ホテル旅館の社長が知らないフロント係・予約係の本音
フロント係・予約係は、社長の知らないところでお客様にうっかり本音を話しているものです。その本音がホテル旅館の評価を高めるものならば良いですが、宿泊予約に結びつかず売上ダウンの原因になることもあります。なぜそのような問題が起きてしまうのでしょうか?
今回のコラムではその原因と対策について解説しましょう。
電話で予約をするとスタッフの本音が見える
筆者はホテル旅館のフロント係や予約係が適切な電話応対をしているか把握するために、近隣の競合施設も含めて十数カ所のホテル旅館へ電話することがあります。覆面調査といって、お客様のフリをして、適切な電話応対ができているか確認するのです。
覆面調査をする時に、従業員の本音が分かる質問があります。
「泊まるところをどこにするか迷っているのですが、そちらのホテル(または旅館)の売り(セールスポイント)は何ですか?」
と聞くのです。
普段聞かれることの少ない質問だと思いますが、それ故にフロント係や予約係が日頃自館をどうとらえているか分かります。
残念なことに、
「特にありません」
という回答が意外に多いです。
これでは宿泊したいと思うお客様はいないでしょう。せっかくの顧客獲得の機会を失うことになります。
「価格が大変お安くなっております。それ以外は特にありません」
と言われることもあります。
これでは特色ない格安宿と自らアピールしているようなものです。自館に自信がない、誇りを感じていないフロント係や予約係は思わず本音でこのように答えてしまっているのでしょう。
宿泊料金を聞くと
「インターネットの宿泊予約サイトで申し込まれた方が安いです」
という回答もあります。せっかく電話で問い合わせをしているのに電話を切ってPCやスマホで予約しろというのは、いささか不愉快な話です。ホテル旅館にとっても、余計なエージェント手数料を払うことになります。
うっかりこのような回答をしてしまう原因は、経営者や支配人、フロントチーフが自館の強み、特色をしっかりと定義して従業員に伝えていないことにあるのでしょう。従業員と価値観を共有していれば、教えなくても魅力を説明できるものです。マニュアル教育をしっかりすることは重要ですが、従業員にとって誇りをもてる館にしていくことも大切です。
会社の業績改善は従業員が当事者意識をもってこそできるのです。皆様のホテル旅館のフロント対応はいかがですか?