これから伸びるインバウンドの穴場エリアTOP10|外国人にまだ知られていない次の有望立地

次に伸びるインバウンドの「穴場」は、どこか?

東京・京都・ニセコといった王道は、すでに飽和しています。これから狙うべきは、まだ外国人に知られていないが、独自の魅力で伸びる地方の穴場です。本記事では、その有望エリアをランキングTOP10で紹介します。

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。国はインバウンドの地方分散と高付加価値化を進めており、穴場の立地は政策の追い風を受けています。

そして穴場が化ける引き金は、いつも「上質な宿の開業」です。海外の富裕層は、魅力的な土地でも泊まる宿がなければ訪れません。裏を返せば、宿をつくる側にとって、穴場は大きな商機なのです。

この記事を読むとわかること

  • 1なぜいま、有名エリアより「穴場」が狙い目なのか
  • 2穴場が化ける引き金 ―「上質な宿が富裕層を呼ぶ」という構造
  • 3これから伸びるインバウンド穴場エリアの独自ランキングTOP10
  • 4穴場の見極め方と、「取れる≠儲かる」収益化の注意点
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第1章
なぜいま「穴場」が狙い目なのか
要点外国人宿泊はいま都市に集中していますが、伸びているのは地方であり、国も地方分散と高付加価値化を後押ししています。
インバウンドの穴場となる地方の風景

図表1 数字で見る「穴場が狙い目」な理由

約6割
都市への集中
外国人延べ宿泊は、東京・大阪・京都の3都府県だけで約6割を占める
地方+15.5%
伸びは地方が上回る
2025年の地方部の伸び。三大都市圏の+4.9%を大きく上回った
100万円以上
国が狙う高付加価値層
着地消費100万円以上の旅行者を、国は地方に誘客する方針
王道はもう、飽和して高い

外国人観光客の宿泊は、いま特定の都市に強く集中しています。東京・大阪・京都の3都府県だけで、外国人延べ宿泊のおよそ6割を占めるほどです(観光庁の宿泊統計より)。こうした王道エリアは需要が大きい半面、客室不足で土地・建築費が高騰し、競争も激しく、資本力のある大手が有利です。混雑(オーバーツーリズム)も深刻になっています。

これから新たに出店・開発を考える中小の事業者が、同じ土俵で王道エリアを攻めるのは、なかなか分の悪い戦いです。

伸びているのは、むしろ地方

一方で、変化は明確に起きています。2025年は、地方部の外国人宿泊が前年比で約15%増と、三大都市圏の約5%増を大きく上回りました(観光庁。出典は末尾に記載)。インバウンドの地方分散が加速しているのです。

国の後押しもあります。観光庁は、地方部の延べ宿泊者数1.3億人泊・地方リピーター4,000万人を新たな目標に掲げ、着地消費100万円以上の「高付加価値旅行者」を地方へ誘客する施策を進めています。つまり、いまはまだ外国人が少ない穴場こそ、これから国の追い風を受けて伸びる余地が大きい。狙うべきはここです。

図表2 地方の伸びは、都市を大きく上回る(外国人延べ宿泊・2025年の前年比)

鳥取県
+68.0%
新潟県
+55.3%
三重県
+54.3%
三大都市圏(参考)
+4.9%

※ 観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年(通年・速報)より。地方の有望エリアが、伸び率で都市を大きく上回っている。

→とはいえ、穴場が放っておいて化けるわけではありません。引き金になる条件があります。

第2章
穴場が化ける条件 ―「上質な宿が富裕層を呼ぶ」
要点穴場が伸びる引き金は、上質な宿の開業です。海外の富裕層は「泊まる宿がない」と、魅力的な土地でも来ません。
上質な宿が地方の富裕層インバウンドを呼ぶ
富裕層は「泊まる宿がない」と来ない

海外の富裕層は、どれだけ魅力的な土地でも、泊まりたい上質な宿がなければ訪れない傾向があります。逆に、上質な宿、とりわけ外資系ラグジュアリーブランドが開業すると、そのブランドを目当てに富裕層が動きます。北海道のニセコが、まさにその典型です。アクセスの良い場所だったわけではなく、世界水準の宿が集まったことで、世界中のスキー客と富裕層が押し寄せました。

いま、上質な宿が地方へ向かっている

そして、この動きはいま全国の地方で進んでいます。近年は新規開業ホテルの過半を外資系が占め、高級ブランドが地方の温泉地やリゾートに次々と進出しています。かつてのような団体客の弾丸ツアーではなく、富裕層が地方の温泉地やリゾートを中長期で楽しむ姿が目立ち始めています。

