ホテル旅館がグランピング施設、道の駅から学ぶ集客のヒント

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。今回は、ホテル旅館の集客のコツについて、異業種から学ぶという視点でヒントをご紹介しましょう。

ホテル旅館のライバルは同業にあらず

「ライバルと認識しているホテル旅館はどこですか?」と聞くと、近くにある、似たような価格帯のホテル旅館をあげる経営者、運営者は多いです。日々お互いに切磋琢磨して、運営のレベルアップや設備の魅力アップを図るのは有益なことです。一方で、お客さまの立場から見ると、選択肢となるのはホテル旅館ばかりではありません。洋風のリゾートホテルやペンション、ビジネスホテルなどの宿泊施設に加えて、価格帯やサービス体系の全く異なるキャンプ場、貸し別荘も競合となります。

グランピング施設から集客のヒントを得よう

特に、グランピング施設(キャンプ場のうち、キャビン、コテージ等の固定宿泊施設が充実しているもの)は競合施設として強く意識したほうが良いでしょう。キャンプ場全体では長年利用者の減少傾向が続いてきましたが、エアコンやトイレ、シャワー、露天風呂のリニューアル、無線LANの導入などの設備を充実させた施設は人気を集めています。日用品販売の充実や、ネット予約による利便性の向上、食材の斡旋、温泉施設との提携等の取り組みによって気軽に楽しめる施設が増えてきました。
 

キャンプ場でも団体客を受け入れている

設備やサービスの整ったキャンプ場では、団体客の受け入れも行なっています。食材や飲料は持ち込みが主となりますが、団体客の宴会も行うことが可能です。調理や配膳、サービススタッフを配置しなくても一定の顧客満足が得られるので、人手不足に悩むホテル旅館は取り組むのも一案です。
 
敷地周辺でアクティビティを楽しむことができればさらなる魅力アップにつながります。アスレチックやドッグラン、キャニオニング、乗馬等のレジャーを提供している施設もあります。
 

宿泊単価だけではターゲット層が決められない時代に

都会に住むファミリーが、ある時は1泊1人3万円の高級旅館に宿泊し、ある時は1泊1500円のバンガローに宿泊するというのは珍しいことではありません。消費者は目的や好みによって宿泊施設を使い分けているのであって、世帯収入の多寡でターゲット層を決められるほど単純なものではなくなりました。
 
優良なホテル旅館の宿泊プランや料理をまねるのは集客アップ策としては有効ですが、所詮は真似事ですので効果はいずれ頭打ちになります。家族やグループ客の余暇の過ごし方や流行をよく研究して、集客に成功している異業態に学ぶことをお勧めします。ホテル旅館のリニューアルや新規オープンを予定しているならば、一度人気のグランピング施設に訪問して見ると良いでしょう。webには様々な情報サイトがあります。

道の駅はホテル旅館に似てきている

道の駅は、ホテル旅館と全くの異業態ですので、競合とは認識されにくいですが、客室がないことを除けば、ほぼ同様の機能が揃っています。地元産品の売店、飲食店、カフェラウンジ、温浴施設、足湯、アクティビティ施設等があり、ホテル旅館ととても似ています。
 
道の駅は年々増加しており、既に全国で1100駅を超えています。施設間の競争も厳しくなり、専門家を雇ってコンセプトやデザイン、品揃えの特色を出したり、日帰り温浴施設やアクティビティ施設を充実させたりするところも出てきました。
 
自館で日帰り入浴を受け入れており、近隣のお客さまの利用が多いというのであれば、道の駅を競合として意識し、運営手法を参考にすると良いでしょう。webで道の駅のランキングページを見つけるのは簡単です。自家用車で行ける範囲で人気の高い施設を視察すると良いでしょう。
 

道の駅の集客アップ策を学ぼう

道の駅で良く行われている集客アップ、売上アップの手段は次のとおりです。
 

  1. 館オリジナルのお洒落なタオルをフロントで販売する(タオル代金を含めた入館料とする)
  2. 使い切りの基礎化粧品や携帯の充電器、下着類などコンビニエンスストアで売っているような日用品を売店に品揃えする
  3. 顧客動線上に飲料やアイスクリーム、カプセルトイの販売機を設置する
  4. 湯上がり処で軽食のオーダーを取れるようにする
  5. 自家消費用の物産販売を行う
  6. 月間イベントカレンダーを作る

 
日帰り入浴は、昼間の遊休時間帯に人手をかけずに収入を得る手段としては有効ですが、やり方を間違えると銭湯の代用となり失敗します。宿泊客との区分を意識しながら、入館したお客さまを売上げに結びつける仕掛けが必要でしょう。