成功事例より失敗事例から学ぶ。経営者が陥りやすい5つの落とし穴と、その回避策を体系的に解説します。

この記事を読むとわかること

  • ホテル・旅館の経営失敗5パターンの全体像と典型的な兆候
  • 過剰投資・無計画リニューアル・M&A失敗の構造と回避策
  • 業績低下時の原因究明手順と段階的な対処法
  • 経営者の判断ミスを生む心理的な罠と防ぎ方
  • 失敗を未然に防ぐ早期警戒指標とSELF-CHECK

はじめに ― なぜ「成功事例」より「失敗事例」から学ぶべきなのか

温泉旅館の外観

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。本記事は、ホテル・旅館の経営者が陥りやすい失敗5パターンを、過去のコンサルティング現場で見てきた事例をもとに体系的に整理したものです。

経営に関する情報発信は、成功事例の紹介が中心になりがちです。雑誌・書籍・セミナーで取り上げられるのは、軒並み業績好調の宿、リニューアルで売上を伸ばした宿、独自路線で成功した宿。一方で、失敗事例が表に出ることはほとんどありません。

しかし、現場で多くの経営者と接してきた経験から申し上げると、成功事例より失敗事例から学んだほうが、実務的な学びはずっと大きいものです。理由は単純で、成功は固有の条件(立地・人材・タイミング)に依存しますが、失敗は驚くほど共通のパターンに集約されるからです。

最近、相談を受ける経営者の方から、決まって似た悩みを聞きます。

「業績は悪くないはずなのに、なぜか資金繰りが厳しい」

「リニューアル投資をしたのに、想定通りの売上にならない」

「M&Aで取得した施設が、本業の足を引っ張っている」

「売上低下の原因が分からず、どこから手を打てばよいか見えない」

こうした悩みの裏側には、必ずと言ってよいほど、5つの失敗パターンのどれかが潜んでいます。本記事では、それぞれのパターンの構造・典型的な兆候・回避策を、現場の事例とあわせて整理しました。

本記事は、現在経営に課題を抱えている方だけでなく、いま順調に業績を伸ばしている方にこそ読んでいただきたい内容です。失敗の芽は、業績が好調なときほど見えにくい場所に潜んでいます。

この記事で扱う5つの失敗パターン

  • ◇ 失敗パターン1:身の丈を超えた過剰投資
  • ◇ 失敗パターン2:表層的なリニューアルと運営軽視
  • ◇ 失敗パターン3:M&A・事業承継の判断ミス
  • ◇ 失敗パターン4:業績低下時の原因究明不足
  • ◇ 失敗パターン5:リスクマネジメントの欠如

→ ここまでが導入です。次章から、5つの失敗パターンの全体像を整理していきます。

1章. ホテル・旅館の経営失敗5パターンの全体像

経営状況を分析する場面
想定読者
経営者・支配人・後継者
取り組む問題
失敗の構造を体系的に把握できていない
解決の方向
5パターンの分類で失敗の構造を可視化する
得られる効果
自館に潜むリスクの兆候を早期発見できる
ひとことで
失敗は、驚くほど共通のパターンに集約されます

失敗パターンが集約される理由

ホテル・旅館の経営失敗は、業種・規模・地域を問わず、不思議なほど似たパターンに集約されます。コンサルティングの現場で過去数百件の経営相談を受けてきましたが、深刻な経営難に陥った施設の8〜9割は、これから紹介する5つのパターンのいずれかに当てはまります。

なぜパターン化するのか。理由は、経営判断のミスを生む心理的な罠が、人間に共通しているからです。「もっと稼ぎたい」「他社より優位に立ちたい」「業界の流れに乗り遅れたくない」。こうした感情は、経営者なら誰しもが持つものです。問題は、その感情が冷静な判断を曇らせるときに起こります。

