百三十年つづいてきた宿が、新しいビルに生まれ変わる。それは、華やかな出来事のように映ります。けれども開業準備の現場に立つと、最初に立ちはだかるのは、建物でも資金でもありませんでした。

新しい建物は、図面どおりに建ちます。けれど、新しい組織は、図面どおりには動きません。

東京・日本橋。明治二十四年の創業から、時代に合わせて姿を変えながら暖簾を守ってきた老舗が、全面建て替えという大きな決断に踏み切りました。当社がお引き受けしたのは、その新しい器を「開業初日から、そしてその後も続けて、回り続ける宿」にするための、地味で、けれど成否を分ける仕組みづくりです。

OVERVIEW
依頼者
ホテルかずさや様(東京・日本橋/代表取締役 工藤哲夫氏)
案件
創業130年を超える老舗宿の全面建て替えに伴う、新規開業支援
施設概要
地上10階・客室154室・和モダン。大浴場・レストランを備えるホテル(2020年7月開業)
当社の役割
採用・定着の支援/雇用環境・諸制度の整備/営業方針・料金設定/競合調査/開業に向けたプロジェクト支援(開業から継続営業までの“丸ごとバックアップ”)
公的支援
(公財)東京しごと財団の支援事業(専門家派遣)を活用
媒体掲載
東京ホテル旅館ニュース 第686号(2019年10月15日発行)ほか
1891創業(明治24年)
日本橋本町に開業
130年超受け継がれてきた
暖簾の歴史
154従来の約2倍に増設
地上10階・大浴場新設
2020.7全面建て替えによる
リニューアル開業

01.百三十年の暖簾と、建て替えという決断

ホテルかずさや様は、明治二十四年(1891年)、日本橋本町に「上総屋旅館」として産声を上げました。江戸以来、東海道の起点として商いの中心地であった日本橋には、地方から訪れる商人のための宿が数多く集まり、その文化はいまも、創業百年・二百年を超える老舗の料理店として、街のあちこちに息づいています。かずさや様は、その日本橋で四代にわたって暖簾を守ってきた、数少ない宿のひとつです。

長い歴史のなかで、宿のかたちは一度ならず変わってきました。明治の世に旅館として産声を上げ、やがて時代の求めに応じてホテルへと姿を変え、近年は、出張で日本橋を訪れるビジネスのお客さまに支えられる、小規模なホテルとして歩んでこられました。そしてこのたび、建物そのものの更新の限界と、街を訪れるお客さまの大きな変化を受けて、全面建て替えという決断に踏み切られました。隣接地を取り込んで地上十階のビルを新築し、客室は従来の約二倍にあたる百五十四室へ。和モダンの設えに大浴場とレストランを備え、これまで支えてくださったビジネス客に加え、国内外から日本橋を訪れる観光のお客さまにも選んでいただける。創業以来の「心和む暖かいおもてなし」を、新しい器の上に築き直す。それが、この計画の輪郭でした。

老舗の運営は、長い年月をかけて磨かれた慣習に支えられています。それは何よりの強みであると同時に、客室数も客層も大きく変わる新しい器の上では、そのままでは通用しないことがあります。先代から受け継いだやり方を、新しい規模と新しいお客さまに合わせて、丁寧に組み替えていく。当社がご一緒したのは、まさにこの仕事でした。

02.建て替えがもたらす、もう一つの「空白」

単独で宿を営むということは、チェーンに属する施設とは、建て替えの重みがまるで違います。チェーンであれば、一つの館を建て替えているあいだも、人も運営のノウハウもグループのなかで支え合うことができます。けれども、独立した一軒の宿として歩んできた施設にとって、建て替えは経営の根幹を揺るがしかねない、重い決断です。

そして建て替えには、長い時間がかかります。取り壊しから数えれば、再び扉を開けるまでに三年近くを要することも珍しくありません。難しいのは、この空白の期間です。四十年、五十年とかけて築き上げてきた人員や組織体制が、営業を止めているあいだに、少しずつほどけていってしまいます。動かす建物がない以上、それまでと同じ体制を維持し続けることは、現実にはとても難しい。長く支えてくれた方々と、いったんお別れせざるをえない場面も出てきます。これは、建て替えに踏み切った宿が、しばしば直面する現実です。

では、数年を経て再び開業の日を迎えたとき、その宿はどうなっているでしょうか。建物は真新しく生まれ変わっています。けれども、こと人員体制に関しては、百年を超える老舗であっても、ほとんどゼロからの出発に近い状態になっていることが、少なくありません。