本ランキングの1位に挙げる岩手の安比高原は、その実例です。外資系ラグジュアリーの開業をきっかけに、それまで外国人の少なかったエリアにインバウンドが増え始めました。「宿がないから来ない穴場」こそ、上質な宿をつくる側にとっての商機なのです。

図表3 穴場が化けるメカニズム

1

上質な宿が開業する

外資ラグジュアリーや、土地の魅力を生かした上質な一軒が引き金になる。

2

富裕層が動き出す

「泊まりたい宿」ができたことで、これまで来なかった層が訪れる。

3

エリアの認知と需要が高まる

口コミ・メディアで知られ、周辺にも宿や店が増えていく。

4

観光地として確立する

ニセコ・安比のように、世界に知られた目的地へと育つ。

先に動いた一軒が、エリア全体の価値を引き上げ、さらに需要を呼ぶ
ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

穴場は、放っておいても化けません。引き金を引くのは、いつも「宿」です。誰より早く、その土地に上質な一軒をつくれるかが勝負どころです。

→それでは、いま私が注目している、これから伸びる穴場エリアをランキングで紹介します。

第3章
これから伸びるインバウンド穴場 有望立地TOP10
要点現状は外国人が少ないが、独自の魅力と政策の追い風で、これから伸びると考えられる10エリアです。

注意ランキングの見方

本ランキングは、すでにインバウンドで有名な王道(東京・京都・ニセコ・直島など)をあえて外し、「現状は外国人が少ないが、伸びが期待できる細かいエリア」に絞った、弊社独自の編集的な整理です。観光庁「宿泊旅行統計調査」の都道府県別の伸び率、観光庁の高付加価値モデル観光地、外国人に訴求する独自資源(世界遺産・秘境・宗教文化・町並み・雪など)を総合して選定しました。公式の順位ではありません。伸び率は変動するため、代表的な県の値を目安として記載しています。

安比高原・八幡平(岩手県)の風景・観光資源
1
安比高原・八幡平
岩手県

外資系ラグジュアリーの開業で、東北の山に富裕層が動き始めた「ニセコの次」

現状
東北は外国人宿泊が全国でも最低クラス。だが安比は外資ホテル開業後に増加へ転換
伸びる理由
ANAインターコンチネンタル等の外資ラグジュアリーが富裕層を誘引。上質な雪と八幡平の雄大な自然
狙う客層
欧米・豪州・東アジアの富裕層(スノー・自然)
着眼点
「上質な宿が富裕層を呼ぶ」最も分かりやすい実例。雪を生かした通年リゾート化が鍵
祖谷渓・大歩危(徳島県)の風景・観光資源
2
祖谷渓・大歩危
徳島県

海外でまだ無名の秘境。茅葺き古民家ステイが欧米のスロー志向に刺さる

現状
海外での知名度は低く、外国人の少ない秘境
伸びる理由
かずら橋・祖谷の渓谷景観、茅葺き古民家の一棟貸し、四国遍路。サステナブル志向に合致
狙う客層
欧米の長期滞在・体験志向層(単価高め)
着眼点
古民家・一棟貸しの希少価値が強み。周遊の弱さは、モデルコース提案で補える
国東半島(くにさき)(大分県)の風景・観光資源
3
国東半島(くにさき)
大分県

別府・由布院の「次の一泊」を取る、山岳仏教の静かな半島

現状
別府・由布院の陰で、外国人は少ない
伸びる理由
六郷満山の山岳仏教・磨崖仏、神仏習合の文化、海と里の風景。有名温泉地からの周遊で取り込める
狙う客層
欧米の精神文化・自然志向層
着眼点
混雑する有名温泉地の受け皿。静けさと宗教文化の希少性を、上質な宿に変える余地
天草(あまくさ)(熊本県)の風景・観光資源
4
天草(あまくさ)
熊本県

潜伏キリシタンの教会群と、イルカが泳ぐ透明な海。欧米に刺さる物語

現状
外国人にほぼ知られていない
伸びる理由
潜伏キリシタンの教会群、イルカウォッチング、透明度の高い海。福岡・熊本からの延伸
狙う客層
欧米(キリスト教文化)・東アジアの自然志向層
着眼点
教会群+海の希少性。アクセスと宿の不足は、裏を返せば開発余地の大きさ
佐渡(さど)(新潟県)の風景・観光資源
5
佐渡(さど)
新潟県

