みを守りながら利益の残る構造へ作り変えることを、ご一緒に進めます。

施設を相続された、これから経営に関わる方

家業として施設を引き継いだが、経営の数字を読み解ける人が身内にいない。第三者の目で、現状と打ち手を整理してほしい。

経営判断ほど、身内には相談しにくいものです。特定の業者と利害関係を持たない第三者として、現状の診断、選択肢の棚卸し、優先順位の整理を、経営者ご本人の判断材料が整う形でお手伝いします。

業績が伸び悩む既存施設の経営者の方

稼働率も客単価も頭打ち。原価や人件費が利益を圧迫しているのは分かるが、どこをどう削れば満足度を落とさずに済むのか見当がつかない。

料飲材料費率・人的効率・販売チャネル・料金設計を一つずつ分解し、満足度を落とさずに収益を取り戻す打ち手を設計します。「削る」のではなく「研ぐ」発想で、実行段階まで伴走します。

築年数の経った施設をお持ちの方

設備の老朽化が進み、このまま続けるべきか、大規模リノベか、業態転換か、それとも事業承継・売却か。判断の前提が整理できていない。

現状診断、リノベーション計画策定、業態転換の事業性評価、早期段階での事業再生プラン策定まで対応します。各選択肢の収支シミュレーションを丁寧に整え、意思決定の前提を揃えます。

地域の金融機関・支援機関の方

取引先の宿泊施設の業績が振るわない。経営改善計画の策定や、収益改善の具体策の設計を、専門家の手で支援してほしい。

経営改善計画の策定支援、財務シミュレーション、収益改善施策の設計を、第三者の立場でお引き受けします。事業者・金融機関の双方が同じ前提で議論できる、定量的な計画づくりに伴走します。

もし以上のいずれかが、ご自身や所属組織の現在の状況に近いと感じられましたら、次の章でご紹介する業務メニューも参考にしていただけるかもしれません。

09.宿泊施設の経営改善という仕事の核心

本業務を通じて当社が用いている、宿泊施設の収益構造を立て直す型は、次のように整理できます。温泉旅館・シティホテル・観光ホテルなど業態を問わず、業績不振の施設に対して繰り返し用いている五段階のプロセスです。

PHASE 01
決算書を、部門ごとに分解する

会社全体の数字を眺めるのをやめ、宿泊・料飲・宴会・売店など部門ごとに売上と原価を分けて測り直します。粗利率の高さに隠れた「利益が残らない理由」を、ここで突き止めます。

PHASE 02
業界の物差しに当て、突出点を見つける

料飲材料費率・人的効率・販売管理費を、宿泊業の標準指標と横並びにします。「どこが、どれだけ突出しているか」を可視化し、効果の大きい論点から優先順位をつけます。

PHASE 03
強みを研ぎ、弱みを塞ぐ施策を設計する

看板を傷つける安売りではなく、原価の張る部分の見直しと、需給に応じた料金設計を同時に進めます。料金カレンダー、原価管理の仕組み、シフト最適化、外注見直しを具体的な施策へ落とし込みます。

PHASE 04
満足度を落とさない設計を組み込む

コスト削減が顧客満足を削らないよう、サービス基準の整備、提供方法の工夫、優先順位をつけた設備改修を同時に進めます。「削る」のではなく「研ぐ」ことを徹底します。

PHASE 05
月次で回し、自走できる仕組みにする

施策を月次のアクションプランに落とし込み、進捗を会議で管理する習慣を定着させます。外部の関与が薄れても、宿が自分たちで改善を続けられる体制づくりが、最終的な狙いです。

このプロセスの本質は、奇抜な打ち手ではありません。稼いだものが利益として手元に残る器を、地道に作り直すこと──そこに尽きると考えています。当社は、このために経営改善のご支援をお引き受けしています。

10.ご相談いただける業務メニュー

当社が観光・宿泊産業向けに提供している業務のうち、本記事のテーマに関わるものを、ご相談の進め方の見当がつくよう整理しました。「自分の状況なら、どこからご相談できるか」をイメージしていただくための、ごく簡易な見取り図です。

MANAGEMENT IMPROVEMENT

経営改善・収益構造の再設計

本記事と同種の業務です。部門別の損益分解から、原価・料金・人員配置の見直し設計、月次のアクションプラン管理まで一貫して伴走します。

こんな場面で
利益が残らない理由を突き止め、収益が残る構造に作り変えたいとき
主な成果物
収益構造診断、改善施策一覧、月次アクションプラン管理表
進め方
初回相談で現状と緊急度を整理 → ご提案 → 実行段階の伴走
IMPROVEMENT PLAN

経営改善計画の策定支援

財務シミュレーションを伴う経営改善計画の策定を支援します。事業者・金融機関の双方が同じ前提で議論できる、定量的な計画づくりに伴走します。

こんな場面で
収益改善の道筋を、計画として定量的に描く必要があるとき
主な成果物
経営改善計画書、収支シミュレーション、施策の実施計画
進め方
初回相談で状況と前提を確認 → ご提案 → 計画策定
RENOVATION PLAN

リノベーション計画策定

築年数の経った施設の改修・業態転換に向けて、現状診断・改修方針・投資計画・投資回収シミュレーションを作成します。補助金活用の検討も含みます。

こんな場面で
既存施設の改修・業態転換を、投資回収の見通しとともに検討したいとき
主な成果物
現状診断書、リノベ計画書、投資回収シミュレーション
進め方
初回相談で施設の状況と方向を確認 → 現地視察を含むご提案
EARLY TURNAROUND

事業再生(早期段階)

業績不振の早期段階で、選択肢の棚卸し(自力再生・事業承継・売却等)と各選択肢の事業性評価を整理します。相談先の選定もお手伝いします。

こんな場面で
将来が見通せず、まず取りうる選択肢を整理したいとき
主な成果物
現状分析、選択肢比較、優先順位と次のアクション整理
進め方
初回相談で現状と緊急度を確認 → 簡易診断or本格関与のご提案

いずれも、施設の規模・状況・緊急度によって関与の形を柔軟に調整しています。「自分の宿はどのメニューに当てはまるか分からない」「複数にまたがっている気がする」というご相談も多く頂戴しており、その整理自体を初回相談でお手伝いしています。

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業績の振るわない旅館ほど、決算書の粗利率は高く見えるものです。けれども一枚めくれば、原価や人件費が利益を食い尽くしている。再生でもっとも大切なのは、売上を急に伸ばすことではなく、稼いだものが利益として残る構造に作り変えることです。強みは捨てずに、輪郭を引き直す。その積み重ねが、宿を次の世代へ渡す足場になります。

株式会社アルファコンサルティング 代表 青木康弘
FOR HOTEL & RYOKAN OWNERS

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  • 現状の経営状況・収益構造の整理(決算書の読み解きを含みます)
  • 類似施設・類似案件の参考事例のご紹介
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