旅館・ホテルの事業承継、相続税の準備はできていますか?
旅館・ホテルの相続では、現金に換えられない「自社株」に大きな相続税がかかり、その税を払うために価値の高い不動産から売られていくことがあります。自社株評価のざっくり計算から、株価対策、土地の名義、納税資金、持株会社・M&Aまで、承継がまだ先の方にも今から着手できる相続税対策をまとめました。
こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。
旅館・ホテルの経営者から、「先代が亡くなったあと、相続税を払うために土地を売った」という話を聞くことがあります。弊社はこれまで500件を超えるホテル・旅館のご支援をしてきましたが、相続で苦労する宿には共通点があります。黒字経営で借入金の返済が進み、気づかないうちに自社株の評価額が大きくなっていることです。
この記事は、観光経済新聞で連載しているコラム「宿を守る財産戦略」をもとに、旅館・ホテルの事業承継と相続税対策をわかりやすくまとめ直したものです。
この記事を読むとわかること
- 1相続で、価値の高い不動産から手放すことになる理由
- 2自社株にかかる相続税の、ざっくりした計算方法
- 3株を渡すタイミングと、役員退職金の使い方
- 4経営権を手放さずに株を渡す方法(種類株)
- 5土地の名義、納税資金、持ち株会社・売却の考え方
こんな旅館・ホテルの経営者・後継者の方に
- ✓借入金の返済が進み、黒字経営が続いている
- ✓株の一部を後継者に渡したが、そこで止まっている
- ✓土地が先代や社長個人の名義のまま
- ✓後継者がいない、または継がせるか迷っている
- ✓相続税をどう払うか、家族で話したことがない
1つでも当てはまれば、相続税の負担が想像より大きくなっている可能性があります。
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旅館・ホテルの相続で、価値の高い不動産から手放すことになる理由

相続税は、原則として現金で一括して納めます。期限は、相続があったことを知った日の翌日から10か月以内です。
この短い期間で確実に売れるのは、立地が良く、すぐに買い手がつく物件だけです。地方の遊休地や古い建物は、売りに出しても買い手がつきにくいため、結果として一番価値の高い不動産から売られていきます。
「売れない不動産は国に納めればよい(物納)」と考える方もいます。ただ物納は、分割払い(延納)でも現金で納めるのが難しい場合に限られ、管理や処分に向かない不動産はそもそも対象外です。市場で買い手がつかない不動産は、国も引き取らないのが実情です。
ここで見落とされやすいのが、会社の株(自社株)も相続財産になることです。株の評価額は、会社の純資産が大きく影響します。税引後の利益が年3千万円出ていれば、10年で3億円が純資産に積み上がる計算です。借入金の返済が進むのは利益が出ているからで、その分だけ株の評価額も上がっていきます。
ところが、上場していない会社の株は、売って現金にすることができません。買い手を探すこと自体が難しく、売れば経営権を手放すことになります。税金の計算では高い価値がつくのに、納税には使えない。そのため、株にかかる税を払うために、売れる不動産を手放すということが起きるのです。
図表1 相続で良い不動産を手放すことになる流れ
黒字が続き、借入金の返済が進む
会社の純資産が増え、株の評価額が上がる
株にかかる相続税が増える
株は売れないので、ほかの財産で払うしかない

保険や株の移転など、財産の対策は効果が出るまでに年単位の時間がかかります。お金や人材と違い、時間だけは後から用意できません。まずは自館の土地と建物が、誰の名義になっているかを確認するところから始めてください。
→では、自社株にはどれくらいの相続税がかかるのでしょうか。
自社株評価の目安|旅館・ホテルの株にかかる相続税を試算する


