ビジネスホテル・シティホテル・リゾートホテル・旅館の売上・利益を短期間でアップさせるための施策ベスト20
ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。
私はこのブログを新幹線の中で書いています。ほぼ毎日、飛行機・新幹線に乗るという出張漬けの生活を送っていますが(汗)、非力ながら仕事で得た経験を少しでも多くの方に伝えたいと思い、このブログを書いています。ちょっと長文ですが最後までお読み頂けると嬉しいです。
さて、皆さんのホテル・旅館では、売上・利益をアップさせるために、売上目標や予算を作って、日々の業務改善や口コミ対策などに取り組まれていると思います。一方で、取り組んだ時間と努力の分だけ成果が出ているかというとなかなか思い通りにいかないですよね。色々と取り組んでいるけど成果が見えてこず、「アクションプラン疲れ」している館も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな悩みをお持ちの方向けに、売上げや営業利益、口コミ評価アップに効果的な施策を20個ご紹介しましょう。
今回ご紹介するのは、私が全国のホテル旅館のお手伝いをしてきた中で、大きな成果が得られたものです。騙されたと思って(!?)取り組んで頂けると嬉しいです。もし成果が上がったらコメント欄にどしどし感想をお寄せください。「こんなやり方あるよ」というメッセージをお寄せください。
また、もっと取り組みたい!という方には、エクセル資料で「売上・利益をすぐにアップさせるための施策ベスト100」を差し上げます!ご希望の方はニュースレターをご購読ください。メアドに資料をお送りします。もちろん、押し売りは一切しませんのでご心配なく!
▼目次
- 1 【1】365日の料金カレンダーを見直してみましょう
- 2 【2】販売促進カレンダーを作ってみましょう
- 3 【3】売店でタイムセールを実施してみましょう
- 4 【4】1人あたり1品あたり食材原価を出してみましょう
- 5 【5】朝食メニューのリニューアルを行いましょう
- 6 【6】客室を部分的にリニューアルしましょう
- 7 【7】営業所の活動管理を行いましょう
- 8 【8】業務棚卸しにより営業活動時間をアップさせましょう
- 9 【9】別注飲料の販売を強化しましょう
- 10 【10】体験型プランを企画・販売しましょう
- 11 【11】定期的な客室インスペクションを行いましょう
- 12 【12】ラウンジでチェックイン手続きしましょう
- 13 【13】部署別の適正人数を把握しましょう
- 14 【14】売店にPOSシステムを導入しましょう
- 15 【15】不採算部門の営業時間を縮小しましょう
- 16 【16】料理の部屋出しを中止してみましょう
- 17 【17】清掃手順についてマニュアル作成を行いましょう
- 18 【18】館内にキャッシュポイントを増やしましょう
- 19 【19】休館日を設けましょう
- 20 【20】上げ膳・下げ膳動線を短縮しましょう
- 21 さいごに
【1】365日の料金カレンダーを見直してみましょう
ホテル旅館の料金カレンダーは、平日料金から特定日料金まで約6段階で設定しているケースが多いですよね。ネットエージェント経由の販売が主流になった現在でも、昔の旅行代理店パンフの料金カレンダーの考え方を踏襲しているんだと思います。その料金設定が実際の需要にあったものになっているかというと、、、残念ながらそうではないホテル・旅館が多いと感じます。皆さんのホテル旅館で次のような傾向はありませんか?
