ホテル旅館の衛生費・備品費・保守費削減 ― リネン・アメニティ・設備保守の実務マニュアル

この記事は ホテル旅館の経費削減完全ガイド の一部として、衛生費・備品費・保守費・通信運搬費の見直しを詳しく解説したものです

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。本記事では、ホテル旅館の経費削減のうち、衛生費・備品消耗品費・保守費・通信運搬費といった「日々積み上がる細かい経費」の見直し方法をお伝えします。経営者の方はもちろん、支配人の方や、地域の宿泊業界を支援される自治体観光課のご担当の方にもお役立ていただける内容にまとめました。

食材原価や人件費・水道光熱費といった大きな経費の改善に比べて、衛生費・備品費・保守費・通信運搬費は1件あたりの金額が小さく、見過ごされがちです。しかし、これらを合計すると年間で数百万円規模となり、利益への影響は無視できません。リネン費は人件費高騰と新規ホテル開業による需要増で単価が上昇傾向にあり、保守費もメーカー保守の値上げ要請が増えています。本記事では、これらの「細かい経費」を一括で見直す実務的な手順をお伝えします。

この記事を読むとわかること

  • 1衛生費・備品費・保守費・通信運搬費の全体像と削減ポテンシャル
  • 2リネン費の削減 ― 単価交渉・汎用品切替え・使用点数の削減
  • 3備品消耗品費の最適化 ― アメニティの最小化と勘定科目の整理
  • 4保守費の見直し ― メーカー保守から専門業者への切替え判断
  • 5通信運搬費の合理化 ― 通信プラン・配送料金の見直し
  • 6細かい経費を一括で見直すための棚卸し・見積もり合わせの実務
  • 7自治体観光課ご担当の方向け ― 地域での共同調達による削減施策
目次 タップで開閉
第1章
細かい経費の全体像と削減ポテンシャル
要点 衛生費・備品費・保守費・通信運搬費を合計すると売上比5〜10%に達します。1件あたりは小さくても合計は大きく、1割削減できれば年商3億円の旅館で年間150〜300万円の改善です。まずは総勘定元帳の科目別棚卸しから始めましょう。
細かい経費の業態別ベンチマーク

衛生費・備品消耗品費・保守費・通信運搬費を合計すると、売上比でどの程度の規模になるのでしょうか。私の経験上の目安を整理しました。

【図表1】細かい経費の売上比目安

勘定科目売上比の目安主な内容
衛生費2〜4%リネン費、洗剤、殺虫剤、マットレンタル、廃棄物処理
備品消耗品費1.5〜3%客室アメニティ、パブリック消耗品、客室備品、調理器具、食器
保守費1〜2.5%システム機器、自動ドア、エレベーター、厨房機器、ボイラー、空調機の保守料
通信運搬費0.3〜0.8%電話料金、通信料金、運送費、配送費
合計5〜10%年商3億円なら年間1,500万〜3,000万円規模

細かい経費の合計は売上比5〜10%に達します。1割削減できれば、年商3億円の旅館で年間150〜300万円の利益改善です。

なぜ細かい経費は積み上がるのか

細かい経費が積み上がる主な原因は、次の3点に整理できます。

  • 定期的な見直しが行われない:「いつもの業者にいつもの単価で発注」が常態化し、相場とのズレに気づかない
  • 勘定科目の中身が不透明:「サービス費」「雑費」などにさまざまな経費が混ざり、何にいくら使っているのか把握できない
  • 現場任せで稟議が機能していない:各部署が独自に発注し、全社的な統制が効いていない
ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

私が現場でまず見るのは、「サービス費」や「雑費」といった、名前だけでは中身が分からない勘定科目です。経営者ご自身が即答できない科目ほど、合理化されていない経費が紛れ込んでいます。元帳を半年に一度開いて、何にいくら使っているかを声に出して説明してみる。それだけで、忘れていた契約や重複発注が次々と見つかります。

中身がよく分からない勘定科目ほど、合理化されていない経費が含まれていることが多いものです。総勘定元帳の科目明細を半年に1回はチェックする習慣をつけることが、削減の第一歩となります。

→ 次章では、細かい経費の中で最も金額の大きい「衛生費」の削減方法をお伝えします。

第2章
衛生費(リネン・洗剤・廃棄物)の削減
要点 リネン費は人件費高騰と新規ホテル開業による需要増で値上げ要請が続いています。単価交渉・汎用品への切替え・使用点数の削減を組み合わせ、ロゴ入り専用品から汎用品へ切り替えれば業者の選択肢が広がります。リネン費10〜15%削減で年間50〜90万円の改善です。
リネン費の値上げ要請への対応