「うちは資本金1,000万円の小さな会社だから」という経営者は少なくありません。しかし相続税の計算に使うのは、資本金ではなく、会社の純資産や利益をもとにした評価額です。宿の場合、土地や建物を多く持つため、純資産の大きさが評価額を左右しやすくなります。
利益が積み上がった宿では、評価額が資本金の数十倍になっていることも珍しくありません。借入に苦しんだころの記憶のまま「うちの株に価値はない」と考えている方ほど、実際の数字との差は大きくなります。
図表2 資本金と株の評価額は、まったく別もの
※ 資本金1,000万円、純資産の評価額3億円の会社の例
具体的に試算してみましょう。
図表3 株にかかる相続税の試算
評価額3億円の株を、子2人が相続する場合
※ 株以外の財産がない場合の概算です。相続人の構成やほかの財産によって変わります。
財産の2割強が税になる計算です。しかも、宿の口座にある預金は会社のお金で、相続人が納税に使えるものではありません。子どもたちは6,900万円を、株以外のどこかから10か月以内に用意しなければならないのです。
これは株だけの話です。経営者個人の自宅や土地、預金が加われば、税額はさらに増えます。黒字が続く限り、株の評価額は毎年上がっていきます。何もしないことは現状維持ではなく、負担が年々増えていくことを受け入れることになります。
決算書と固定資産税の課税明細書で、自社株評価をざっくり計算する
自社株の評価額は、決算書と、毎年春に市町村から届く固定資産税の課税明細書があれば、おおよその見当がつきます。
図表4 自社株の評価額をざっくりつかむ手順
決算書の「純資産の部」の合計を見る
貸借対照表(バランスシート)の右下にある金額です。
土地は「課税明細書の評価額×1.14」を目安にする
帳簿の土地は買ったときの金額のままです。目安の金額との差を、純資産に足したり引いたりします。
建物は、課税明細書の評価額をそのまま使う
帳簿の金額との差を、同じように純資産に足し引きします。
注意「評価額」と「課税標準額」を取り違えない
課税明細書には、評価額より低い「課税標準額」も書かれています。使うのは「評価額」の欄です。正確な株価は専門的な方法で計算し、実際にはこの概算より低く出ることが多いのですが、おおよその額をつかむにはこの方法で十分です。
「うちの株はいくら?」から、承継の進め方を整理しませんか
決算書と固定資産税の課税明細書をお持ちいただければ、株・土地・納税資金・後継者のどこに課題があるかを洗い出し、何から手をつけるべきかをお伝えします。税額の試算が必要な場合は、承継に詳しい税理士と連携します。初回相談は無料です。
事業承継について無料で相談する→評価額がわかったら、次は株を「いつ渡すか」です。
自社株の生前贈与は「株価が下がったとき」に|役員退職金による株価対策


株の生前贈与は「社長を交代するときに考えればいい」と思われがちです。しかし黒字の宿では、株の評価額が毎年上がっていきます。渡すのが遅れるほど、相続税は重くなります。
基本は、贈与税がかからない年110万円の枠を使い、毎年少しずつ株を移していくことです。注意したいのは2024年の改正で、亡くなる前の贈与を相続財産に足し戻す期間が、3年から7年へ段階的に延びました。晩年に始めた贈与は、相続税の対象に戻されやすくなっています。オーナーが元気なうちに始めるほど効果があります。
ただ、この枠だけで足りるかは計算してみるとわかります。評価額3億円の株を年110万円ずつ移すと、渡し終えるまで単純計算で270年余りかかります。毎年黒字の宿では、評価額の上がるペースのほうが速いでしょう。この枠が生きるのは、株の評価額が下がったときです。
図表5 株の評価額が下がる主な場面
業績が落ち込んだとき
コロナ禍のような落ち込みは評価額を下げるため、同じ枠で多くの株を渡せます。
建て替えから3年たったとき
新築から3年間は、建物が実勢に近い価格で計算されます。効果が出るのは3年たってからです。
役員退職金を支払ったとき
会社の利益と純資産が一度に減り、評価額が下がります。このあと詳しく説明します。
評価額が下がったときにまとめて贈与し、その評価額で固定する「相続時精算課税」という制度もあります。ただし、一度選ぶと元の制度(暦年課税)には戻れません。贈与の後にさらに株価が下がっても、高い評価のまま課税が確定します。選ぶかどうかは慎重に判断してください。
役員退職金で自社株評価を下げる方法と注意点
役員退職金は、長年の労をねぎらうためだけのものではありません。多額の退職金を支払うと、会社の利益と純資産が一度に減り、自社株の評価額を意図的に下げることができます。
図表6 1億円の役員退職金を払った場合の純資産
※ 法人税が減る効果を差し引くと、純資産はおよそ7千万円減ります。利益も大きく減るため、評価の方法によっては下げ幅がさらに広がることもあります。
評価額が約2.3億円になれば、同じ年110万円の枠で、約3割多くの株を渡せます。株を移すのは、退職金を払った決算期の翌期以降です。
受け取る側の税も軽く済みます。退職金には勤続年数に応じた控除があり、勤続40年なら2,200万円まで税金がかかりません。残りも半分だけが課税の対象です。1億円を受け取った場合の税はおよそ1,700万円で、手取りは約8,300万円。第2章で試算した相続税も、この手取りがあれば払えます。
注意退職金の額と「退職の実態」に気をつける
額の目安は「最終の月額報酬×勤続年数×功績倍率」で、功績倍率は社長で3倍以内が実務の水準とされます(月額100万円・勤続40年なら1億2千万円)。これを大きく超える部分や、退職の直前に報酬を引き上げた分は、会社の経費と認められないおそれがあります。また、会長に退く形でも、給与がおおむね半分以下に減り、経営の中心から実際に離れていなければ、退職金ではなく給与と判断されます。