- 週末はすぐに客室が予約で埋まるけど平日はガラガラ
- 平日といっても月によって客室稼働率に大きなばらつきがある
- 平日でもなぜか客室稼働率の高い日がある
1つでも当てはまるのであれば、次にご説明する分析や対策をしましょう。
まずはじめに、過去2年程度の毎日の部屋タイプ別の客室稼働率と宿泊単価をエクセルで整理してみましょう。
例えば、次のように整理すると良いでしょう(事例の読み方は後で説明します)。
整理できたら次のような傾向がないかチェックしてみましょう。
- 月や週単位で平日の稼働率に大きなばらつきはないか
- 平日の曜日によって稼働率に大きなばらつきはないか
- 休前日・祝祭日の稼働率が高すぎないか
- 部屋タイプごとの稼働率に大きなばらつきはないか
ちなみに、ホテルシステム(PMS)を導入していて、過去の宿泊データの抽出(エクスポート)の方法が分からなければ、メーカーのサポートセンターに電話してやり方を聞いてみましょう。メーカーによって、過去データを抽出できる期間や手間に差はありますが、ある程度のデータは入手することができます。
データを見て次のような症状があれば対策しましょう。
「月や週単位で平日の稼働率に大きなばらつきがある」
平日料金を複数パターン設定してみましょう。例えば、自館の年間平均稼働率が60%だったとして、平日の稼働率が3月は80%、6月は40%となっているならば、前者は値上げ、後者は値下げすることになります。
「平日の曜日によって稼働率に大きなばらつきがある」
曜日ごとの平均稼働率を集計して、全体の年間平均稼働率よりも稼働率が高ければ値上げ、低ければ値下げをしましょう。
「休前日・祝祭日の稼働率が高すぎる」
値上げをすることも検討して見ましょう。一般論として、客室稼働率が高すぎると顧客満足度は下がる傾向にあるので、口コミ評価の改善にもつながるでしょう。反対に稼働率が低いのであれば、料金設定が強気すぎる可能性があります。特に程価格帯〜中価格帯のホテル旅館は、平日との料金差をあまりつけない方が良いでしょう。
「客室タイプごとの稼働率に大きなばらつきがある」
客室タイプごとに料金カレンダーを作成しましょう。特に露天露付き客室と一般客室は利用する客層も予約の入り方も大きく異なるので、料金カレンダーは分けて作成することをおすすめします。
それでは実際に事例に基づきながら分析と料金カレンダーの変更方法を説明しましょう。
●スタンダート客室の分析・料金変更事例
●デラックス客室(露天風呂付き客室・スイート)の分析・料金変更事例
【2】販売促進カレンダーを作ってみましょう
皆さんのホテル・旅館のマーケティング・販売促進活動は十分な成果が上がっていますか?
販売促進の成功・失敗を決めるのは優秀な営業マンが在籍しているかどうかではありません。各部門のスタッフが協力して段取りよく準備できる仕組みがあるかがポイントとなります。今回ご紹介する、「販売促進計画」を作成しておくと効率良く進めることができますので試してみてください。
販売促進計画を作るには、まず、年間を52週に分けて、地域の行事・催事と集客力(観光入込客数)と自館の宿泊客数・日帰客数を比較してみることから始めると良いでしょう。
- 地域行事に比例して自館が高稼働の週
- 地域行事がある割に自館が低稼働の週
- 地域行事がなくても自館が高稼働の週
- 地域行事がなく自館も低稼働の週
に区分することができます。販売促進計画の立案によって、(b)(d)の稼働率の底上げを図ってみましょう。
シーズンやイベント開始が迫っていても準備が間に合わず、宣伝告知やプラン販売が後手後手になってしまうという悩みを抱えているのであれば、各部門の役割を明確化して、1週間単位の締め切りを設定すると良いでしょう。
例えば、夏休みのプラン販売を5月中旬から開始すると想定してみましょう。準備は4月末までに終わらせておくのが理想です。そこから逆算して、チラシ・ホームページでのリリース開始、写真撮影、料理試作、予算案作成、参画エージェント決定、イベント内容決定、料金プラン作成、調達資材の決定、アイデア立案の締め切りを決めていくと良いでしょう。
【3】売店でタイムセールを実施してみましょう
売店は団体客が来ないと売上げが期待できないというのは先入観に過ぎません。個人客向けのホテル・旅館でも売店売上げを増やすための施策は沢山あります。
もっとも効果的なのが、タイムセールの実施です。
「朝7時から10時まで限定で指定商品を5%オフ」
「3000円以上のお買い上げで特別な商品プレゼント」
というのが効果が出やすいです。
告知は、チェックイン時にクーポンを配ったり、大浴場やエレベーター内にPOPを掲示したり、朝食終了時にホールスタッフから案内したり、売店脇でコーヒー無料サービスすることなどが効果的です。