失敗パターンを知ることは、自分の中の心理的な罠を客観視することにつながります。「いまの自分の判断は、過剰投資パターンに陥っていないか」「リニューアル計画はコンセプト不足のまま進んでいないか」と問い直す視点が、致命的な失敗を防ぎます。

5つの失敗パターンの全体像

[図表C4-1] ホテル・旅館の経営失敗5パターン

パターン典型的な兆候発生しやすい時期本記事の対応章
1. 過剰投資借入金が売上の3〜5倍を超える業界全体の好況期2章
2. 表層リニューアル改装したのに口コミ・単価が伸びない補助金活用時3章
3. M&A判断ミス取得施設が本業の足を引っ張る事業拡大期4章
4. 業績低下放置売上低下の原因が掴めず対策が後手市況転換期5章
5. リスク管理欠如災害・事故・コンプライアンス問題で打撃平常時の油断6章

この5パターンは、独立しているようで連鎖的に発生するという特徴があります。例えば、過剰投資(パターン1)は、表層リニューアル(パターン2)を誘発しやすく、その結果として業績低下(パターン4)に至り、最終的にリスク管理の余力すら失う(パターン5)。一つのパターンに陥った時点で、次のパターンへの予防的な対策を講じる必要があります。

失敗パターンに陥る経営者の共通点

過去のコンサルティング経験から、深刻な経営難に陥った経営者には、いくつかの共通する思考パターンが見られました。

よく見られるのが、「他社もやっているから」を判断の根拠にしてしまう、いわば流行への追随です。同様に、数字の検証よりも直感を優先してしまう、一目惚れ型の意思決定もよくあるパターンです。「自分は大丈夫」と楽観してしまう自己過信や、悪い情報を遠ざけて都合の良い情報だけを集めてしまう傾向、短期の成果に偏重して長期視点が欠けてしまうことも、深刻な経営難に陥った経営者の方々に共通して見られました。

これらは決して特殊な性格ではなく、多くの経営者が持ち合わせる人間的な傾向です。重要なのは、自分の中にこうした傾向があることを自覚し、判断の場面で意識的にブレーキをかけられるかどうかです。

SELF-CHECK
自館は失敗パターンに陥っていないか

次の問いに、いくつ「はい」と答えられますか。

  • ・直近3年の借入金残高は、年間売上高の3倍以内に収まっている
  • ・直近のリニューアル投資は、コンセプト企画から始めた
  • ・M&A・事業拡大の判断は、最低3人以上の専門家の検証を経た
  • ・月次の業績低下は、原因を必ず究明している
  • ・BCP・耐震対策・コンプライアンス研修に定期的に参加している

5問すべてに「はい」と答えられる施設は、失敗パターンへの耐性が高いと言えます。3問以下なら、本記事の該当章を重点的に読んでください。

→ 失敗パターンの全体像を押さえたところで、次は最も深刻な被害をもたらす過剰投資のパターンに入ります。

2章. 失敗パターン1 ― 身の丈を超えた過剰投資

財務・資金計画を確認する場面
想定読者
経営者・財務担当・後継者
取り組む問題
好況期の楽観的判断で身の丈を超えた投資をしてしまう
解決の方向
投資判断に複数の安全弁を設ける
得られる効果
市況転換時にも生き残れる財務体質が維持できる
ひとことで
好況期の判断こそ、最も慎重さが求められます

過剰投資が起きるメカニズム

ホテル・旅館業界は、20〜30年周期で過剰投資と財務悪化を繰り返してきました。バブル期の大型投資、リーマンショック後の供給過剰、そしてインバウンドブーム期の新規開業ラッシュ。いずれの時期も、市況のピーク近くで投資判断した施設が、その後の市況転換で深刻な経営難に陥りました。

なぜ過剰投資が繰り返されるのか。最大の理由は、好況期には金融機関の融資審査も緩むことにあります。市場全体の業績回復基調が目立つようになると、金融機関は前向きに融資を検討するようになります。投資すること自体は意義がありますが、機を逸することにもなりかねません。