佐渡金山の世界遺産登録で初動。島の上質な宿には先行者利益

現状
低水準だが、2024年の世界遺産登録で初動が始まった
伸びる理由
佐渡金山の世界遺産登録、能・鬼太鼓の文化、島の自然。新潟は2025年通年で約+55%
狙う客層
欧米の文化・島旅志向層、東アジアのFIT
着眼点
世界遺産効果の初動期。島内の上質な宿が不足し、先行者利益を取りやすい
奈良井宿・妻籠宿(中山道)(長野県・岐阜県)の風景・観光資源
6
奈良井宿・妻籠宿(中山道)
長野県・岐阜県

日本人には地味でも、欧米のウォーカーには定番化しつつある宿場町

現状
日本人には地味だが、欧米のウォーカーに静かに定着
伸びる理由
江戸の宿場町の町並み、妻籠〜馬籠の街道歩き、古民家ステイ。欧米のロングトレイル文化に合致
狙う客層
欧米の歴史・ウォーキング志向層(連泊・単価高め)
着眼点
街道沿いの古民家宿が希少。景観規制の中での上質化と多言語対応が鍵
石見銀山・温泉津温泉(島根県)の風景・観光資源
7
石見銀山・温泉津温泉
島根県

世界遺産なのに静かなまま。集客を「宿泊」に変えられていない宝の山

現状
世界遺産だが訪問者は少なく、静か
伸びる理由
石見銀山(世界遺産)、温泉津(ゆのつ)の鄙びた湯と港町、石州瓦の町並み。島根は2025年9月に約+60%
狙う客層
欧米・東アジアの歴史・温泉志向層
着眼点
世界遺産の集客を宿泊に変えられていない。滞在化を促す宿に余地
五島列島(ごとう)(長崎県)の風景・観光資源
8
五島列島(ごとう)
長崎県

潜伏キリシタンの教会群が点在する、静かな離島の物語

現状
外国人の少ない離島
伸びる理由
潜伏キリシタンの教会群(世界遺産)、島の自然と静けさ、福江島の港町。空路・航路
狙う客層
欧米(キリスト教文化)・島旅志向層
着眼点
教会群+離島の希少性。宿の絶対数が不足し、開発余地が大きい
大山山麓(だいせん)(鳥取県)の風景・観光資源
9
大山山麓(だいせん)
鳥取県

「砂丘」ではなく「山」。全国最高水準の伸びと、国際線のある空港

現状
有名な鳥取砂丘に比べ、外国人は少ない
伸びる理由
大山(伯耆富士)の自然・スキー、蒜山高原。米子空港の国際線就航。鳥取は2025年通年で約+68%、4月は約+151%(全国最高水準)
狙う客層
東アジアのFIT、欧米の自然・スキー志向層
着眼点
砂丘でなく「山」の通年リゾート化。空港アクセスの良さを生かす
飛騨古川(ひだふるかわ)(岐阜県)の風景・観光資源
10
飛騨古川(ひだふるかわ)
岐阜県

人気アニメの聖地。混雑する高山の「静かな受け皿」になる

現状
高山の陰で、外国人は少なく静か
伸びる理由
アニメ「君の名は。」の聖地、瀬戸川と白壁土蔵・酒蔵の町並み。高山から一駅
狙う客層
アニメ聖地巡礼・東アジアのFIT、欧米の町並み志向層
着眼点
混雑する高山の静かな受け皿。日帰りを宿泊に変える上質な宿が鍵
ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

共通するのは、独自の物語があるのに、それを受け止める上質な宿が足りないことです。物語と宿がそろった時、穴場は一気に化けます。

→気になるエリアが見つかったら、本当に有望かを見極める番です。

第4章
穴場を見極める3つの問い
要点穴場の実力は、外国人がもう来ているか・需要が伸びているか・上質な宿が足りないか、の3つで測れます。
問い1〜3で、穴場の実力を測る