【4】1人あたり1品あたり食材原価を出してみましょう
調理スタッフに食材原価を下げてくれと指示すると食材のグレードを安易に落としてしまいがちです。原価低減に成功しても、料理に対する口コミ評価や売上げが下がってしまったら逆効果ですよね。料理の質を下げずに原価削減を行いたいならば、1人あたり1品あたりの食材原価を把握すると良いでしょう。必要以上に原価をかけてしまっている料理メニューを突き止めることができます。
例えば、年間6万人宿泊する旅館で、あるメニューの原価を50円削減できれば、年間300万円もの原価削減につながります。
【5】朝食メニューのリニューアルを行いましょう
夕食の口コミ評価が高いわりに朝食の口コミ評価がイマイチの場合には、朝食メニューのリニューアルを行ってみましょう。客室や大浴場、サービス、夕食の評価を上げるためには高額の投資や経費がかかりますが、朝食はお金をかけず少しの努力で口コミ評価をアップさせることができます。
ライブ感があり、お客様自身で味を調整できる出汁茶漬けやおにぎり、サンドウィッチ、麺、玉子料理などが口コミ評価アップに即効性が高い定番メニューです。思い切って郷土料理のバイキングに切り替えても良いでしょう。朝食の専用会場がない場合でも、演出を工夫すれば高い口コミ評価を得ることが可能です。
【6】客室を部分的にリニューアルしましょう
資金繰りが厳しくて、数億円単位のリニューアル予算を確保できない場合には、部分的な客室リニューアルを検討してみましょう。ただし、無計画に設計事務所に丸投げしてはダメです。リニューアルによって狙う顧客ターゲット層、想定料金、競合他館と比べた優位性、販売手段、ブランディング手法を具体化することが前提となります。頼むことをしっかりと決めてから設計事務所の先生に相談しましょう。
【7】営業所の活動管理を行いましょう
営業所を設置しているのに営業マンの行動実態が掴めなかったり、成果が上がっているか分からないという課題があるのであれば、組織的な営業活動が行えるよう工夫してみましょう。具体的には、営業日報のフォーマット・報告形式の見直し、行動目標・実績の数値管理、インセンティブ制度の見直しなどを行うと成果が上がります。
【8】業務棚卸しにより営業活動時間をアップさせましょう
営業マンがフロントやドライバー、内務を兼任することで、営業活動に割ける時間が少なくなってしまうという悩みを抱えるホテル・旅館は多いです。
問題解決するには、営業マン一人ひとりの仕事調べを行なって、業務内容を棚卸しすると良いでしょう。1週間のスケジュールを詳細に調査し、どのような仕事に何分時間を割いているか把握するのが目的です。必要以上の時間をかけているのであれば作業時間に目標を設けると良いでしょう。パートアルバイトでもできるような仕事であれば、仕事の分担を変えると良いでしょう。他部署のヘルプを行っている場合には、営業活動よりも重要な業務なのか良く考えてみましょう。
【9】別注飲料の販売を強化しましょう
夕食会場や宴会場における飲料セールスはホテル・旅館の取り組み努力の差が出やすいです。メニュー名と価格を並べてラミネート加工したもので済ませている館もあれば、地元名産のお酒の由来や製法などを魅力的にまとめたブックレットをお客様へお渡している館もあります。メニューの構成やメニューブックのデザイン、ホールスタッフの声かけの改善によって、劇的に売上を増やすことができますよ。
【10】体験型プランを企画・販売しましょう
館内や周辺観光地に強力な集客源がなければ、体験型プランを立案することをお勧めします。近隣の観光施設や陶芸家、工芸家、職人、料理人とのタイアップ、または自社スタッフ主導による企画を準備すると良いでしょう。タイアップ先の施設にお客様を紹介して手数料をもらうよりも、自館にアクティビティ用のブースを作りインストラクターに来てもらったほうが売上げ利益アップの効果は高いでしょう。
【11】定期的な客室インスペクションを行いましょう
客室清掃を委託業者に任せっぱなしにしておくと、清掃スタッフが過剰に派遣され経費がかさむばかりだけでなく、清掃不備による顧客クレームが発生しやすくなります。客室点検(インスペクション)は自社スタッフで実施した方が良いでしょう。クレームが発生したときだけ対症療法的に対応するのではなく、チェックシートを作成し抜き打ち検査を行い、業者に対して日頃から改善指導を行う体制を作っておきましょう。
【12】ラウンジでチェックイン手続きしましょう
お客さまと最初の接点となる、お出迎えやフロント応対は宿泊全体の顧客満足度に大きな影響を与えます。昔ながらのビジネスホテルのようなカウンター対面形式ではなく、ラウンジ内のテーブルに案内して着席しながらチェックイン手続きを行うと口コミ評価を高めやすいでしょう。フロントスタッフから面倒だと反対意見が出るかもしれませんが、もし単価が比較的高い個人客をターゲットとしたホテル・旅館であればぜひ実施することをお勧めします。一歩進めて、客室に直接お通しして抹茶と茶菓子をご提供しながらチェックインというのも満足度が高くなります。