もう一つの理由は、設計事務所・建設会社・コンサルタントなど周囲の専門家が、投資を後押しする立場にあることです。彼らは投資が実行されてこそ収益を得る構造です。客観的な助言を期待しても、構造上、慎重論より積極論が出やすくなります。

過剰投資の典型的な事例

過剰投資の現場でよく聞く声

金融機関が前向きだから大丈夫だろうと思って投資を決めた(老舗旅館経営者)

他の宿がリニューアルを進めているから、うちも乗り遅れまいと急いだ(地方ホテル経営者)

計画書の数字を達成できると思っていたが、市況が変わって資金繰りが厳しくなった(中規模旅館後継者)

コンサルティングの現場で見てきた過剰投資の事例には、いくつか繰り返し見られるパターンがあります。

よく見られるのが、現実的に不可能な希望的観測による事業収支計画を策定し、身の丈を超えた借入れをしてしまうケースです。マーケット分析や属性分析など客観的な事業分析を実施せず、設備投資さえすれば競争力が増し、利用客も増え、単価も上昇するという楽観的な前提で計画を立ててしまいます。実際には、設備投資と業績向上は単純な比例関係にはありません。

同じく多いのが、一時的なブームに乗った投資です。インバウンド需要が好調なときに、その需要を前提として大規模投資を行う。しかし、インバウンドは為替・国際情勢・感染症などの外部要因で大きく変動します。一時的な好況を恒久的な市場と誤認して投資を行うと、市況転換時に深刻な打撃を受けます。

もう一つの典型が、機を逸した時期での投資です。市場成長期の後期や成熟期に入ってからの投資は、回収期間が長く、回収できないリスクも高まります。本来であれば、売上・利益が低迷期から回復期へ転じた初期に投資を行い、拡大ペースが落ちてきた段階で投資を抑制するのが定石ですが、日本の金融機関は業界の業績回復基調が目立つようになってから前向きに検討する傾向があるため、結果として遅いタイミングでの投資になりがちです。

過剰投資を防ぐ3つの安全弁

過剰投資を防ぐには、判断の各段階に意識的な安全弁を設ける必要があります。

[図表C4-2] 過剰投資を防ぐ3つの安全弁

段階安全弁具体的な確認項目
計画策定段階保守的シナリオの設定売上高15〜20%減でも返済可能か
融資交渉段階リスクケース計画書の併用稼働率・単価が下振れたケースを提示
実行段階投資の段階的実施全額一括ではなくフェーズ分け

特に重要なのは、保守的シナリオでも事業が成り立つかの検証です。コラム連載で何度もお伝えしていますが、楽観シナリオだけで計画を立てた施設の大半は、市況転換時に苦境に陥ります。逆に、保守的シナリオでも黒字を維持できる計画なら、想定外の事態にも対応できる体力が残ります。

「内科的治療」を優先するという発想

過剰投資を予防するための重要な視点として、「内科的治療」と「外科的治療」を分けて考えるという発想があります。

既に借入金返済が滞っており、金融機関から新規融資を引き出しにくい経営状況にある施設の場合、いきなり大規模なリニューアル投資(外科的治療)に進むのは無理があります。まずは収益改善(売上増・コスト改善)を実現し、その後に設備投資を実行する、というステップを踏むことが現実的です。「内科的治療」で体質改善をしてから、「外科的治療」を行うという発想です。

効果的な設備投資をするためには、まずは現状の経営状況や運営状況を客観的に把握し、スタッフにも共有させる必要があります。そのためには、宿泊施設規模の大小や経営的に置かれている状況の優劣に関わらず、必ず事業面の詳細なデューデリジェンスを実施することが大切です。大資本のバックアップのある施設であれば、現状が赤字であっても将来に向けての前向きな投資も可能ですが、独立系の宿泊施設の多くは金融機関などの同意を得ることができず、投資が遅れてしまう傾向が非常に強いところです。

