親子の関係性、心理・思考・行動分析に基づく、親子とも幸せになれるホテル旅館の事業承継のポイント

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。

最近、後継者不在のために事業を第三者へ売却する会社が増えていますが、ホテル旅館業は家族経営(家業)が色濃いために血の繋がった息子、娘へ承継するケースが今でも多いです。

一方で、親族から親族への承継だから円滑な意思疎通が図れるかというとそうではありません。血の繋がった親子であるために、親子間の様々な葛藤がホテル旅館の運営に影響をもたらすことがあります。

今回はホテル旅館の事業承継を円滑に進める方法について、親子の関係性や心理・思考・行動パターンにフォーカスしながら説明したいと思います。

 

親子の関係パターン

事業承継に影響を与える親子関係のパターンは次の通りです。

  1. 親は社交的、子は内向的
  2. 親は挑戦的、子は保守的
  3. 親は叩き上げ、子はエリート
  4. 親は創業者直系、子の配偶者は養子
  5. 親子の本意でない事業承継
  6. 親が業績不振の原因を作った館の事業承継
  7. 親は共働き、子は肩働き

今回は①から④までを説明したいと思います。

 

親は社交的、子は内向的

ホテル旅館の経営者は、地元の名士として政界や財界から様々な役職を頼まれる機会が多いでしょう。両親が社交的で成功体験を積んでいれば、自分の子どもにも社会的に重要なポジションについてほしいと考えるでしょう。しかし、子どもも社交的な性格になるとは限りません。むしろ、対照的な性格の方が多いように感じます。

このようなケースでは、親は子どもに対して社交的になるよう無理強いすべきではありません。子どもの性格に合わせて社外活動は必要最小限に留めて、館内の業務効率の改善や接客サービスの向上、施設メンテナンス、マーケティング等に才能を活かした方が良いでしょう。経営者が社交的であることはメリットばかりではありません。必要なお付き合いは、他の親族や幹部の持ち回りで対応すると良いでしょう。

 

親は挑戦的、子は保守的

事業意欲が高く、ホテル旅館の増改築や多店舗展開、多角化に熱心なホテル旅館の経営者の子どもが親と同様の器を持っているとは限りません。親が過度に事業拡大し過ぎたために子どもの代になって衰退の憂き目に遭うことは珍しくありません。親が挑戦的である一方で、子どもが保守的であれば、子の性格に合わせて事業の整理や縮小を承継前に行っておくことも一案でしょう。

すでに事業承継を済ませた後ならば、親から子どもに「事業の整理や縮小を望むなら、どのように進めても構わないよ。事業規模を維持することに固執する必要はない」と伝えると良いでしょう。地域の名士であるホテル旅館の経営者は、衆目に晒され、親子で比較されやすい存在です。くれぐれも劣等感や親に対する反発心を持たせないよう配慮したいですね。

 

親は叩き上げ、子はエリート

ホテル旅館の経営者は子どもの教育に熱心です。後継者としての素養を身につけさせるために大学進学や海外留学させることは珍しくないですが、親の意を汲んだ形で承継するかというとそうではありません。特に考え方の相違が出やすいのが、親が創業者や中興の祖といわれる実績を上げていて、子どもがエリート教育を受けている場合です。

このようなケースでは、子どもに部門責任者を任せることや別会社を作って経営を任せるなどの経験を積ませてから事業承継を行うことをお勧めします。エリート教育を受けていても、宿泊業の現場の実態やスタッフの特性等を理解しないと的確な経営判断することは難しいでしょう。また、古参の役員や経営幹部の人心掌握ができずに改革が表層的となりやすいという問題があります。

子どもがエリート教育を受けていても、子供の頃に接客や布団の上げ下ろし、清掃などを手伝う経験をしているとスムーズに承継できているケースが多いと言えます。勉学に差し障りあるからと学生の頃から仕事を手伝わせることをためらう親がいますが、将来後継者として期待しているならば遠慮なく手伝いに巻き込むことをお勧めします。

 

親は創業者直系、子の配偶者は養子

ホテル旅館の後継者として婿養子が指名されることは珍しくありません。中には、海外駐在していたメーカーの社員からホテル旅館の役員に転身するケースもあります。

このようなケースでは、ホテル旅館業のあるべき姿について一方的に押し付けるのではなく、婿養子の性格や得意分野に合わせて役割を与えていくことが望ましいでしょう。婿養子となったことを機に歴史あるホテル旅館に入社し、成長の礎を作った経営者も少なくありません。後継者に指名されたからと気負いせず、配偶者や親族に過度な気遣いをすることなく自然体で能力を発揮できる環境づくりを行いましょう。

いかがだったでしょうか?このような話は実はどこのホテル旅館でも珍しくない話です。自分たちだけが特別だと悩まず、冷静に対処して行くことをお勧めします。