リネン費は、人件費の高騰に加え、新規ホテル開業が相次いだことによる需要増により単価は上昇傾向にあります。世界的な材料費の高騰と国内の人件費・水道光熱費の上昇により、値上げ要請が続いている状況です。

リネン業者から値上げ要請があった場合には、まず元帳で支払額をチェックし、売上に対する経費率がどれだけ上昇するか検証してから商談に応じることをお勧めします。「値上げ幅は妥当か」「他業者の相場はどうか」を確認せずに応じてしまうと、相場以上の単価で固定化してしまいます。

ロゴ入り専用品から汎用品への切替え

価格交渉にあたって障害となるのが、リネン材のリース契約です。ロゴ入りタオルや浴衣など専用品を使用している場合は、業者切り替えがしにくいため交渉は不利となります。解約金も高額でトラブルになりやすいので、契約書はよく確認しておきましょう。

経費削減を優先するなら、リネン材は汎用品を無償支給するというやり方に切り替えていくことをお勧めします。リース契約の更新時期に合わせて切り替えを検討すれば、解約金トラブルも回避できます。

使用点数の削減と環境配慮

地方では配送ルートの関係から取引できるリネン会社が少なく、単価交渉は難しい状況にあります。このような場合、連泊時のタオル交換やシーツ交換を希望制にしたり、大浴場でのタオル貸し出しを中止したりすることで、リネンの使用点数自体を減らすのが現実的な対応となります。

これは単なるコスト削減ではなく、環境負荷の軽減にもつながります。環境意識の高まりにより、お客様の理解も得やすくなっています。「環境配慮のため、連泊のお客様にはタオル交換を希望制とさせていただいております」と案内すれば、むしろ施設の姿勢として評価される時代になっています。

リネン内製化という選択肢

特に小規模旅館などリネンの外注単価が高くなりがちな施設では、リネン内製化も有効な選択肢となります。具体的には、自社施設内に業務用の洗濯乾燥機を導入し、フロントスタッフの待機時間にタオル類を自社で洗濯乾燥してお客様に提供する方法です。

内製化の判断は、設備投資額・人件費追加・外注単価の3点を比較して行います。フロントスタッフの待機時間を活用できれば追加人件費はほぼ発生しないため、設備投資の回収が早まります。

→ 次章では、客室アメニティや備品など「お客様目線で見直すべき備品消耗品費」の最適化についてお伝えします。

第3章
備品消耗品費(アメニティ・客室備品)の最適化
要点 「充実したアメニティ」から「こだわりの厳選アメニティ」へと時代は変わりました。アメニティの最小化・勘定科目の細分化・年1回の見積もり合わせを組み合わせれば、備品消耗品費の15〜20%削減で年間70〜100万円の改善になります。
アメニティは時代とともに変化している

以前は、充実したアメニティが高級旅館・ホテルの証でした。しかし、消費者の環境意識の高まりから、過剰なアメニティは敬遠される傾向にあります。歯ブラシですらフロントで必要な分だけ取っていくという施設は珍しくありません。

アメニティ自体はデザインや素材にこだわったものを準備しながら、客室内に配置せず提供も最小限にとどめることをお勧めします。「数を絞り、品質を上げる」方針への転換が、コスト削減とブランディングを両立する道です。

客室の備品も最小限に

客室のテーブルに備品がありすぎて乱雑になっていたり、清掃の手間がかかっていたりしないでしょうか。施設内のレストランやお土産の案内など、売上向上の努力は理解できますが、古いカタログが更新されないまま置いてあるのは逆効果です。宿泊約款など最低限のものだけ残し、その他は撤去することをお勧めします。

以前は、売上向上策として客室内にポップやラミネートされたチラシを置くことが効果的でした。しかし今は、清潔感のあるシンプルなデザインの客室が好まれます。現代の消費者はデジタル情報に慣れ親しんでおり、紙のチラシを好まない傾向にあります。

古いCDプレイヤーや家電製品があるのも逆効果です。ほこりが溜まりやすく不潔感を与えます。せめて小型のBluetoothスピーカーなどに置き換えましょう。布や透明ビニールクロスもカバーとして使わないほうがよいでしょう。ほこりがついたり黄ばんだりして、古めかしく見えてしまいます。