これは、よく言えば、過去のしがらみに縛られず、まっさらな体制で再出発できるということでもあります。けれども見方を変えれば、長い歴史を持つ宿が、もう一度、会社を立ち上げるに等しい仕事を抱えるということでもあります。そして、この立ち上げの苦労は、外から想像する以上に大きいものです。

新しい建物は、予算と専門家が用意できれば、ほぼ確実に建ちます。けれども、新しい組織は、お金を積んでも自動では立ち上がりません。

建物の建設は、一見すると複雑きわまりない仕事に見えますが、実のところ、失敗することはほとんどありません。建設会社や設計事務所が、豊富な人員と確立された手順のなかで進めてくれるからです。相応の予算さえ用意すれば、よい建物、よいホテルは形になります。

ところが、人員体制と運営体制の構築は、そうはいきません。独立した宿であれば、これは自社でやり遂げるしかない仕事です。どこかのチェーンに任せるわけにもいかず、人づてを頼りながら幹部を探し、その下で働く一人ひとりを集めていく。きわめて属人的で、手探りの作業になります。

そして、この再出発の体制づくりが円滑に運ぶかどうかが、開業後のスタートダッシュを大きく左右します。ここでつまずいて非効率なやり方のまま走り出してしまうと、その非効率は宿の習慣として居座り、その後の運営にも慢性的な負担として残り続けます。一見すると地味に映る、再開業時の人員体制・運営体制の構築こそ、実は宿の行く末を決める、もっとも重要な仕事のひとつなのです。

上質なホテルのロビー空間
新しい器を仕上げるのは設計と施工。けれど、その器を開業初日から動かすのは、人と仕組みです。(写真はイメージ)

03.開業準備で、最初に立ちはだかるもの

前章で述べたとおり、開業準備でほんとうに難しいのは、建物そのものではなく、その建物を開業日から動かす人と仕組みを間に合わせることです。そして、新しい器が大きくなるほど、この準備は一段と複雑さを増していきます。

客室数が増えれば、必要なスタッフの数も、役割の種類も、引き継ぎの手順も、一段複雑になります。フロント、客室清掃、レストラン、大浴場の管理。それぞれの持ち場が、開業初日から噛み合って動かなければなりません。華やかな内覧会の裏側で、採用や教育、運営の手順づくりが間に合わず、開業直後に息切れしてしまう。残念ながら、そうした場面を、私たちはこれまで数多く見てきました。

建物の完成と、組織の完成は、別の時計で進みます。当社が開業支援で最初に向き合うのは、いつもこの「時間差」です。

だからこそ当社は、ご支援の出発点で、一つの線を引きました。「開業」をゴールにせず、「開業してからも続けて回ること」をゴールに置く。この一点の置き方が、その後のすべての打ち手の優先順位を決めていきました。

FIG.01

「丸ごとバックアップ」の全体像

採用・定着の支援諸規定・制度の整備営業方針・料金設定競合・市場の調査開業プロジェクト支援 開業初日から、 続けて回り続ける宿

採用・定着、制度、営業・料金、競合調査、プロジェクト支援。これらを別々の作業として並べるのではなく、「開業初日から、そしてその後も回り続ける宿」という一つの目的に束ねていく。当社が開業支援でお引き受けしているのは、この束ね方そのものです。

図のように、当社がお引き受けした業務は多岐にわたります。けれども、それらは別々の作業の寄せ集めではありません。すべてが「開業初日から、そしてその後も回り続ける宿」という一点に向かって束ねられている。これが、当社が“丸ごとバックアップ”と呼んでいる関与のかたちです。以下、その中心となった三つの仕事について、順にご紹介します。

04.採用と定着 ── 「集める」と「根づかせる」は別の仕事

新しい器を動かす人を、開業日までに揃える。これが、開業準備のなかでももっとも切迫した課題でした。今回、その人材まわりの取り組みには、(公財)東京しごと財団の支援事業を活用し、当社が専門家として継続的に支援しました。

旅館・ホテルの人材確保には、業界特有の難しさがあります。「長時間できつい職場」というイメージが先行し、敬遠されやすい。だからこそ、求人の出し方一つにも工夫が要ります。たとえば、業態の近い飲食業やシティホテルの求人が多く集まる媒体を選ぶ、紹介会社にあらかじめ求める人物像を伝えておく、といった手立てです。さらに、正社員とパートでは、仕事に求めるものが大きく異なります。勤務時間の柔軟さや自宅からの近さを重視する層と、長く腰を据えてキャリアを築きたい層とでは、響く言葉も、見せるべき情報も違うのです。

