こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。

「〇〇エリアで、おすすめの宿を教えて」。お客様が検索サイトではなく、ChatGPTやGeminiといったAIにこう尋ねる時代が、すでに来ています。最近の調査では、旅行の計画に生成AIを使った人は、およそ3人に1人にのぼります。

自館の名前は、AIの答えに挙がるでしょうか。そして、Googleマップに表示される自館の紹介文を、最近ご覧になったでしょうか。実は、AIが勝手に書いた紹介文が、自館の印象を左右し始めています。今回は、AI時代の「見つけられ方」がどう変わったのか、そして、いま打てる手は何かをお話しします。私自身、自社サイトでの実践と、クライアント施設での支援の両方で検証を続けている領域です。実例も交えてお伝えします。

AI時代の集客が気になる経営者・支配人の方へ この記事のポイント
  1. 「簡素なホテル」── AIが勝手に書いた紹介文。実際にあった話から。→ ポイント①へ
  2. お客様の調べ方が、二段構えに変わった。AIが候補を出し、検索と口コミで確かめる。→ ポイント②へ
  3. まず、AIに自館がどう映るか確かめる。今日からできる確認手順。→ ポイント③へ
  4. AIに見つけてもらう三つの備え。設備情報・Q&A・正しい口コミの増やし方。→ ポイント④へ

気になるポイントだけ、つまみ読みでも役立つように作っています。

タブレットとスマホに表示された旅行予約システムの画面
お客様の宿選びは「検索する」から「AIに尋ねて、確かめる」へ

ポイント① 「簡素なホテル」── AIが勝手に書いた紹介文

まず、実際にあった話から始めます。支援先の、歴史ある寺院のそばに立つホテルでのことです。Googleマップでこの施設を開くと、自動生成された紹介文にこう書かれていました。「商業地区にある簡素なホテル」

庭園を望む大浴場があり、手づくりの朝食が口コミで高い評価を得ている施設です。「簡素」は、あまりに不本意な紹介でした。ところが調べてみると、この紹介文はGoogleが各種の情報から自動で作っているもので、施設側に書き換える入力欄は存在しません。さらに検証を進めると、ホテルというカテゴリでは、一般の店舗にはある「ビジネスの説明」欄そのものが管理画面に表示されないことも分かりました。

この紹介文を一文ずつ分解し、どのデータから作られているかを調べた結果が、次の図です。

図表1 自動生成された紹介文の「分解」── どの言葉が、どのデータから来ているか

実際の自動紹介文(匿名化・要約)を文節ごとに分解:

「商業地区にある簡素なホテル」Googleの自動評価語
価格帯・施設クラス等から機械的に付与。直接は変えられない
「駅から徒歩◯分、寺院から徒歩◯分」地図の位置データ
距離は自動計算。正確なら手を打つ必要なし
「無料Wi-Fi・薄型テレビ・冷蔵庫を完備」設備情報(登録項目)
管理画面の登録内容が反映。施設側で変えられる ★
「布団と座卓を備えた和室もある」設備情報+サイト・OTAの記述
登録と記述で変えられる ★
「レストランと大浴場を併設。駐車場無料」設備情報(登録項目)
施設側で変えられる ★
直接変えられない(機械の評価)自動計算(対応不要)施設側で働きかけ可能 ★

分解すると、紹介文の大半は施設側で働きかけられる「設備情報」から組み立てられていることが分かります。逆に「簡素な」という評価語だけは、直接消す手段がありません。

つまり、AIやGoogleが自館をどう紹介するかを、直接書き換えることはできないのです。これは、ChatGPTなどのAIが答えで自館を紹介する場合も同じです。できるのは、AIが参照する元の情報に働きかけること。この記事の本題は、その「働きかけ方」です。

ポイント② お客様の調べ方が、二段構えに変わった

打ち手の前に、お客様の行動の変化を押さえましょう。調査から見えてきたのは、「AIが候補を出し、検索と口コミで確かめる」という二段構えの行動です。AIに宿を尋ねた人の多くは、提案を受けたあと、自分でも検索や口コミで調べ直しています。そして、AIが提案した宿に実際に泊まった人は、半数に届きません。見送られた理由の上位は、「口コミが少なくて不安」「施設の情報が足りない」でした。