事業デューデリで「投資しない」判断ができることの重要性

事業デューデリジェンスを行う本来の目的は、投資の是非を客観的に判断することです。「投資をする」という結論ありきで行う形式的な調査ではなく、「投資を見送る」「規模を縮小する」「方針を変更する」という結論も冷静に受け入れる姿勢が大切です。

事業デューデリで投資を見送る判断に至った事例

過去にご相談を受けたケースを、特定できないよう前提条件を変えた上でご紹介します。中堅温泉地に立地する40室規模の老舗旅館で、創業から30年が経過し、客室・大浴場の更新を含む1億円超の改装計画を検討されていた事例です。

経営者の方は、設備の老朽化が客離れの主因と捉えており、補助金も活用して大規模改装に踏み切りたいというご意向でした。しかし、事業デューデリを進めるうちに、いくつかの構造的な課題が浮かび上がってきました。

一つ目は、当初想定外の更新投資が積み上がっていたことです。客室の表層替えだけで考えていた予算が、配管・空調・電気系統の老朽化対応を加えると当初想定の1.5倍以上に膨らみました。改装後の減価償却費の増加と借入返済を考慮すると、改装後の収益で投資を回収するのは現実的ではない水準でした。

二つ目は、収益構造が団体客に大きく依存していたことです。改装で客室の付加価値を高めても、主要顧客である団体客の単価は契約価格で決まっており、改装効果が反映されにくい構造でした。個人客への転換を狙うにも、団体客の取扱いを縮小すると稼働率が一時的に大きく落ち込むリスクが見えてきました。

三つ目は、ソフト面での競争力の課題でした。料理やサービスの評価が地域内では中位にとどまっており、改装でハード面を強化しても、ソフト面の改善が伴わなければ単価アップが難しい状況でした。

こうした観点で事業デューデリを進めた結果、最終的には大規模改装を一旦見送り、必要最低限のメンテナンスと、料理・サービスのソフト改革を先行するという方針に転換されました。それは決して後ろ向きな判断ではなく、無理な投資による経営破綻を未然に防ぐ前向きな判断です。事業デューデリは「投資を進めるための儀式」ではなく、「投資の是非を冷静に判断するためのツール」だと位置付けることが大切です。

借入金水準の目安

借入金の適正水準は、業態・規模・収益力によって異なりますが、目安となる指標があります。

[図表C4-3] 借入金水準の判定指標(目安)

指標健全水準警戒水準危険水準
有利子負債/年商1〜2倍3〜4倍5倍超
有利子負債/EBITDA5〜7倍8〜10倍12倍超
債務償還年数10年以内10〜15年15年超
自己資本比率30%以上10〜20%10%未満

これらの指標は、業界平均や同規模他社と比較することも重要です。自館の数値が警戒水準にある場合は、追加投資の前に、まず財務体質の改善を優先すべきです。なお、ここで示した水準はあくまで目安であり、築年数によって解釈は変わります。築浅で減価償却負担が重い時期と、ある程度年数が経過して償却が進んだ時期とでは、同じ負債水準でも経営への影響度が異なります。自館の築年数と償却フェーズを踏まえて評価することが大切です。

[ 注意点 ]
「正論や机上論で経営は成り立たない」

事業計画書に書かれた数字は、あくまで紙の上の想定に過ぎません。マーケットの予測、自らの力の客観的評価、人材育成のあり方が、最終的に業績を決めます。

設備投資さえすれば競争力が増し、利用客も増え、単価も上昇するという発想は、現実とは異なります。投資は手段に過ぎず、目的は事業継続と価値創出です。

「補助金が出るから」「他社もやっているから」を判断の根拠にせず、自社の体力と長期戦略に照らした投資判断を行ってください。

→ 過剰投資の構造を押さえたところで、次はリニューアル投資が効果を生まないパターンに進みます。

3章. 失敗パターン2 ― 表層的なリニューアルと運営軽視

リニューアルした和モダンの客室
想定読者
経営者・支配人・営業企画
取り組む問題
リニューアルしたのに口コミ・単価が伸びない
解決の方向
コンセプト設計と運営オペレーション設計を一体化する
得られる効果
リニューアル投資が確実に売上向上に結びつく
ひとことで
表層替えではなく、コンセプトが投資効果を決めます