勘定科目を細分化して見える化

消耗品の種類は多岐にわたるため、部門ごとに毎月の予算実績を把握し、経費削減に努めることが望ましいです。特に客室アメニティと調理器具・食器の購入費用が同じ勘定科目の中に混ざっていると、経費増加要因が分からなくなります。

勘定科目は「客室アメニティ費」「客室備品費」「調理器具費」「食器費」のように分けることをお勧めします。何にいくら使っているかが見える化されれば、優先順位を付けた削減が可能になります。

また、同じ業者へ発注し続けるのではなく、年1回は見積もり合わせをすることもお勧めします。長年の取引業者であっても、相場との乖離が広がっているケースは少なくありません。

パブリック無料サービスへの転換

備品やアメニティは最小限にする一方で、充実させたいのが、パブリックスペースでの無料サービスです。チェックイン後や湯上がり後の休憩時にゆっくりとくつろげる場所で、無料のコーヒーや地元産のドリンク、アイス、夜食などを提供すると喜ばれます。

人の手間をかけず、あえて無料とすることがポイントです。有料化すると、受付スタッフやPOSレジが必要となり、人件費がかかります。最近ではビジネスホテルで無料サービスが当たり前になっており、消費者の期待値が高まっています。省資源化・省力化を図りながら顧客満足度を高めていく方向性が、これからの主流となります。

細かい経費の一括見直しを伴走支援します

  • 総勘定元帳の科目別棚卸しと削減ポテンシャル診断
  • リネン業者・備品業者の見積もり合わせ支援
  • アメニティ・客室備品の見直し方針策定
  • 保守費・通信運搬費の業者切替え検討
  • 自治体観光課ご担当の方向けの地域共同調達スキーム検討

初回相談は無料です(オンライン相談可)

▶ 細かい経費の見直しについて相談する

→ 次章では、メーカー保守と専門業者の使い分けがポイントとなる「保守費の見直し」についてお伝えします。

第4章
保守費(設備保守・修繕)の見直し
要点 メーカー保守は安心ですが、専門業者との比較は必ず行いましょう。保守項目の棚卸し・専門業者への切替え検討・最低限の法定点検への絞り込みで、保守費の20〜30%削減=年間60〜180万円の改善が見込めます。
保守対象の棚卸しから始める

保守費の主な対象は、システム機器・自動ドア・エレベーター・ダムウェイター・厨房機器・ボイラー・空調機などの保守料・修繕費です。これらは長年の契約により、何にいくら支払っているのか経営者自身が把握していないケースが少なくありません。

まずは保守対象機器の一覧表を作成し、契約先・年間支払額・契約期間・解約条件を整理することをお勧めします。これだけで「契約していたが既に使っていない機器の保守料を支払っていた」というケースが見つかることもあります。

メーカー保守から専門業者への切替え

メーカーによる保守料は高額となる可能性があるため、予算の制約があるなら保守管理の専門業者に見積もり依頼することをお勧めします。設備の種類によりますが、メーカー保守と比較して20〜40%程度安くなるケースが珍しくありません。

ただし、専門業者への切替えには注意点もあります。メーカー保守でなければ部品供給が受けられないケース、保証期間中はメーカー保守が条件となっているケース、システムの仕様変更時に対応できないケースなどです。切替え判断は、価格だけでなく対応範囲・部品供給・トラブル時の対応スピードを総合的に評価する必要があります。

最低限の法定点検への絞り込み

特に業績が厳しく余計な支出がほとんどできない状況なら、最低限の法定点検のみを行う場合に保守料はどれだけ下げられるのかを提案してもらうとよいでしょう。エレベーターの法定点検、消防設備点検などは法律で義務付けられていますが、それ以外の予防保全的な点検は施設の判断で実施頻度を調整できます。

ただし、業績が回復した際には予防保全を再開することが望ましいです。法定点検のみでは突発的な故障を防げず、長期的にはかえって修繕費が嵩むリスクがあります。短期的な削減策と中長期的な投資計画のバランスを取ることが重要です。

設備導入時はトータルコストで判断

設備を交換する際には、イニシャルコスト(初期費用)だけでなく、メンテナンスの容易さや保守料などを考慮することが望ましいです。ホテルシステム等はイニシャルコストが安くても月額保守料が高いケースがあるため、5年・10年単位の総額で判断しましょう。