当社は、かずさや様が狙うべき求職者の傾向に合わせて、募集要件と求人票を整え、人材選定をご一緒しました。けれども、ここで終わらせなかったことが、本支援の核心だったように思います。人を「集める」ことと、人が「根づく」ことは、まったく別の仕事だからです。

採用と定着 ── それぞれで効く打ち手は異なります
段階主な論点当社がご一緒したこと
集める誰に、どの媒体で、どう届けるかターゲット求職者の傾向分析、媒体・手段の選定、求人票の設計
選ぶ新しい器に合う人物像の見極め募集要件の言語化、選考基準づくり、人材選定への助言
根づかせる入った人が、辞めずに育つ環境勤務体系・雇用環境の見直し、定着を促す制度・運用の設計

とりわけ「根づかせる」ことは、歴史ある宿ほど神経を使う領域です。一族で守ってきた宿は、その結束が強みである一方、外から入ったスタッフが力を発揮しにくくなることがあります。接客係を中抜けの勤務にしている施設は少なくありませんが、これを早番・遅番のシフト制に組み替えるだけでも、働き手にとっての魅力は大きく変わります。当社は、求職者にとって入りやすく、入った人が長く続けられる環境を、制度の側から整えていきました。

採用は、開業日に向けた短距離走。定着は、その先の長距離走。両方を同時に設計しなければ、開いた宿はやがて人手で詰まってしまいます。

05.諸規定・制度の刷新 ── これまでの仕組みを、新しい規模の宿が回る仕組みへ

採用と並んで取り組んだのが、それまで使われてきた諸規定や制度を、時代の流れと新しい施設の規模に合わせてアップデートしていく仕事です。就業規則、勤務シフト、日々の業務手順──こうした「宿を回すルール」は、長い歴史のなかで少しずつ積み重なり、時に属人的なかたちで受け継がれてきます。

老舗ほど、こうした仕組みを文書として整えることに、ためらいが生じやすいものです。「先代からのやり方」で長く回ってきた現場に、新しいルールを持ち込むことには、当然ながら抵抗が伴います。けれども、客室百五十四室の規模を、多様な背景を持つスタッフと、国内外のお客さまを相手に回していくためには、誰が見ても迷わない標準が欠かせません。

大切なのは、ルールをただ作ることではなく、現場に根づかせることです。当社は、新しい制度をスムーズに導入し、運用として定着させていくための手順をご一緒に設計しました。古くから培われたおもてなしの心はそのままに、それを支える仕組みだけを、現代の宿が回る形へと組み替えていく。これが、この工程で最も心を砕いた点でした。

採用・定着と、制度・規定の整備。これらは、開業日のずっと手前から動かしておかなければ間に合いません。内装が仕上がってから人を探し始めても、開業初日には到底間に合わないのです。次の図は、開業準備がどのような時間軸で進むのかを、おおまかに整理したものです。

FIG.02

開業準備の流れ(時間軸)

構想・基本計画01競合・市場調査02制度・規定の整備03採用・教育04プレ→開業05← 開業のずっと手前から開業日 →

採用や制度の整備は、内装や什器が整うよりもずっと前から動かしておく必要があります。建物の完成と、組織の完成は、別の時計で進みます。開業準備でもっとも見落とされやすいのが、この時間差への備えです。構想・基本計画から競合調査、制度設計、採用・教育、プレオープンを経て、開業初日を迎えます。

06.営業方針・料金設定・競合調査 ── 開業初日から「選ばれ続ける」ために

器を動かす準備と並行して進めたのが、開業後に「選ばれ続ける」ための設計です。具体的には、料金設定の見直しと、エリアの競合調査でした。

日本橋・新日本橋という立地は、ビジネス需要と観光需要が交差する、特徴のある商圏です。徒歩圏に競合がひしめくこの地で、どの客層に、どの価格帯で、何を売りにして届けるのか。ここで安易に近隣の成功施設を真似てしまうと、価格競争に巻き込まれ、せっかくの差別化資産を活かせなくなります。大手チェーンの料金や仕様をそのままなぞっても、思うように集客できるとは限らないのです。