リニューアル失敗でよく見るパターン

リニューアル失敗の背景には、共通する誤解があります。建物(ハード)を新しくすれば自動的に経営が好転するという思い込みです。実際には、建物以上に重要なのは、その施設や設備を運用する「人や仕組み」です。

建築設備やデザインが重要であることに異論を挟む余地はありませんが、建築会社やデザイナーに優れた建物(ハード)を作ってもらっても、運用する人によっては魅力を活かすことができない場合もあります。逆に、人によっては魅力が何倍にもなる可能性もあります。建物の魅力ばかりが際立ち、ソフト面が一切変化しなければ、むしろ商品価値自体は減退することになりかねません。

本来のリニューアルとは、運営の仕組みやノウハウ、または人材育成での運営能力向上による経営的改善(収益改善・顧客満足改善・従業員満足の改善)を伴うものです。建物(ハード)のリニューアルにあたっては、「どのようなホテル・旅館にするか」「どのような客層を狙うのか」「どのような価格帯で販売するのか」「どのようなサービススタンダードにするのか」など、いわゆる運営コンセプトや運営方針を策定し、そのために必要な商品開発や人材育成などを工事期間中や開業後に行う必要があります。

この数年間、政府の補助金制度を追い風に、全国の旅館・ホテルで高付加価値化に向けたリニューアル工事が行われました。しかし、期待されたほどの客室単価や稼働率の向上が見られないという声もよく聞きます。

リニューアル投資が効果を生まない原因は、コンサルティングの現場で繰り返し見てきた中でいくつかのパターンに集約されます。代表的なものを整理しておきます。

[図表C4-4] リニューアル失敗でよく見るパターン

起こりがちな症状主な原因
改装したのに口コミ評価が下がるサービス・料理・パブリック空間とのギャップ
改装したのに客室単価が上がらない原状回復レベルの表層替えに留まる
改装した客室の売れ行きが悪いターゲット客層の変化を読めていない

改装したのに口コミ評価が下がるケース

リニューアルによって客室が見違えるほど綺麗になったものの、接客サービスや料理の質が従来のままだと口コミ評価の面では逆効果になります。お客さまの目には改装した客室と対照的な悪い部分が際立ち、全体の評価を下げる結果になります。

特に、団体やツアー客を多く受け入れる施設では、料理の質に注意が必要です。改装した客室のコンセプトやグレードに見合った質の高い個人客向け料理を提供することが、評価を高めるために必要となります。もし、調理場を任せているスタッフに質の高い料理を開発するスキルがないようであれば、メニュー開発に精通した外部のアドバイザーの協力を得ることを検討したいところです。

改装した客室と古いままのパブリックや大浴場とのギャップが大きい場合も口コミ評価は厳しくなります。予約サイトの写真を改装後の写りのよいもの中心にしたことにより、お客さまの期待値が上がってしまったことが原因として考えられます。施設の古さを隠すのではなく、古いが快適な施設であるというイメージを伝えることが望ましく、そのためには、改装していない部分の写真もあえて掲載することが大切です。

客室改装にかけた投資を早期に回収しようとするあまり、価格設定を高くしすぎると、お客さまからの評価が下がる原因となります。お客さまは客室だけでなく、付帯施設やサービス、料理全体を見て評価します。価格に見合う内容でないと感じられると顧客満足度は下がります。価格アップは、口コミへの影響を見ながら、3ヶ月から半年単位で慎重に行うことをお勧めします。