【13】部署別の適正人数を把握しましょう
人件費やスタッフ数は他のホテル・旅館並みかそれ以上なのに、スタッフから人手不足について不満の声が聞こえるのであれば、部署別の適正人数を把握することをお勧めします。
スタッフ一人ひとりの業務内容と所要時間、持ち場が分かるタイムテーブル表を作成して、部署ごと時間帯ごとに繁閑の度合いを把握するのです。忙しいと不満の出る時間帯は一瞬のみ、それ以外の時間帯は過剰な人員を抱えていることが分かるでしょう。
【14】売店にPOSシステムを導入しましょう
売店の売れ行きが芳しくなければ、POSシステムを導入して販売分析することをお勧めします。最近では、タブレットを利用した安価なシステムも提供されるようになってきました。軽減税率対策補助金制度を利用すれば僅かな費用で導入できます。小規模の売店でも検討しやすいでしょう。商品や棚ごとの販売分析データを参考に配置や商品構成を変更すれば劇的に売上アップすることも可能です。
【15】不採算部門の営業時間を縮小しましょう
不採算になりがちな和食処やスナック、カラオケ、ゲームコーナーの営業時間を思い切って短縮することをお勧めするします。特に、夕朝食の接客スタッフの人手不足に悩んでいるホテル・旅館は、スタッフを分散させるよりも、夕朝食会場に人材を集中させ、口コミ評価向上に注力した方が良いでしょう。
年間を通じて利用頻度が少なくなっているのでしたら、団体向けに予約制にするか、個人客向けにチェックイン後や夕食後に滞在できる空間として改装した方が利益アップにつながります。
【16】料理の部屋出しを中止してみましょう
料理の部屋出しは旅館らしいサービスであり、可能であれば続けた方が魅力が高まりますが、部屋出しの手間に見合った宿泊料金が取れていなかったり、慢性的なスタッフ不足に悩んでいたりするのであれば中止することを検討しましょう。高齢スタッフの退職に合わせて受注件数を順次減らしていき、最終的にはレストランでの提供へ完全移行するとよいでしょう。
【17】清掃手順についてマニュアル作成を行いましょう
お客様から非常に悪い口コミ評価を頂く引き金となるのが清潔感の欠如です。素晴らしい料理とサービスを提供しても、客室の洗面台やゴミ箱、冷蔵庫に前日泊客の痕跡が残っていればクレームとなります。マニュアルを作りスタッフに徹底することで、大幅な口コミの改善が可能です。効率的に動くスタッフを基準にマニュアル化すれば、不備の撲滅だけでなく、1室あたり清掃時間の短縮にもつながります。
【18】館内にキャッシュポイントを増やしましょう
館内で稼働が低いスペースを有効活用して、宿泊や料飲、売店以外のキャッシュポイント(お客さまにお金を使って頂くスポット)を増やすと良いでしょう。ビジネス客のリピート利用が多いならば、ラウンジ内に有料のコワーキングスペースを設けるのも一案です。間仕切りのある個人ブースや無料コーヒー、座り心地の良いビジネスチェア、複合機などを完備すれば時間貸しすることも可能となります。連泊利用が多ければコインランドリー室を設けても良いでしょう。大物洗いや靴用の洗濯乾燥機を設置すれば、インバウンドFIT客の総消費単価アップにつながります。
【19】休館日を設けましょう
休館日を設けると、フロントや予約、調理、料飲スタッフの交代要員数を減らすことができ利益アップにつながります。ただし、予約が入らない日を休館日にするというような消極的な方針はおすすめしません。償却後で営業黒字を確保できるよう集客にとりくむことが先決と思います。
【20】上げ膳・下げ膳動線を短縮しましょう
厨房からお食事会場、洗い場までの動線を短縮すると人件費削減につながります。この取り組みは社長や女将主導で行った方が良いです。ベテランスタッフほど効率の悪い動線に慣れてしまっているので、客観的な視点で改革を進めることが難しくなるからです。
飲料を作るパントリーも同様です。グラスと製氷機、サーバ、シンクのレイアウトを改善して、飲料を作る時間を短縮すると人件費削減だけでなく売り上げアップにもつながります。飲料作りが面倒だとホールスタッフは注文を取るのを煩わしく思い、お客さまに積極的におすすめしないからです。
さいごに
いかがだったでしょうか?ホテル・旅館業は時代の変化とともに、取り組んだ方が良い施策も変わりますが、できる限り普遍的なものを選んだつもりです。もっと様々な施策に取り組みたい、他の施策も知りたいという方は、是非お気軽にご相談ください。
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