こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。
口コミへの返信は、ホテル・旅館の評価を左右する大切な仕事です。ていねいな返信は、これから予約を考えている人の安心につながります。けれども、毎日のように届く口コミに一つひとつ返事を書くのは、けっこうな手間です。お詫びが必要な場面では、言葉選びにも気をつかいます。
こうした「言葉を書く仕事」は、生成AIが得意とするところです。今回は、口コミ返信とお詫び文に生成AIをどう使うか、とくにクレームをむしろファンづくりの好機に変える使い方にも触れながら、どこは人が引き受けるべきかをお話しします。いまの水準に合った指示の出し方(プロンプト)と、その生成結果の例もあわせて紹介します。
- 返信の下書きを、生成AIで速く。いまの水準のプロンプトと生成結果を紹介します。→ ポイント①へ
- お詫びを、ファンづくりの好機に変える。冷静で前向きな返信を素早く。→ ポイント②へ
- 多言語にも、客層に合わせても。母国語で、相手に合わせて。→ ポイント③へ
- AIに任せること、人が持つこと。言葉は任せ、誠意と責任は人が。→ ポイント④へ
気になるポイントだけ、つまみ読みでも役立つように作っています。

ポイント① 口コミ返信の下書きを、生成AIで速く
生成AIに口コミ返信の下書きを作らせるのは、効果が大きく、すぐに始められる使い方の筆頭です。実は私は、生成AIが世に出た直後の2023年、観光経済新聞の連載で、この口コミ返信とお詫び文への活用を業界向けにいち早く紹介しました。当時は、次のような短い指示で返信文が出てくるだけで、驚かれたものです。
いまの生成AIは、さらに賢くなりました。役割・自館のトーン・口コミの内容・返信の方針・文字数をまとめて指示するほど、その施設らしい自然な返信を返してくれます。たとえば、次のように指示します。
このように、感謝を具体的に述べ、残念な点にも誠実に触れた返信が、数秒で返ってきます。役割を「ホテルの総支配人」「フロントマネージャー」に置き換えれば、ホテルでもそのまま使えます。文体も「紳士的に」「中学生にも分かるように」などと添えれば、相手に合わせて変えられます。苦手意識のあるスタッフでも、下書きがあれば、ぐっと取りかかりやすくなります。
良い評価も、低い評価も、全件返信の方針で返信率の高い施設は、新しい投稿も増えやすい
「あなたは旅館の女将です」「ホテルの支配人です」── 自館らしい立場と文体を指定
事実と違う記述・できない約束がないか。その施設らしい言葉か。心がこもっているか
下書きがある体制なら、無理なく守れる速さ
朝食・大浴場・眺望など、自館の特徴語を返信で自然に補強積み重なった返信は、AIが自館を紹介するときの材料にもなる(AI時代の「見つけられ方」の記事へ)
ポイント② お詫びを、ファンづくりの好機に変える
お客様のクレームへのお詫び文も、下書きを作れます。ただ、ここで視点を一つ変えてみましょう。
お詫びは、ただ謝って終わりではありません。むしろ、お客様との関係を深める好機です。否定的な口コミへの公開返信は、投稿したお客様だけでなく、これから予約を考えている多くの人が見ています。ていねいで前向きな対応は、施設の誠実さを伝え、かえって信頼を高めます。きちんと対応されたお客様が、その後の常連やファンになることも、珍しくありません。
そして、ここに生成AIの、見落とされがちな強みがあります。人は、否定的な口コミを受け取ると、つい感情的になったり、身構えたりしがちです。AIは冷静で、落ち着いた前向きな文面を提案してくれます。とげのある言葉に、とげで返してしまう失敗を防げます。実際に、次のように指示してみます。
謝罪だけで終わらず、改善の姿勢と、次への前向きな一言まで含んだ返信が返ってきます。これを読んだ他の見込み客にも、誠実さが伝わります。