改装したのに客室単価が上がらないケース

客室やパブリックなどの改装を行なったものの、客室単価が思うように上がらないという声もよく聞きます。この問題はいくつかの原因が考えられます。

まず、改装が原状回復のレベルに過ぎない場合です。表層的な改装にとどまっている場合、付加価値の向上にはつながりません。例えば、和室のクロスや天井の表層替えや美装清掃、バスリフレッシュを行うことは、施設の清潔感を高めるために重要ですが、お客さまにとって当然期待される基本的な水準であり、価値向上とは見なされません。

オンライン予約サイトの写真が若干美しくなる程度の評価は得られるかもしれませんが、これだけでは客室単価の向上には不十分です。単価を上げるためには、ベッドの導入や水回りの交換など、体験価値を高める本質的な改装を行う必要があります。

次に、改装したエリアが十分に活用されていない場合です。例えば、特定の客室の宿泊客のみが利用可能なクラブラウンジは、大型施設の改装でよく見られるものです。海外のホテルチェーンを模倣して導入されたサービスであり、取り組み自体は問題ありません。しかし、リピーターや短期滞在のお客様が少ない施設では、その効果が薄いものです。会員プログラムを導入したり、滞在時のアクティビティを充実させたりするなどの取り組みを行うことが望ましいでしょう。

改装した客室の売れ行きが悪いケース

改装した客室の販売が振るわない一つの原因として、これまでと異なる顧客層をターゲットにしていることが挙げられます。例えば、中価格帯のファミリーや団体客を主な顧客層としていた施設が露天風呂付き客室を新設した場合、このような課題に直面しやすくなります。

改善策として取り組みたいのが、新規客室を全面に打ち出した施設全体のコンセプト、プロモーションの実施です。新規客室の洗練されたコンセプトを施設全体に浸透させることで、イメージアップを図ることができます。ただし、新規客室と一般客室との間にグレードの差が大きすぎると、お客様の期待を過度に高めることになります。実際に宿泊した際に落胆させてしまい、悪い口コミを書かれる可能性があるので注意が必要です。

予算が許すならば、一般客室も新規客室のコンセプトに合わせて改装することが望ましいです。新規客室と整合性のあるコンセプトにすれば、一般客室の人気はより高まるでしょう。予算の制約により一般客室の改装が困難であれば、新規客室は必要以上の高単価路線は目指さずに、地域の他館よりも利用しやすい料金設定とするか、宿泊定員を増やし4名以上のグループ向けの客室として販売することをお勧めします。

運営コストを考慮しないリニューアルの落とし穴

施設リニューアルを検討する際に、運営時の手間やコストを考慮しないと、開業後に運営が回らなくなります。見栄えや最新技術の導入ばかりにこだわらず、生産性向上が実現できるかを検討すべきです。

特に気をつけたいのは、スタッフ配置(ポジション)を減らせるかどうかです。たとえばレストランの改装では、死角を少なくしたり、配膳・下膳の動線を短くしたり、レジ会計の方法を変更することでスタッフ配置を減らせます。レストランの改装を考える際には、運営スタッフは何人必要になるのか、配置場所を平面図上で入念に検討しておきたいところです。

動線分析の手法も、検討時に有効です。平面図の拡大コピーとペン、ストップウォッチを用意し、配置図を作成して作業項目ごとにスタッフとモノの流れを線で結びます。例えば、ホールと食器洗浄機、食器棚、作業台を矢印で結び、移動距離を測ります。ワゴンへの載せ替えや食器棚での並べ直し、運搬する際の段差など、作業時間増加につながる項目がある場合は注記を行います。