引退はまだ先、と考えている方も多いと思います。まずは自社に役員退職金規程があるか、金額の決め方に税務上の問題がないかを確かめておくことをお勧めします。
→とはいえ、株を渡すと経営に口を出せなくなるのでは、という不安もあると思います。
経営権を残す株の渡し方|無議決権株式と黄金株(種類株式)


株の一部はすでに後継者に贈与したけれど、大事なことは今も自分が決めている。残りを渡して後継者が過半数を持つ段階になると、「自分に相談なく物事が決まっていくのでは」と手が止まる。こうして株の承継が途中で止まっている宿は珍しくありません。
この不安は、気持ちの問題として片付けるべきではありません。長年宿を背負ってきた経営者にとって、株は財産である以上に、自分の立場そのものだからです。
一方で、渡さないまま相続を迎えると、残りの株は家族で分ける財産になります。宿に関わらない子にも同じ権利があり、話し合いがまとまらなければ、後継者は少ない持ち株のまま、親族の同意を取りながら経営することになります。相続が重なるほど株は散らばり、経営がまとまらなくなっていきます。
株の力のもとは、株主総会で会社の方針を決める「議決権」です。会社法では、権利の内容が違う株(種類株)を発行することが認められています。
図表7 経営権を保ったまま株を渡す2つの方法
議決権のない株を後継者に渡す
黄金株を1株だけ手元に残す
議決権のない株は安く評価される、と考える方が多いのですが、そうではありません。相続のときに5%だけ低く評価する選択もできますが、減らした分は議決権のある株に上乗せされるため、全体の評価額は変わりません。評価を下げる手段ではなく、財産と経営権を切り分ける手段と考えておきましょう。
ポイント動けるのは、株が手元にそろっている今
こうした株を発行するには定款の変更が必要で、株主総会の特別決議(出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成)がいります。すでにある株の一部を種類株に変える場合は、株主全員の同意が必要になることもあります。株主が自分と家族だけのうちはまとめやすいのですが、相続で株が親族に散らばった後では難しくなります。まずは自社の定款に、株についてどんな定めがあるかを確認してみてください。
→株と並ぶもう一つの大きな財産が、宿の土地と建物です。
旅館・ホテルの土地・建物の名義|個人のまま相続か、会社名義か