私が支援してきた事例では、5年間のトータルコストで比較すると、初期費用の高い機器のほうが結果的に安くなるケースが多くありました。初期費用の安さに飛びついて、後で高額な保守料に悩まされる事態を避けることが、計画的な設備投資の基本です。

→ 次章では、見落とされがちな「通信運搬費」の合理化についてお伝えします。

第5章
通信運搬費の合理化
要点 通信運搬費は金額こそ小さいものの、契約見直しだけで即効性があります。通信プランの見直し・配送料金の適正化・SMS等の活用への切替えで、20〜30%削減=年間20〜50万円の改善が可能です。最初の取り組みとして着手しやすい科目です。
通信プランの見直し

通信運搬費の主な対象は、電話料金・通信料金・運送費です。スタッフに携帯電話を支給している場合は、キャリアやプランの見直しを定期的に行いましょう。法人プラン・ビジネス向けサービスの活用により通信料金を削減できるケースが多くあります。

特に予約確認のために宿泊日の数日前にお客様に電話する習慣のある施設は、事前決済比率の向上・SMS通知・メールの活用により電話料金の削減を図ることをお勧めします。SMS通知サービスは1通あたり数円〜十数円で利用でき、電話と比較してスタッフの工数も大幅に削減できます。

運送費・配送料の適正化

お客様の受託荷物や忘れ物の配送は、配送料金や取扱手数料をいただくよう徹底しましょう。「サービスの一環として無料で配送する」習慣が長く続いている施設もありますが、年間で累計すると数十万円規模の負担となっているケースがあります。

お客様への請求は心理的に抵抗があるかもしれませんが、料金表に明示し「配送実費を頂戴しております」と一言添えれば、ほぼトラブルなく運用できます。むしろ「無料で配送します」と言いながらサービスが滞るほうが、顧客満足度を下げるリスクが高いものです。

予約サイト・システムの運用代行費の見直し

見落としがちなのが、予約サイトやSNSの運用代行費、宿泊予約システムの月次サポート費です。施設によっては突然30%の値上げを要求されたという話も聞きます。すぐに業者を変更できるものではないため難しい交渉となりますが、先方の要求を鵜呑みにしないことが重要です。

年に1回は契約内容と支払額を見直し、提供されているサービス内容と比較して妥当性を検証しましょう。「とりあえず続けている」契約が、年間数十万円のコストになっているケースは少なくありません。

→ 最後に、ここまで紹介した4つの経費を一括で見直すための実務的な手順をお伝えします。

第6章
一括見直しの実務 ― 棚卸し・見積もり合わせ・年次レビュー
要点 細かい経費の見直しは、思いついた時にやるだけでは続きません。総勘定元帳の棚卸し・年次見積もり合わせ・四半期レビューを仕組み化すれば、毎年確実に削減効果が積み上がります。全体で10%削減なら年商3億円で年間150〜300万円の改善です。
ステップ1:総勘定元帳の科目別棚卸し

まず、過去12か月分の総勘定元帳を科目別に内訳を棚卸しします。「衛生費」「備品消耗品費」「保守費」「通信運搬費」のそれぞれについて、取引先別・年間支払額を一覧化します。

この棚卸しを行うだけで、次のような気づきが得られることが多いものです。

  • 既に使っていない設備の保守料を支払い続けていた
  • 同じカテゴリの備品を3〜4社の業者から重複して購入していた
  • 固定費化していた契約が、当初の利用目的と現状で乖離していた
  • 毎月の少額支払が積み重なって年間で大きな金額になっていた
ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

細かい経費は、発注している現場の担当者が一番よく分かっています。私が支援するときは、棚卸しの結果を担当者にも見てもらいます。「この科目がこれだけ積み上がっている」と数字で示すと、号令をかけるより現場の意識が変わります。経費削減ではなく経費の適正化、お客様に迷惑のかからない範囲でという前提を共有すれば、現場から自然と無駄を減らす工夫が出てきます。

ステップ2:年1回の見積もり合わせ

棚卸しが完了したら、年1回は複数の業者から見積もりを取得します。リネン・備品・保守・通信などの主要な取引先について、現状の契約内容を提示したうえで他社見積もりを取れば、相場との乖離が明確になります。

他社見積もりを取ったからといって、必ずしも業者を切り替える必要はありません。現状の業者に「他社見積もりではこの単価でした」と伝えるだけで、値下げ交渉に応じてくれるケースが多くあります。長年の取引業者ほど、失注を避けるために条件改善に応じる傾向があります。