[ 注意点 ]
リニューアル成功の3条件

コンセプト企画予算を、設計・工事予算とは別に確保すること。コンセプトが弱ければ、いくら綺麗な客室を作ってもターゲット顧客に響きません。

改装エリアと未改装エリアのギャップを最小化すること。客室だけ綺麗にしてパブリックが古いままだと、口コミ評価は逆に下がります。

運営時のスタッフ配置を、平面図上で事前検証すること。動線が悪いと開業後に人件費が膨らみます。

→ リニューアル投資の落とし穴を整理したところで、次はM&A・事業承継の判断ミスのパターンに進みます。

4章. 失敗パターン3 ― M&A・事業承継の判断ミス

M&A・事業承継を検討する打ち合わせ
想定読者
経営者・投資家・後継者
取り組む問題
M&A・事業承継で取得した施設が本業の足を引っ張る
解決の方向
8つの検証ポイントを段階的にチェックする
得られる効果
本業との相乗効果が得られるM&A判断ができる
ひとことで
M&Aは魅力的に見える案件ほど慎重さが求められます

M&A失敗の典型パターン

旅館・ホテルを含む観光業のM&Aは、かつてないほど広がりを見せています。後継者難への対応に加えて、オーナー経営者の価値観の変化、M&A仲介業者の隆盛、金融機関のフィービジネスへの積極化、審査基準の緩和などが要因として考えられます。

皆さまの会社にも多くの打診が寄せられていることでしょう。事業拡大、発展のチャンスとなる成功事例もありますが、中には本業の業績悪化につながった失敗事例も出てきています。信頼する仲介者から紹介された案件だからといって油断してはいけません。

一目惚れによる衝動的な買収判断

リゾート地にある旅館・ホテルはハイシーズンに行くと大変魅力的に見えます。海がとても綺麗だったと、いわば一目惚れで購入を決定したオーナー経営者が、買収後赤字が拡大し損切りせざるを得なくなったケースが実際にあります。

あるオーナー夫婦が売却希望の出ているリゾートホテルに行ったところ、砂浜がとても美しく、また海水浴客の入り込みも多く活況だったこともあって買収を決意しました。しかし、買収後になって設備の老朽化が激しく、営業継続するためには多額の更新投資を必要とすることが発覚しました。また、オフシーズンは想像以上に宿泊客の落ち込みがひどく、資金繰りに窮するようになり、赤字補填のための役員貸付が膨らみました。

銀行と仲介会社の熱心な勧めもあり、売主からの提示条件を丸呑みして買収したものの、もともと経営している旅館にも悪影響を及ぼすようになったため数年で手放すことを決断しました。以前、物件を勧めてくれた仲介会社に連絡したところ、市況が悪化しており、当初の購入価格の半額まで下げないと買い手は見つからないだろうとの回答がありました。

このような失敗談は世に広がることはありませんが、水面下で実際に起きていることです。事業拡大は直感も大切ですが、即断即決はリスクが伴います。信頼できる幹部や専門家を同行させて冷静な判断をしたいところです。

譲渡希望価格を鵜呑みにしてしまうケース

M&A取引で重要な論点となるのが譲渡価格です。不動産取引と異なり明確な相場がない上に、価格決定に影響を与える要素が非常に多い領域です。利害関係者によって適正と考える価格も異なります。

売主は、土地建物簿価を譲渡価格の目安とするケースが多いです。例えば、開業時の簿価が10億円、減価償却累計額が4億円と仮定すると、6億円以上が希望額となります。転売物件の場合には、購入額にリノベーション投資額を足して減価償却累計額を引いたものが目安となります。売主が不動産投資家の場合は、収益還元価格を目安にすることが多く、極端に割高な希望価格を提示されることがあるので注意が必要です。

仲介会社は、同一の会社が売主・買主両方のアドバイザーとなる場合(双方代理)は、譲渡価格の妥当性よりも取引成立が優先されるので注意が必要です。相場より高くても売れると思えば買主に不利な条件でも取引させようとするインセンティブが働きます。

価格の妥当性は買主が独自に検証することが大切です。検証の着眼点は、建物・設備の状態、将来の期待キャッシュフロー、更新投資の必要額、期待利回り、投資回収年数、買収資金の銀行返済年数です。これらの論点を考慮して事業計画を作れば、譲渡価格はいくら以下でなければ成り立たないか、自ずと算出することができます。