ランキングはあくまで出発点です。実際に出店・開発を検討するエリアについては、次の3つの問いで実力を確かめてください。

図表4 穴場を見極める3つの問い

1

外国人は、もう来ているか

近隣ホテルの英語・中国語の口コミ件数や評価を見る。少しでも来ていれば、伸びる素地がある

2

需要は、伸びているか

自治体の観光入込データで、エリアの集客力が中期的に伸びているかを確かめる

3

上質な宿が、足りないか

魅力はあるのに上質な宿がない=先行者利益。すでに揃っていれば競争は激しい

※ 具体的な調べ方は、別記事「訪日外国人に選ばれるホテルの立地」で詳しく解説しています。

→そして、見極めと同じくらい大切なのが、収益の設計です。

第5章
穴場でも「取れる」と「儲かる」は違う
要点穴場でインバウンドが取れても、単価設計を誤れば儲かりません。狙うのは数ではなく、高付加価値層です。
安い団体でなく、高付加価値層を取る

最後に、率直な現実を一つ。穴場でインバウンドが取れても、それだけでは儲かりません。大手ランド社が扱う団体卸は、個人客向けや直販に比べて単価が安く、利幅が薄いため、満室にしても利益が残りにくいのです。近年は需要急増と円安で宿泊単価が全体に上がりましたが、団体卸が相対的に安い構造は変わりません。

穴場で狙うべきは、利幅の薄い団体を数で集めることではなく、地方でしっかりお金を使う高付加価値層です。客室料金だけを高くするのは難しいので、料理・体験・物販などのオプションで総消費単価を上げる。そして、その立地で「誰を・何人・いくらで取り、何年で投資を回収するか」を事業計画に落とし込んで初めて、出店・開発の判断ができます。立地は土台であり、収益はその上の設計しだいです。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

穴場の価値は、安く数を取ることではありません。希少な物語を、上質な体験として、適正な単価で届けること。そこに、これからの勝ち筋があります。

よくある質問

Qこのランキングは、何を根拠にしていますか?

A観光庁「宿泊旅行統計調査」の都道府県別の外国人宿泊の伸び率、観光庁が選定する高付加価値旅行者向けのモデル観光地、そして外国人に訴求する独自の観光資源(世界遺産・秘境・宗教文化・町並み・雪など)と外資系ホテルの地方進出動向を総合した、弊社独自の編集的な整理です。公式の順位ではなく、出発点としてご活用ください。

Qなぜ、有名なエリアを外しているのですか?

A東京・京都・ニセコ・直島などの王道は、すでにインバウンドで有名で競争も激しく、これから新規に参入する事業者にとっては分の悪い戦いになりがちだからです。本記事は、現状は外国人が少ないが、これから伸びる余地が大きい「穴場」に絞っています。

Q穴場は、本当に伸びるのですか?

A確実ではありません。穴場が化けるかどうかは、独自の魅力に加えて、それを受け止める上質な宿があるかにかかっています。海外の富裕層は泊まる宿がなければ来ず、逆に上質な宿が開業すると動きます。ニセコや安比高原がその例です。穴場は「自動的に伸びる」のではなく、宿の開業が引き金になります。

Q穴場に出すと、儲かりますか?

A立地が良くてインバウンドが取れても、それだけでは儲かりません。利幅の薄い団体卸で満室にしても利益は残りにくいものです。穴場で狙うべきは、地方でしっかり消費する高付加価値層であり、客室料金でなくオプションで単価を上げる工夫が要点です。最終的には事業計画への落とし込みが欠かせません。

Q気になるエリアが、本当に有望か知りたいです。

A本記事の第4章で示した3つの問い(外国人はもう来ているか/需要は伸びているか/上質な宿が足りないか)で、まず実力を測ってください。具体的な調べ方は、別記事「訪日外国人に選ばれるホテルの立地」で解説しています。より詳しい立地診断や事業計画の策定は、弊社でもご支援しています。

さいごに

いかがだったでしょうか。これからのインバウンドの商機は、混雑する王道よりも、まだ知られていない穴場にあります。国も地方分散と高付加価値化を後押ししており、穴場は追い風を受けています。そして穴場が化ける引き金は、いつも「上質な宿の開業」です。独自の物語を持つ土地に、誰より早く上質な一軒をつくれるか。そこに、これからの勝ち筋があります。

弊社アルファコンサルティングでは、出店・開発の立地診断から、観光データを用いた需要・競合分析、ターゲットと単価の設計、事業計画・収支シミュレーションの策定支援まで、一貫してご支援しております。観光経済新聞コラム連載17年の業界知見に基づき、特定の金融機関やオペレーター、建設会社などと利害関係を持たない独立した立場から、依頼者の利益を最優先したご提案をいたします。

初回相談無料です。インバウンドを見据えたホテルの立地・開発・収益化について、お気軽にご相談ください。

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