ステップ3:四半期レビューの仕組み化

年1回の見積もり合わせに加えて、四半期(3か月)に1回は経費レビューを行うことをお勧めします。月次試算表をもとに、前年同期比・予算比で大きな乖離がある科目をピックアップし、原因を分析します。

このレビューを経営会議の議題として組み込めば、現場の発注担当者にも「無駄な発注は見られている」という意識が浸透し、自律的な削減行動が生まれます。継続的な仕組みとして定着させることが、毎年の削減効果を積み上げる鍵となります。

自治体観光課のご担当者の方へ ― 地域共同調達という選択肢

自治体観光課のご担当の方にお勧めしたいのが、地域の宿泊施設による「共同調達」のスキーム設計です。リネン・アメニティ・洗剤・消耗品などは、地域の宿泊施設が共同で発注すれば、ボリュームディスカウントが効きやすくなります。

  • 観光協会・DMOが事務局となり、参加施設を募って一括発注の仕組みを作る
  • リネン・アメニティ・洗剤・消耗品などのボリュームディスカウントを狙う
  • 地域内の業者(リネン・備品・保守等)のリスト整備と紹介

各施設の単価が大幅に下がる可能性があり、地域全体の競争力強化にもつながる施策として、検討の価値があります。

よくあるご質問

Q細かい経費の見直しで、最も効果が大きいのはどの科目ですか。

A一般的には衛生費(特にリネン費)と保守費の2つです。リネン費は売上比2〜4%と金額が大きく、単価交渉と使用点数削減の両方が可能です。保守費はメーカー保守を専門業者に切り替えるだけで20〜40%の削減事例があります。一方、通信運搬費は金額は小さいですが、契約見直しだけで即効性があるため、最初の取り組みとしては適しています。

Qリネン業者を切り替える際の注意点は何ですか。

A最も注意すべきは、リース契約の解約条件と専用品(ロゴ入りタオル・浴衣等)の扱いです。リース契約は中途解約金が高額なケースがあるため、契約書を必ず確認しましょう。専用品を使用している場合は、汎用品への切替えを先行して進め、そのうえで業者切替えを検討するのが現実的です。地方では取引可能な業者が限られるため、配送ルートも含めて検討する必要があります。

Qアメニティを最小化すると、顧客満足度が下がりませんか。

A「単純に減らす」だけなら満足度は下がりますが、「数を絞って品質を上げる」「環境配慮の文脈で説明する」「パブリック無料サービスで補完する」を組み合わせれば、むしろ満足度が上がるケースもあります。最近のお客様は過剰なアメニティを「無駄」と感じる傾向があり、シンプルで質の高い対応のほうが好まれます。

Q自治体観光課として、地域の宿泊業を支援する施策はありますか。

A(1)地域の宿泊施設による共同調達スキームの設計・運営支援 (2)地域内の業者(リネン・備品・保守等)のリスト整備と紹介 (3)経費削減セミナーの開催 (4)観光協会・DMOによる一括見積もり取得サービスの提供、などが考えられます。地域の事業者と連携しながら制度設計することで、地域全体の競争力強化につながります。

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本記事は、衛生費・備品費・保守費・通信運搬費という「細かい経費」の見直しに焦点をあてた記事です。経費削減全般の戦略や、他の勘定科目(食材原価・人件費・OTA手数料・水道光熱費等)については、全体をまとめた完全ガイドをあわせてご覧ください。

ホテル旅館の経費削減 ― 全体像と勘定科目別の打ち手

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さいごに

いかがだったでしょうか。衛生費・備品消耗品費・保守費・通信運搬費は1件あたりの金額が小さく見過ごされがちですが、合計すると売上比5〜10%に達する重要な経費です。総勘定元帳の棚卸し・年次見積もり合わせ・四半期レビューを仕組み化することで、年商3億円の旅館なら年間150〜300万円規模の利益改善が現実的に可能となります。

弊社アルファコンサルティングでは、ホテル・旅館の経費削減支援、見積もり合わせ支援、契約見直しの実務支援、自治体観光課ご担当の方向けの地域共同調達スキーム検討まで、幅広くご支援してきました。観光経済新聞でのコラム連載は2009年4月から17年に及び、業界の構造的な変化と現場の実態の両方を踏まえた、実践的なご支援を強みとしております。

「総勘定元帳の棚卸しを支援してほしい」「リネン業者の見積もり合わせを進めたい」「保守費を見直したい」「地域の共同調達スキームを設計したい」といったご相談を承っております。初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

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