ただし、ここに今の生成AIならではの注意が要ります。AIは、調子よく「すでに改善に着手しました」といった、事実でない一文を書いてしまうことがあります。書かれた約束を本当に実行できるか、人が確かめてから送る。できない約束はしない。逆境をチャンスに変える最後の鍵は、AIの言葉ではなく、人の誠意と具体的な行動です。謝罪は責任の表明であり、ファンづくりは行動の積み重ねです。
口コミやお客様の声を、評価向上にどう活かすか。ご一緒に考えます。
口コミ活用の進め方を相談する不快な思いをさせたことへ、まず正面から。言い訳や反論はしない
「遮音の確認」「夜間のご案内の見直し」── 抽象的な反省より、具体がひとつ
「次にお越しの際には」── 関係を未来につなぐ言葉で締める
読んでいるのは投稿者だけではありません。これから予約を考える人に、誠実さが伝わります。なお、AIは「すでに改善に着手しました」と事実でない一文を書くことがあります。実行できる約束だけを残してください。
ポイント③ 多言語にも、客層に合わせても
生成AIの強みは、言葉の壁を越えられることです。返信の依頼に「英語で」「簡体字で」「ハングルで」と添えるだけで、その言語の返信文を作ってくれます。インバウンドのお客様にも、母国語でていねいに返せます。
客層に合わせた文体の調整もできます。「中学生向けに」「大学生向けに」と添えれば、相手に合った言葉づかいや内容にしてくれます。修学旅行や合宿の受け入れが多い施設なら、こうした使い分けが役に立ちます。ただし、外国語の返信は、送信前に不自然な点がないかを確認するとよいでしょう。

口コミを「書く」だけでなく、「読む」にも使う
生成AIは、返信を書くだけでなく、口コミを読み解くのにも使えます。たまっていく口コミやアンケートを、まとめて読み込ませてみましょう。数百件におよぶお客様の声を、AIが要約し、何がほめられ、何が不満として繰り返し挙がっているかを整理してくれます。
一件ずつ読むだけでは見えてこない傾向が、まとめて分析することで浮かび上がります。これは、自館の改善点を見つける確かな手がかりになります。
ポイント④ AIに任せること、人が持つこと
ここまでをまとめます。口コミ返信も、お詫び文も、多言語化も、AIが作るのは下書きです。送信する前に、人が必ず目を通します。事実と違っていないか、その施設らしい言葉になっているか、心がこもっているか。とりわけ謝罪は、AIに任せきりにしてはいけません。
言葉は任せてよい。誠意と責任は、人が持つ。ハブ記事の線引きと同じ構図です。
青木康弘支援先で返信の体制ができると、現場の表情が変わります。口コミが「怖いもの」から「資産」に変わる瞬間です。返信は、販促費のかからない集客でもあります。言葉をつくる作業は任せてよい。
けれども、誠意と責任は、人が持つ。
これは、ハブ記事でお話しした、生成AIの活用全体に通じる線引きと、まったく同じです。
よくある質問
Q. 悪い口コミがつくと、落ち込んでしまいます。
A. 否定的な口コミこそ、好機ととらえてみてください。ていねいで前向きな公開返信は、ほかの見込み客にも施設の誠実さを伝えます。AIは、感情的にならない冷静な下書きを助けてくれます。あとは、改善を具体的な行動で示すことです。
Q. 口コミ返信をAIに任せると、心がこもらないのでは。
A. AIが作るのは下書きです。送る前に人が、その施設らしい言葉に仕上げ、事実を確かめます。手間を減らしながら、心は人が込めます。
Q. クレームへのお詫びも、AIで作ってよいですか。
A. 下書きは作れます。ただし謝罪は責任の表明です。何があったかを人が確認し、誠意をどう示すかを決めてから送ります。AIが書いた、事実でない改善の約束をそのまま送ってはいけません。
Q. 何から始めればよいですか。
A. まず、いつもの口コミ返信の下書きをAIに作らせ、手を入れて送ることから始めてください。慣れてきたら、たまった口コミの要約にも使ってみましょう。
さいごに
いかがだったでしょうか。口コミ返信やお詫び文は、生成AIがもっとも力を発揮する「言葉の仕事」です。うまく使えば、作業の手間は大きく減り、クレームさえファンづくりの好機に変えられます。けれども、最後に心を込め、責任を引き受けるのは人です。その役割分担さえ守れば、生成AIは心強い味方になります。
弊社アルファコンサルティングでは、特定のツールや業者と利害関係を持たない中立の立場から、口コミやアンケートを活かした評価向上の進め方を、ホテル・旅館それぞれの施設に合わせてお手伝いしています。
初回相談無料です。口コミ対応やお客様の声の活用に迷われている方は、どうぞお気軽にご相談ください。