かずさや様には、和モダンの設え、大浴場、そして百三十年培われたおもてなしという、明確な差別化資産がありました。当社は、競合の客室数・価格帯・客層を一つずつ調べ上げたうえで、これらの資産を「どの客層に、いくらで届けるか」という営業方針と料金設計に落とし込んでいきました。

もう一つ、開業期に決定的に効いてくるのが、初期の口コミです。開業直後の評価は、その後の予約の流れを大きく左右します。当社はこれまでさまざまな施設で口コミ対策をご支援してきましたが、ここで培った勘どころも、開業に向けた商品づくり・プラン設計に活かしました。新しく開く宿が、最初の数か月で良い評価の循環に乗れるかどうか。その立ち上がりを、設計の段階から織り込んでいったのです。

上質なホテルの客室
和モダンの設え、大浴場、百三十年のおもてなし。差別化資産を、どの客層に、いくらで届けるか。営業方針と料金設計の出発点です。(写真はイメージ)

07.「丸ごとバックアップ」が、意味したもの

採用・定着、諸制度の整備、営業方針・料金設定、競合調査、そして開業に向けたプロジェクト支援。一つひとつは、別々の専門領域に見えるかもしれません。けれども当社は、これらを個別の作業として並べるのではなく、すべてを「開業初日から、そしてその後も回り続ける宿」という一点に束ねてご支援しました。これが、開業準備から継続営業までを通しでお引き受けする“丸ごとバックアップ”の意味です。

新しい建物は、図面が建てます。けれど、新しい宿を動かすのは、人と仕組みです。当社がお引き受けしたのは、その後者でした。

─── ある老舗ホテルの話、として読まれているかもしれません。けれども

本記事をお読みになりながら、ご自身の宿や検討中の計画と重ねられた方も、少なくないのではないかと思います。歴史ある建物の更新、旅館からホテルへ(あるいはその逆)の業態転換、新規開業やリニューアル開業の準備、そして慢性的な人材の確保と定着。いずれも、立派な建物や計画があるだけでは前に進まず、それを動かす運営力が伴って初めて成果につながる課題です。

当社は、本件のような開業・リニューアル支援だけでなく、業態転換やリノベーションの計画策定、事業計画・収支シミュレーション、人材・組織の整備まで、宿の課題に幅広く支援しております。次の章からは、本記事をお読みくださっている読者層ごとに、どのようなご相談があり、当社がどう関与してきたかを整理いたします。

08.その取り組みが、媒体に取り上げられました

かずさや様での一連の取り組みは、東京都ホテル旅館生活衛生同業組合が組合員向けに毎月発行する情報誌「東京ホテル旅館ニュース」第686号(2019年10月15日発行)で紹介されました。開業準備期に、採用支援から営業方針の確立まで、開業からその後の継続営業を見据えた仕組みづくりを“丸ごと”ご支援したこと。料金設定の見直しや競合調査に加え、それまで使われてきた諸規定や制度を、時代に合わせてアップデートしたこと。そして、狙うべき求職者の傾向に合わせ、長く働き続けてもらえる環境を整えたこと。こうした取り組みが、代表の工藤様のコメントとともに取り上げられています。

東京ホテル旅館ニュース 第686号 掲載記事
東京ホテル旅館ニュース 第686号(2019年10月15日発行)に掲載された、かずさや様での取り組み。

かずさや様は2020年7月、全面建て替えによるリニューアル開業を果たし、日本橋の老舗として、いまも営業を続けておられます。

なお、本件と同じ(公財)東京しごと財団の支援事業を活用し、独立系の旅館からチェーンホテルまで、多くの宿の採用・働き方・生産性の課題を支援した取り組みは、「ホテル・旅館の人手不足の正体は『募集の量』ではない ― 採用・働き方改革・生産性向上の支援事例」で詳しくご紹介しています。本記事が一軒の宿の開業を軸にした物語であるのに対し、そちらは複数の宿に共通する人材・組織の構造を扱っています。あわせてお読みいただくと、当社の人材・組織支援の幅をご覧いただけます。

本支援の価値は、華やかな開業日そのものにあるのではないと、当社は考えています。開業はゴールではなく、長く続く営業の出発点です。その出発点に、人と仕組みという運営力を確かに残せたこと。それが、百三十年の暖簾を次の時代へつなぐ、ささやかな、けれど確かな一押しになったのではないかと思っています。