宿の不動産の名義は、大きく「土地・建物とも個人」「土地・建物とも会社」「土地だけ個人」の3つに分かれます。創業や建て替えのときの資金の借り方で自然に決まったもので、土地は先代の個人名義のままという宿が多くあります。名義を意識するのは承継のときで、個人のまま相続するか、相続の前に会社に移すかを判断することになります。
図表8 土地・建物の名義、2つの考え方
個人名義のまま相続する
会社名義に移しておく
特例の効果は大きく、たとえば400㎡以内で評価額5,000万円の土地なら、1,000万円として計算されます。なお、「土地の無償返還に関する届出書」を出している宿も多いのですが、届出によって土地の評価が2割下がっても、その分は自社株の評価に上乗せされ、一族全体の評価額は変わりません。
会社に移す場合に気をつけたいのが、取得費です。先祖代々の土地は買ったときの値段がわからないことが多く、その場合は売った金額のわずか5%を取得費とみなします。譲渡益のほぼ全額に税がかかることもあるので注意が必要です。
小規模宅地等の特例を使ってから、会社に集約する方法
図表9 相続後に会社へ集約する流れ
相続で、いったん個人が土地を引き継ぐ
特例で評価額を抑えて、相続税を納めます。
相続開始から3年10か月以内に、会社へ売る
納めた相続税の一部を取得費に足して、譲渡の税を抑える特例が使えます。
将来、宿を第三者に譲る可能性があるなら、名義はさらに大切です。株を売るときに土地が個人名義のままだと、事業と土地が別々になり、買い手にとって扱いにくく、価格が下がりやすくなります。売却の可能性があるなら、土地・建物を会社にまとめておくほうがスムーズです。





名義は、過去の経緯で決まってきたものです。誰が継ぐのか、将来売る可能性はあるのかという「出口」から逆算して決めましょう。親族で承継を話し合うときは、土地・建物の名義も議題に加えておくことをお勧めします。
→ここまでの対策を重ねても、相続税がゼロになるわけではありません。
相続税の納税資金対策|生命保険・死亡退職金・自社株の買取り


たとえば第2章で試算した6,900万円の相続税を半分に抑えられても、3千万円を超える現金を10か月以内に納めなければなりません。このお金をどこから出すか、話し合われていない宿は珍しくありません。
図表10 納税資金を用意する4つの方法
生命保険
死亡退職金
会社に株を買い取ってもらう
使っていない不動産を生前に売る
図表11 子2人の場合に、税金がかからずに残せる額
※ 500万円×法定相続人2人で、それぞれ1,000万円
保険金や株の売却代金には、もう一つ使い道があります。株を後継者に集めるための資金です。後継者が株をすべて相続する代わりに、ほかの相続人へ自分のお金から現金を渡す分け方があり、「代償分割」と呼ばれます。株が散らばるのを防ぐためにも有効な方法です。
保険の受取人も、退職金規程の死亡時の定めも、会社の手元資金も、生きているうちにしか準備できません。取れる手段は早めに実行しておきましょう。
→最後に、財産を守る「器」としての持ち株会社と、第三者への売却を見ていきます。
持株会社(ホールディングス化)と第三者への売却(M&A)


