MOKU ISESHIMA 開発支援|国立公園内の離島に、1日1組の鮨オーベルジュを立ち上げる
ヘリコプターでしか辿り着けない島に、1日1組の宿を。
三重県志摩市の英虞湾に浮かぶ離島・間崎島。伊勢志摩国立公園内に、2022年11月、日本で唯一、国立公園内で鮨を味わうことができる1日1組限定のオーベルジュ「MOKU ISESHIMA」が開業しました。アクセスはヘリコプターか専用ボートのみ。先行開業していた会員制鮨店「鮨裕禅」の宿泊機能を拡張するかたちで、宿泊棟・専用ヘリポート・専用桟橋を備えた高付加価値リゾートが、国立公園のなかに静かに立ち上がりました。弊社(株)アルファコンサルティングは、本プロジェクトにおいて、事業計画の策定と、難易度の高い資金調達の実現を中心にご支援しました。経験と財務的背景が限られた事業者が、前例の少ない領域でホテル開発に踏み出すための、最も難しい初期工程をともに乗り越えた事業の記録をご紹介します。
01前例の少ない領域に、未経験で挑む
本案件の起点は、2019年に間崎島でカウンター6席のみの会員制鮨店「鮨裕禅」がオープンしたことにありました。茅ヶ崎で店を構えてきた親方・堀勇一氏が、伊勢志摩の自然と食材の魅力に触れ、ヘリコプターか船でしか辿り着けない離島の地に、新しい鮨の場を生み出した取り組みです。エグゼクティブの間で評判が広がるなかで、訪れる客から自然と寄せられるようになっていたのが、「もっとゆっくり、この島で時間を過ごしたい」という声でした。
この声に応えるかたちで構想されたのが、宿泊機能を備えた本案件「MOKU ISESHIMA」です。ただし、その実現には大きな壁がありました。事業の中心となる方々は、卓越した料理人としての経験は持ち合わせていたものの、ホテル開発や宿泊事業の運営経験はなく、ホテル開発に伴う大型の資金調達のノウハウや財務的な背景も限られていました。国立公園内という制約条件のなかで、前例の少ない高付加価値リゾートを立ち上げるには、構想段階から事業計画、資金調達、設計、施工、開業に至るまで、多くの専門知見を統合する伴走が必要でした。
02島の自然と調和する、唯一無二のかたち
MOKU ISESHIMAのコンセプトは、施設の名称にそのまま込められています。「MOKU」は禅語の「黙照禅」に由来し、自然のなかで感性が自ずと湧き出る体験を意味するとされます。間崎島の風景に触れた親方が、義父から教わった言葉として大切にしてきたものです。国立公園内という稀有な立地、1日1組という距離感、そしてヘリコプターか船でしか辿り着けないアクセス——一つひとつの構成要素が、施設全体のコンセプトと一貫して結びつけられました。
- YADO TERASU1日1組・最大6名利用の宿泊棟(ロイヤルスイートルーム1棟、約188㎡)
- SUSHI YUTAKA ZEN(鮨裕禅)親方・堀勇一氏による会員制鮨店、2019年先行開業
- 照蒸庵茶室をモチーフにしたサウナ、檜の露天風呂
- インフィニティプール/ジャグジー/ファイヤーピット英虞湾と一体になるテラス空間
- 専用ヘリポート/専用桟橋島へのアクセスを支えるインフラ
アクセスは、ヘリコプターまたは船のみ。東京からヘリコプターで約90分、近畿圏から約30〜40分、賢島港からは専用ボートで約15分。施設には専用ヘリポートが備えられ、上空から英虞湾を望む「移動そのものが体験となる旅」として設計されました。1日1組のみという受け入れ態勢は、ヘリコプターアクセスを前提とする顧客層の時間価値と、国立公園内の自然環境に配慮する持続性を、同時に成立させる構造でもあります。
本案件は、単なる豪奢な施設の開発ではなく、「日本の自然のなかで、本当に静かな時間を過ごしたい」という富裕層の本質的な需要に応える取り組みとして構想されました。離島という立地の制約、国立公園内という規制環境、1日1組という収容力の制約——これらの制約こそが、他の追随を許さない希少性の源泉となっています。
03弊社が担った、事業計画と資金調達の実現
本案件で弊社が担ったのは、プロジェクトの最も上流——事業計画の策定と、その計画にもとづく資金調達の実現でした。経験と財務的背景が限られた事業者が、ホテル開発に踏み出すために最初に超えなければならない、最も難しい工程です。
- 事業計画の策定 ― 国立公園内・1日1組という前例の少ない形態に対する需要分析、収益モデル、リスクシナリオの整理
- 資金調達の実現 ― 金融機関調達に向けた収支計画・返済計画の策定、計画の妥当性検証、金融機関との折衝サポート
- 設計事務所の選定 ― 複数の候補から、まちづくり型の宿泊施設で全国に実績を持つUDS株式会社を選定し、開発チームに引き渡し
本案件において、最も大きな壁となったのは資金調達でした。事業の中心となる方々は、卓越した料理人としての経験と、間崎島で展開してきた会員制鮨店の確かな実績は持ち合わせていたものの、ホテル開発に伴う大型の資金調達のノウハウや、それを後押しする財務的な背景は限られていました。さらに、国立公園内・1日1組・ヘリコプターアクセスという施設のかたちは、金融機関にとっても評価の前例が少ない領域でした。
こうしたなかで、弊社が力を尽くしたのは、事業の本質的な魅力を、金融機関にも納得していただける収益計画として翻訳する仕事でした。富裕層市場の需要構造、競合の不在、希少性の源泉、保守的な収益シナリオ——これらを精度の高い計画書として整え、計画の妥当性を一つひとつ検証しながら、調達を確実に進めました。通常であれば多くの困難を伴うこの工程を、丁寧な対話と精緻な計画策定で支え、無事に資金調達と設計フェーズへの引き渡しまでを完了させました。
弊社の関与は、事業計画策定と資金調達の実現、そして設計事務所の選定までの初期フェーズでした。その後の設計詳細・施工・運営は、株式会社禅をはじめとする関係各社のお力で結実したものです。経験と財務的背景が限られた事業者であっても、丁寧な事業計画と確実な資金調達があれば、前例の少ない領域に踏み出すことができる——本案件は、その出発点をともに整えた仕事でした。
OVERVIEW事業の概要
| 施設名 | MOKU ISESHIMA |
|---|---|
| 所在地 | 三重県志摩市・間崎島(伊勢志摩国立公園内) |
| 開業 | 2022年11月1日 |
| 運営会社 | 株式会社 禅(三重県志摩市) |
| 施設構成 | YADO TERASU(宿泊棟・ロイヤルスイートルーム1棟)/SUSHI YUTAKA ZEN(鮨店)/照蒸庵(サウナ)/専用ヘリポート/専用桟橋 |
| 収容 | 1日1組・最大6名利用 |
| アクセス | ヘリコプター(東京から約90分、近畿圏から約30〜40分)/船(賢島港から専用ボートで約15分) |
| 空間設計 | UDS株式会社(弊社が選定し、開発チームに組み入れ) |
| 弊社の役割 | 事業計画の策定、資金調達の実現、設計事務所の選定(事業計画から資金調達・設計フェーズへの引き渡しまで) |
| 公式サイト | https://moku-iseshima.com/ |
PROJECT高付加価値リゾート・新規事業開発のご相談について
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