図表2 AI時代の宿選び ── 二つの関門
行動AIに尋ねる「〇〇エリアのおすすめの宿は?」旅行計画でのAI利用は約3人に1人
関門1AIの答えに、名前が挙がるか
挙がらなければ、候補にすら入れない
行動検索と口コミで確かめる提案後、8割超が自分でも調べ直す
関門2情報と口コミが、信頼に足るか
薄ければここで落ちる。AIが提案した宿に実際に泊まった人は半数未満。理由の上位は「口コミが少なく不安」「情報が足りない」
予約二つの関門を越えた施設だけが、選ばれる

AIが「候補を出す役割」、検索と口コミが「確かめる場」。役割が分かれたことを前提に、両方へ備えます。

もう一つ大事な変化があります。AIが答えの根拠に使う情報源は、従来の検索結果の上位と、必ずしも一致しなくなってきています。検索で上位だから安心、とは言えません。検索対策(SEO)に加えて、AIに見つけてもらうための備えが要ります。

ポイント③ まず、AIに自館がどう映るか確かめる

対策の第一歩は、現状を知ることです。やり方は簡単で、お客様と同じ質問をAIに投げ、あわせてGoogleマップの自館ページを開いてみるだけです。

▸ お客様と同じ質問を、AIに投げてみる(入力)
質問1:〇〇エリアで、おすすめの宿を教えてください。家族旅行です。質問2:〇〇ホテル(自館の名前)は、どんな施設ですか。特徴と評判を教えてください。
送信 ▶
▸ 確認すること(AIの回答を見るポイント)
AI自館の名前は挙がったでしょうか。紹介の内容は正確でしょうか。古い情報や、不本意な言葉が混ざっていないでしょうか。ChatGPT・Gemini・GoogleのAIによる概要など複数で試すと、AIごとに見ている情報源の違いも分かります。あわせてGoogleマップの自館ページで、自動の紹介文・設備情報・写真・口コミの見え方も確かめてください。

ここで見つかった「ずれ」が、手を打つ場所になります。

自館の「AIでの見え方」、確かめてみませんか。現状診断からご一緒します。

AI時代の集客を相談する

ポイント④ AIに見つけてもらうための、三つの備え

図表3 AIは、どこから自館の情報を得ているか
設備情報Googleビジネスプロフィールの登録項目
公式サイト本文の事実記述・Q&A
OTAの掲載情報施設説明・料金・写真
口コミ・写真お客様の投稿と返信
↓ AIとGoogleが読み取り、組み合わせる
AI・検索エンジンChatGPT/Gemini/GoogleのAIによる概要・自動紹介文
↓ お客様への答えになる
「おすすめの宿」の候補
自館の紹介文・評判の要約

AIへの直接の入力口はありません。上の4つの「元データ」に働きかけることが、唯一の打ち手です。

備え① 設備情報の登録を、すみずみまで

冒頭の施設で、最も効果が大きかった打ち手は、意外なほど地味なものでした。Googleビジネスプロフィールの「ホテルの詳細」、つまり設備情報の登録項目を、一つひとつ見直すことです。図表1で見たとおり、自動の紹介文の大半は、この登録内容から組み立てられています。

そして、この施設で口コミ評価がいちばん高い手づくりの朝食と、英語対応が、設備情報に未登録のままでした。いちばんの自慢が、AIには見えていなかったのです。該当する項目をすべて登録し、誤りを直す。実態のない項目は登録しない。これだけで、自動の紹介文と検索での見え方の土台が変わります。OTAや自社サイトの施設情報も、表記を揃えて最新に保ちます。情報の食い違いは、AIの誤解のもとになります。

備え② 質問に答える形で、情報を出す

お客様がAIにする質問は、「子連れでも大丈夫?」「駅から歩ける?」「駐車場はある?」といった、具体的な問いです。公式サイトやGoogleビジネスプロフィールのQ&A欄に、こうした問いへの答えを、施設側から先回りして載せておきます。

これは、私自身が自社サイトで検証を続けている実感でもあります。飾った文章よりも、問いに正面から答える、構造の明快なページほど、AIに引用されやすい。美しい言葉を並べるより、お客様の疑問に端的に答える。その誠実さが、AI時代にはそのまま「見つけられやすさ」になります。