持ち株会社化(ホールディングス化)とは、後継者が新しく会社をつくってオーナーから宿の会社の株を買い取る、あるいは宿の会社の上に親会社を置いて、株をその会社を通じて持つ形にすることです。
親会社の株を評価するときは、宿の業績が伸びて子会社の株が値上がりしても、値上がり分の37%を法人税相当として差し引けるため、相続税を抑えることができます。
もう一つの使い道が、複数の子への承継です。宿の会社の株を親会社にまとめ、親会社の株を子どもたちで分ければ、財産は公平に分けながら、経営権は親会社を通じて一本にまとめられます。施設が複数あるなら、施設ごとに会社を分けて子に継がせ、その上に親会社を置く形もとれます。第4章の種類株と組み合わせれば、相続のたびに株が散らばる事態も防げます。
図表12 持ち株会社を使った承継のイメージ
子どもたち
親会社の株を公平に分けて持つ
親会社(持ち株会社)
経営権をここで一本にまとめる
宿の会社A
施設ごとに分けることも
宿の会社B
施設ごとに分けることも
注意持株会社の落とし穴「株式保有特定会社」
親会社の資産の半分以上が株になると「株式保有特定会社」とされ、評価を抑える計算方法が使えず、純資産がそのまま評価の基準になります。節税のつもりでつくった親会社の株が、かえって高く評価される例は珍しくありません。親会社に不動産や事業も持たせる設計が欠かせません。また、オーナーが親会社に株を売る形で進めると、その時点で譲渡益に約20%の税がかかります。買取資金を借入で賄うと返済のもとは宿の会社からの配当になるため、宿の利益が落ちると返済に行き詰まります。
後継者がいない旅館・ホテルは、生前の売却(M&A)も選択肢に
後継者がいない、あるいは継がせないと決めた宿には、第三者へ譲るという出口があります。現金に換えられない株を抱えたまま相続を迎える事態を、根本から解消できます。生前に時間をかけて買い手を探せば、相続後に売り急ぐより高く売れ、株の譲渡益にかかる税は約20%で済みます。
ただし買い手は、会社の中身を隅々まで調べます。オーナーへの貸付金、事業に関係のない資産、個人名義のままの土地が混ざっていると、価格を下げられるか、敬遠されてしまいます。こうした整理には年単位の時間がかかり、売りたくなってから始めても間に合いません。
2027年から大きな譲渡益への課税が強まります
令和8年度の税制改正で、2027年分の所得から、極めて高い所得への追加課税が強化されます。株の譲渡益だけの場合でも、おおむね3.4億円を超えると追加の納税が生じます。不動産を持つ宿の売却額としては珍しくない水準です。売る時期を考えるときは、税制改正の影響も確かめておきましょう。
売却の相談先選びも大切です。M&A仲介会社の中には、売り手と買い手の双方から手数料を受け取るところもあります。売り手の利益を第一に考えてもらえる立場かどうかを確かめてから依頼することをお勧めします。
後継者がいない、売却も考えたい方へ
売却を決める前の段階から、会社の中身の整理(貸付金・事業外資産・土地の名義など)や、売却時期の考え方をご相談いただけます。弊社はM&A仲介会社ではなく、売り手の立場で準備と相談先選びをお手伝いします。
売却・承継の準備について相談する旅館・ホテルの事業承継で、今日から確認できる7つのこと
この記事でご紹介した対策の入り口として、今日から確認できることをまとめました。
図表13 事業承継・相続税対策の確認リスト
- ✓宿の土地と建物が、誰の名義になっているか
登記簿や固定資産税の課税明細書で確認できます。(第1章・第5章) - ✓株のおおよその評価額
決算書の純資産と、課税明細書の土地・建物の評価額から計算します。(第2章) - ✓株を、いつ・誰に渡すか
今後の業績、設備投資の計画、誰が継ぐかを親子で話してみましょう。(第3章) - ✓役員退職金規程があるか
金額の決め方と、死亡時の定めがあるかも確認します。(第3章・第6章) - ✓定款に、株についてどんな定めがあるか
種類株を使うには定款の変更が必要です。(第4章) - ✓生命保険の契約者・受取人
保険料を払っている人と受取人の組み合わせで、非課税枠が使えるかが変わります。(第6章) - ✓事業に関係のない資産や、オーナーへの貸付金
将来売る可能性があるなら、早めに整理しておきます。(第7章)
確認が難しい項目や、確認してみて気になる点があれば、そのままご相談ください。決算書(3期分)、固定資産税の課税明細書、定款の3つがあれば、初回のご相談で承継の論点をかなり具体的に整理できます。