09.こんなご相談を、これまで頂戴してきました

本記事のような開業支援に限らず、宿の建て替え・業態転換・人材といったご相談は、立場の異なるさまざまな方からお預かりしています。代表的な五つの立場と、よく頂戴するご相談の輪郭を、参考までに整理しておきます。

歴史ある宿を受け継ぎ、建て替え・大規模改修を検討される方

建物の更新の時期が近づいている。建て替えるべきか、大規模改修で延ばすべきか、判断の物差しが欲しい。

建物の現状診断、建て替え・改修・業態転換それぞれの将来シミュレーション、投資回収の見通しまで、意思決定の前提となる選択肢を、定量的に並べて整理します。残すべきもの(おもてなしや歴史)と、変えるべきもの(仕組みや規模)の切り分けからご一緒します。

業態転換(旅館⇄ホテル・連泊型など)を検討される方

いまの業態のままでは単価も客層も先細りが心配。別の業態に変えたいが、本当に成り立つのか確かめたい。

立地・設備・客室仕様が新しい客層のニーズに合うかの調査、ターゲット客層と価格帯の設計、転換費用と投資回収のシミュレーションまで。近隣の成功事例を鵜呑みにせず、その施設に固有の最適解を、ゼロから一緒に組み立てます。

新規開業・リニューアル開業の準備を進められる方

設計や工事は進んでいるが、開業日までに本当に人と運営が間に合うのか、不安が拭えない。

本記事のような開業支援です。採用・教育、諸制度・規定の整備、営業方針・料金設定、競合調査、開業に向けたプロジェクト支援まで。「開業して終わり」ではなく「開業してからも回り続ける」ことをゴールに、開業準備から継続営業までを通しでお手伝いします。

人材の確保と定着に、長く悩んでこられた方

求人を出しても人が集まらない。せっかく採っても、なかなか根づいてくれない。

ターゲット求職者の傾向に合わせた募集要件・求人票の設計、選考基準づくり、そして勤務体系・雇用環境・諸制度の見直しによる定着支援まで。「集める」と「根づかせる」を別の課題として切り分け、それぞれに効く打ち手を整えます。

開業はしたものの、運営や数字が安定しない方

立派な施設はできたのに、稼働も単価も思うように伸びない。どこから手をつければよいか分からない。

現状の数字と運営の棚卸しから入り、料金設定・販売チャネル・口コミ対策・業務の手順まで、伸び悩みの要因を一つずつ特定して改善の優先順位を整理します。立派なハードを、確かな成果に結びつけるための運営面の立て直しをご一緒します。

もし以上のいずれかが、ご自身や宿の現在の状況に近いと感じられましたら、次の章でご紹介する業務メニューも、あわせて参考にしていただけるかもしれません。

10.同種のご依頼で、当社が取り組んできたこと

かずさや様のような開業・リニューアル支援は、当社が宿泊業のお客さまからお預かりしてきたご依頼の、ひとつの典型です。立地も規模も歴史も異なりますが、根っこにある課題には、よく似た構造があります。これまでお引き受けしてきた取り組みを、いくつかの類型としてご紹介します。

下町・観光地の宿の業態転換と新規開業

ビジネスホテルから日本旅館へ、といった業態転換を伴う建て替え・開業のご支援です。客層の変化を先取りした業態の選び方、開業に向けた採用・マーケティング、開業後の口コミ対策まで通しで支援します。客室単価が業態転換を機に大きく向上した事例もあります。

歴史ある旅館・ホテルの建て替え/大規模改修の判断

建物の更新時期を迎えた宿に対し、建て替え・大規模改修・業態転換・承継などの選択肢を並べ、それぞれの投資回収を試算して、意思決定の土台を整えます。財務が大きく動く局面だからこそ、複数の選択肢を冷静に比較することを大切にしています。

連泊・長期滞在型など、新しい業態への参入

和風コンドミニアムやサービスアパートメント、連泊対応型など、変化する消費者ニーズに合わせた新業態への参入検討です。立地・客室面積・付帯設備の適性を精査し、成り立つかどうかを投資・収支シミュレーションで見極めます。

開業準備の人材・制度づくりのスポット支援

開業日が迫るなかでの採用・教育、諸制度・規定の整備に的を絞ったご支援です。本件のように公的な支援事業を活用しながら、専門家として継続的に支援するかたちも、状況に応じてご提案しています。