備え③ 口コミを増やす ── ただし、正しいやり方で

二つの関門で見たとおり、口コミが薄ければ、お客様は最後の一歩を踏み出しません。AI自身も口コミを参照します。口コミを増やす働きかけは、AI時代にいっそう効きます。ただし、やり方を間違えると重いペナルティがあります。

図表4 口コミの増やし方 ── 認められるやり方と、してはいけないこと
区分内容
OKチェックアウト時に「よろしければGoogleマップにご感想をお聞かせください」と声をかける
OKQRコード付きカードをフロントや客室に置く(特典の記載なし)
OKすべての口コミに、ていねいに返信を続ける
NG特典や割引と引き換えに口コミを頼む(規約違反・景品表示法のステマ規制に抵触し得る)
NG「星5でお願いします」など、評価を誘導する
NG不満のあるお客様にだけ、投稿をためらわせる(良い口コミだけ集める)

NG行為には、検索結果からの除外などの処分があります。声かけ・QRカード・全件返信という正攻法が、結局いちばん確実です。

ホテルのレセプションで働くチームスタッフ
チェックアウト時のひと言と、ていねいな返信。正攻法がいちばん確実に効く

AIの紹介文は、管理できない ── だからこそ

冒頭の施設のその後です。「簡素」という評価語そのものを消す手段は、Google側に用意されていませんでした。できたのは、設備情報を満たし、写真を充実させ、口コミと返信を積み重ねて、機械の再判断を促すことだけです。

AI時代の見つけられ方とは、結局こういうことです。AIがお客様に語る紹介文は、自館で直接管理できない。できるのは、AIが参照する元の情報を、正確で豊かな状態に保ち続けること。そして、お客様が確かめに来たときに応える、実体験と口コミを積み重ねること。土台は、日々の現場の仕事そのものです。誠実に情報を出し、誠実にお客様と向き合う施設を、AIは見つけやすくなっています。

青木康弘青木康弘Googleの紹介文を分解してお見せすると、皆さん驚かれます。自館の情報を読む相手は、もう人だけではありません。それを実感していただくことが、第一歩だと思っています。

AIの言葉は、書き換えられない。
AIが読む情報は、変えられる。

よくある質問

Q. Googleマップの紹介文に、不本意な表現があります。直せますか。

A. 紹介文そのものを直接書き換える入力欄はありません。設備情報の網羅的な登録と修正、写真の充実、口コミの蓄積によって、自動生成の元データに働きかけるのが現実的な対処です。事実誤認は「情報の修正を提案」から申請できます。

Q. SEO対策はしています。それでは足りませんか。

A. 土台にはなりますが、十分ではありません。AIが引用する情報源は、検索の上位と必ずしも一致しなくなってきています。設備情報の登録、問いに答える構造、口コミという三つの備えを加えてください。

Q. 口コミを増やすために、特典を付けてもよいですか。

A. いけません。特典と引き換えの口コミ依頼や評価の誘導は規約違反で、景品表示法のステルスマーケティング規制にも触れ得ます。声かけとQRカード、ていねいな返信という正攻法が、結局いちばん確実です。

Q. 小さな施設でも、効果はありますか。

A. あります。AIは知名度だけで答えを作るわけではなく、問いに合う情報を持つ施設を拾います。情報を誠実に出している小規模施設にとって、むしろ追い風になり得ます。

さいごに

いかがだったでしょうか。お客様の宿選びは、「検索する」から「AIに尋ねて、確かめる」へと変わりつつあります。AIが自館をどう紹介しているかをまず確かめ、設備情報をすみずみまで登録し、問いに答える形で情報を出し、正しいやり方で口コミを積み重ねる。派手さはありませんが、これがAI時代の集客の足腰になります。

弊社アルファコンサルティングでは、特定のOTAや制作会社と利害関係を持たない中立の立場から、AI時代の情報発信と集客の進め方を、ホテル・旅館それぞれの施設に合わせてお手伝いしています。自社サイトと支援先での実践・検証に基づいた、実務的なご提案が可能です。

初回相談無料です。自館の「AIでの見え方」が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

AIの言葉は書き換えられない。AIが読む情報は、変えられる。

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