いつ評価額が下がるかという予想は、なかなか当たりません。それでも、時期を考えること自体に意味があります。業績の見通し、設備投資の計画、誰が継ぐのかを順に整理することになるからです。税金の話は、事業承継の話を親子で始めるよいきっかけになります。
旅館・ホテルの事業承継の相談先|アルファコンサルティングの支援
相続や承継の対策は、税金だけで決めると宿の経営に無理が出ます。業績の見通し、設備投資の計画、誰が継ぐのか、将来売る可能性はあるのか。事業の見通しと財産の対策を、一つの計画として考えることが大切です。
この記事の主な出典・参考
- 国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
- 国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
- 国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 国税庁 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置について
- 税理士法人山田&パートナーズ「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し」(令和8年度税制改正)
- 税理士法人山田&パートナーズ「事業承継税制 特例承継計画等の提出期限の延長」(令和8年度税制改正)
- 観光経済新聞 連載コラム「宿を守る財産戦略」(1)〜(8)青木康弘
※ 2026年9月28日時点の制度をもとにした一般的な説明です。税額や特例が使えるかどうかは個別の状況で変わります。実際の判断は、税理士などの専門家にご確認ください。
よくある質問
Q資本金1,000万円の小さな旅館です。自社株の相続税は心配いりませんか?
A資本金の額は関係ありません。相続税の計算には、会社の純資産をもとにした評価額を使います。黒字が続き借入金の返済が進んだ宿では、評価額が資本金の数十倍になっていることもあります。まずは決算書と固定資産税の課税明細書で、おおよその額を確かめてみてください。
Q自社株の相続税を猶予してもらえる制度(事業承継税制)は使えますか?
A「事業承継税制」という、一定の条件を満たすと株にかかる相続税・贈与税の納税を猶予する制度があります。条件の良い特例措置は、令和8年度の税制改正で計画の提出期限が2027年9月末まで延びましたが、実際の贈与・相続は2027年12月末までが対象です。要件や、猶予が取り消される場合の負担もあるため、使えるかどうかは早めに税理士にご確認ください。
Q事業承継と相続税対策は、何歳くらいから始めればよいですか?
A早いほど選べる方法が増えます。亡くなる前の贈与を相続財産に足し戻す期間が3年から7年へ段階的に延びているため、生前贈与は元気なうちに始めるほど効果があります。種類株の発行や土地の名義の整理も、株や不動産が手元にそろっているうちのほうが進めやすくなります。
Q土地が先代の個人名義のままです。すぐに会社名義に変えるべきですか?
A急いで変える必要はありません。税金だけを考えれば、個人名義のまま相続し、小規模宅地等の特例を使うほうが有利なことが多いからです。宿を継がない相続人がいる、将来第三者に売る可能性があるといった事情があれば、会社にまとめる利点が出てきます。誰が継ぐか、売る可能性はあるかという出口から逆算して決めましょう。
Q後継者がいない旅館・ホテルは、何から始めればよいですか?
A第三者への売却を考えるなら、まずは会社の中身の整理からです。オーナーへの貸付金、事業に関係のない資産、個人名義の土地などは、買い手の評価を下げる原因になります。整理には年単位の時間がかかるため、売ると決める前から準備しておくことをお勧めします。
Q旅館・ホテルの事業承継は、どこに相談すればよいですか?
A税額の計算や申告は税理士、売却の相手探しはM&A仲介会社や金融機関が担います。ただ宿の承継では、その前に、今後の業績や設備投資、誰が継ぐのか、将来売るのかといった事業の見通しを決める必要があります。弊社は、特定の仲介会社や金融機関と利害関係のない立場で、その事業面の整理と承継の計画づくりをお手伝いし、税務は承継に詳しい税理士と連携して進めています。
さいごに
いかがだったでしょうか?
黒字経営で借入金の返済が進んだ宿ほど、自社株の評価額は大きくなり、相続税の負担も重くなります。しかもその株は現金に換えられないため、何も準備しなければ、一族の一番いい不動産から手放すことになりかねません。
株・土地・納税資金の3つを、誰が継ぐか、将来売るかという出口から逆算して、オーナーが元気なうちに準備しておくことが、宿の財産を守る第一歩です。
図表14 ご相談の流れ
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「株のことを考え始めた」程度のご相談内容で構いません。
初回のご相談(無料)
宿の状況、ご家族の状況、承継や売却のお考えをお聞きします。決算書・課税明細書・定款があると具体的に話せます。
論点の整理と進め方のご提案
株・土地・納税資金・後継者のどこから手をつけるかをご提案します。税務が絡む部分は、税理士などの専門家と連携します。
弊社アルファコンサルティングでは、ホテル・旅館の事業計画と承継の計画づくり、株や土地の整理の進め方、第三者への売却に向けた準備まで、まとめてご相談いただけます。税額の計算や申告が必要な場面では、承継に詳しい税理士などの専門家と連携して進めます。保険会社、金融機関、M&A仲介会社などと利害関係のない独立した立場から、ご依頼者の利益を第一に考えてご提案します。
初回相談無料です。「うちの株がいくらになるか気になってきた」「後継者と承継の話を始めたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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