ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。ホテル旅館に宿泊するとき、朝食バイキングを楽しみにしているお客様は非常に多いです。
 
OTA(ネットエージェント)の口コミ評価でも朝食は評価項目の一つとして重要視されておりますので、朝食メニューに力を入れて是非とも口コミ評価アップを図っていきましょう。最近では、ビジネスホテルでも朝食バイキングを売りにしているところがあり、チェーンによってはシティホテルや旅館並みの料理を出すところもあります。
 
この10年でお客様の朝食に対する要求水準は確実に上がっていると感じます。シティホテルや旅館は負けてられないですね。独自色を出そうと、郷土料理を売りにしたり、ラーメンを提供したり(余談ですが、夜鳴きそばが大人気のチェーンもありますよね)しているビジネスホテルチェーンもあります。
 
今回コラムでは、「低原価でも高評価が期待できる朝食バイキングメニューBest5」と題して、低原価ながらお客様満足につながるメニューを紹介しましょう。

 

ヘルシー志向の人に人気急上昇「スムージー」

ファッションモデルの間で朝食の定番メニューとされていることもあり、女性客の間で流行しています。スムージーは、野菜と果物をミキサーにかけて作るジュースなのですが、栄養面に優れている一方で、腹持ちも良いのでホテル旅館の朝食メニューとしてふさわしいでしょう。
 
朝食バイキングでスムージーコーナーを設けて、産地や生産者の写真やフレッシュな野菜、果物を展示して、提供することをお勧めします。ジューサーを複数設置して、ライブキッチン形式で提供するのも良いでしょう。仕込みや調理が簡単なのでパートアルバイトのスタッフでも対応できます。健康を気にする年配のお客様にもおすすめです。和食中心の旅館の朝食であっても、メニューの一品として提供するのであれば板前も抵抗感なく協力してくれると思います。地元野菜や京野菜を使えば話題作りにもつながるでしょう。

 

お客様が自分で作る「サンドイッチ」

ホテル旅館の調理部門の考え方からすると、サンドイッチは仕込みの手間や品質維持、廃棄ロスの心配から提供を控えている館は多いでしょう。一方で、サンドイッチを朝食で食べたいと思うお客様は少なからずいます。そこで、お客様にセルフサービスでサンドイッチを作ってもらうコーナーを作ってみましょう。
 
サンドイッチ用の薄切り食パンを用意して、サラダコーナーの野菜も、パンにはさみやすくスライスして、スライスチーズ、ハム、スクランブルエッグなどを並べます。内容は、普段の朝食バイキングのサラダメニューとあまり変わらないものでも良いでしょう。からしバターや、マヨネーズ、明太子マヨネーズなど、様々なソースも一緒に置いておきます。ホイップクリーム、フルーツも並べて、デザート用のサンドも作れるようにします。
 
イラスト、写真などで、作り方やオススメのレシピを紹介すると親切でしょう。パンは、食パンだけでなく、クロワッサン、バゲット、ベーグルなど、何種類かのパンを用意すればコーナー展開として魅力的になります。

 

健康の悩みはさまざま「体質別の食事」

ホテル旅館には、健康上の心配を抱えていたり、持病を持っていたりするお客様も宿泊します。そのようなお客様の体質に合わせた料理を提供することもオススメします。例えば、春菊の胡麻和えとか、サバの塩焼きなどをただ並べるだけでなく、高血圧に良いという一言をポップなどで紹介すると良いでしょう。サバなどの魚にはタウリンが豊富に含まれていて、この成分が、高血圧予防に役立ちます。
 
サラダコーナーの生野菜は、酵素が含まれておりますので体に良い効果がありますが、ドレッシングに糖質・脂質が含まれているために食べることを控えてしまう方もいます。そんなお客様向けに低糖質、低カロリーのドレッシングを提供すると良いでしょう。調理スタッフが手作りした自家製ドレッシングを複数種類提供すれば口コミ評価アップが期待できます。

 

旅行気分を味わいたい「郷土料理・名物料理」

消費者アンケートで「ホテル旅館の朝食で食べたい料理は何ですか?」と尋ねると、「郷土料理・名物料理」という回答が多いです。すでに現地の名物料理を提供されているホテル旅館も多いでしょうが、夕食に比べて朝食の口コミ評価が低いホテル旅館は「朝食に特色がないこと」が原因であることが多いです。
 
夕食に対する期待感を朝食でも感じてもらえるように、ビジネスホテルや旅館であっても朝食で「郷土料理・名物料理」を積極的に提供することをお勧めします。例えば、長崎では皿うどん、山口ではフグ雑炊が提供されていたことがあります。現地の人からすると日常的な料理ですが、県外から来るお客様にとっては大変新鮮で満足度の高い料理として高評価が期待できます。

 

主食はおいしいものがいい「ごはん・パン」

日本全国どこのホテル旅館でも、「ごはん」「パン」(両方・またはいずれか)は必ず提供しています。ホテル旅館の料飲部門のスタッフにとっては、当たり前の話で意識せずにメニューの一つとして提供していると思います。しかしながら、お客様が家庭でも毎日食べている「ごはん」、「パン」ほど、味のレベルは容易に判断されてしまいます。「あの旅館のご飯は美味しくなかった→他の料理も美味しくない(と感じた)」と口コミ評価を下げないように気をつけたいですね。
 
以前、出張で宿泊した島根のホテルでとても美味しいご飯を提供していました。炊き方、味、香り、全て本当に身に染みるおいしさでした。島根と言えば、「仁多米」が有名です。お米も水も美味しいのでしょうが、ホテルスタッフにヒアリングしたところ、炊き方も工夫していました。炊飯を担当する女性スタッフが専任で担当しており、炊きあがりの加減をチェックするという体制をとっていたのです。
 
ご飯の味にこだわるならば低価格で流通している国産米ではなく、地元の銘柄米を使うことをお勧めします。米はグレードの高いものを使っても1人あたり原価は他の食材と比べると大きな負担増にはなりません。予算に余裕があれば、特別栽培米や低農薬米を使用すれば、メニューPOPも魅力的な文言が書けるでしょう。
 
日常的な料理ほど調理部門のレベル、調理スタッフの腕の差が現れます。「あのホテルのご飯は、本当においしい」、「あんな美味しいパンは食べたことがない」と言われるホテル旅館と口コミ評価が得られるよう基本を大切にすることをおすすめします。
 
(本コラムは、橋本真雪さんに執筆協力頂きました)