当社の特徴は、特定の建設会社・金融機関・オペレーターと利害関係を持たない独立した立場から、依頼者であるオーナー・経営者の利益を最優先にご支援する点にあります。だからこそ、「業者の都合」ではなく「その宿にとっての最適解」を、中立的な第三者の視点で一緒に探すことができます。

11.ご相談いただける業務メニュー

当社が宿泊業向けに提供している業務のうち、本記事のテーマに関わるものを、ご相談の進め方の見当がつくよう整理しました。「自分の状況なら、どこからご相談できるか」をイメージしていただくための、ごく簡易な見取り図です。

OPENING SUPPORT

開業・リニューアル開業支援

本記事と同種の業務です。採用・教育、諸制度・規定の整備、営業方針・料金設定、競合調査、開業に向けたプロジェクト支援まで、開業準備から継続営業までを通しでお手伝いします。

こんな場面で
開業日までに人と運営が間に合うか不安なとき
主な成果物
採用・教育計画、諸制度・規定、営業・料金方針、競合分析
進め方
初回相談で開業時期と制約を整理 → ご提案 → 継続支援
RENOVATION / CONVERSION

業態転換・リノベーション計画

建物の更新時期を迎えた施設や、業態転換を検討する施設に対し、現状診断・改修方針・投資計画・投資回収シミュレーションを作成します。

こんな場面で
建て替え・改修・業態転換を、投資回収とともに検討したいとき
主な成果物
現状診断書、計画書、投資回収シミュレーション
進め方
初回相談で施設の状況と方向を確認 → 現地視察を含むご提案
BUSINESS PLAN

事業計画・収支シミュレーション

新規開発、建て替え、業態転換などの具体的な事業を、投資判断に耐える計画へ落とし込みます。収支計画・投資回収計画の策定や、資金調達に向けた資料作成を支援します。

こんな場面で
構想を、金融機関にも示せる事業計画にしたいとき
主な成果物
事業計画書、収支シミュレーション、資金調達向け資料
進め方
初回相談で構想の段階と制約を確認 → ご提案 → 着手
PEOPLE & OPERATIONS

人材・組織・運営力の整備

採用・定着、諸制度・規定の整備、業務手順づくりなど、宿を回す運営力そのものを整えます。公的な支援事業の活用を含め、状況に応じた進め方をご提案します。

こんな場面で
人が集まらない・根づかない、運営が安定しないとき
主な成果物
採用・定着計画、諸制度・規定、業務手順・マニュアル
進め方
初回相談で現状と緊急度を確認 → 簡易診断 or 継続支援のご提案

いずれも、施設の規模・歴史・関係者の数によって関与の形を柔軟に調整しています。「自分の宿はどのメニューに当てはまるか分からない」「複数にまたがっている気がする」というご相談も多く頂戴しており、その整理自体を初回相談でお手伝いしています。

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事業計画の組み立て方、老朽化した施設の選択肢、業態転換の進め方など、本記事の前後で参照される実務記事をご用意しています。お問い合わせの前に、当社の関心や視点を確認いただくのにご活用ください。同じ企画でご紹介した雷門旅館様(浅草)のインタビューも、業態転換の実例として参考になるかと思います。採用・働き方・生産性の課題により深く触れた人手不足対策の支援事例も、本記事と関わりの深い内容です。

雷門旅館様の事例を見る

開業支援でもっとも難しいのは、華やかな建物を仕上げることではありません。その建物を、開業初日から、そしてその後も、人が迷わず気持ちよく動かし続けられる状態にすることです。歴史ある宿であればなおのこと、守るべきおもてなしの心はそのままに、それを支える仕組みだけを現代の規模に組み替えていく。地味な仕事ですが、ここに長く向き合ってきたことが、当社のいちばんの強みだと考えています。

株式会社アルファコンサルティング 代表 青木康弘
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初回相談(60〜90分・無料・オンライン可)では、お手元の構想や課題を整理し、当社がどう関与できるかをその場でご一緒に考えます。本記事のテーマに沿うご相談であれば、次のような論点を扱うことができます。

  • 建て替え・大規模改修・業態転換など、取りうる選択肢の整理
  • 開業・リニューアル開業に向けた準備項目と時間軸の確認
  • 採用・定着・諸制度など、運営力に関する課題の棚卸し
  • 類似の宿の参考事例のご紹介と、次に進むうえでの優先順位の整理

お手元に、構想メモ・図面・収支試算などの資料があれば、共有いただくことで初回相談の密度が高まります。まだ何もない段階でのご相談も歓迎しております。

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