譲渡契約の諸条件を見落としてしまうケース

不動産取引と異なり、M&A取引では様々な諸条件が付くことがあります。分厚い譲渡契約書を隅々まで読みこなすのは難しいですが、譲受後の従業員の地位や業者取引、売上債権の精算有無、譲渡代金の支払い方法は最低限よく確認しておきたい項目です。

譲受後の従業員の雇用については、原則雇用継続することをおすすめします。譲受後に選抜することが知れ渡ると優秀なスタッフが物件引渡し前に退職してしまい、正常な運営ができなくなってしまうので注意が必要です。また、退職金の支払いを売主・買主どちらが負担するかよく確認しておくことも大切です。曖昧なままにしておくと、引渡し後にスタッフから退職金を支払ってくれと言われるリスクがあります。

業者取引については、売主が地元での風評悪化を避けるために、譲受後も地元業者との取引を継続することを契約に盛り込むよう依頼してくるケースがあります。もしこの条件に応じるのであれば、スタッフの不正の温床になっていたり、取引価格が割高であったりしていないかどうか契約調印前に確認しておくことが望ましいでしょう。

譲渡代金の支払い方法については、株式もしくは物件の引き渡し時一括というのが一般的ですが、交渉できるのであれば一部留保し、数ヶ月後に支払いという条件の方が望ましいです。全て代金を支払ってしまうと、譲受後に瑕疵が見つかっても売主と交渉しにくいからです。

M&A判断の8つの検証ポイント

M&Aを実施するにあたり失敗しないためのポイントを、8項目に整理しました。

[図表C4-5] M&A判断の8つの検証ポイント

#ポイント確認内容
1一目惚れしないハイシーズンの印象だけで判断しない
2譲渡価格を独自検証売主・金融機関・仲介会社の主張を鵜呑みにしない
3契約諸条件を精査従業員・業者取引・代金支払条件
4持ち込みルート確認複数ブローカー介在の有無
5運営権譲渡の賃貸借条件家賃・敷金・定期借家の有無
6事前の資金準備意向表明前の融資相談
7改革プランの事前準備統合推進チームの編成計画
8本館との相乗効果検証本部機能・食材・人材の共通化可能性

案件持ち込みルートと運営権譲渡の罠

M&Aに関与するのはまっとうな会社ばかりではありません。高額の報酬を狙ってブローカーが介在するケースもあります。厄介なのが複数のブローカーが関与するケースです。口頭伝承に基づく持ち込み情報だと、購入検討に必要な情報が欠落しているばかりか、情報そのものの真偽が疑わしくなります。実在しない案件の持ち込みすらあります。

ルート確認するには、接触してきた仲介会社が売り手と直接つながりがあるか聞き取りにより確認するとよいでしょう。間に複数のブローカーが介在していると、売却に至った経緯や希望する条件、スケジュール、施設の現況などすぐに回答が得られないので察知することができます。

異業種から旅館・ホテル業への進出が相次いでいますが、業績低迷から開業してすぐに運営権を手放すオペレーターが増えてきました。このようなケースで注意したいのが賃貸借条件です。家賃や敷金が高すぎたり、短期の定期借家契約だったりとオペレーターに不利な条件が多いケースがあります。物件を確保したいために、オーナーの無理な要求を受け入れたことが原因です。

このような物件の運営権を譲り受けると、不利な賃貸条件もそのまま継承することになります。賃貸借契約書がどのようになっているか早い段階で情報開示してもらい、詳細確認することが望ましいです。もし不利な条件であれば賃料などの引き下げ交渉を行うか、現オペレーターが営業を止めるまで静観することが望ましいでしょう。

初見では魅力的に映る買い手・売り手に注意

旅館・ホテルのM&Aでは、売り手・買い手の双方を騙そうとする事例が珍しくありません。その影響は、当事者のみならず従業員や取引先、地域社会にも深刻な打撃を与えます。

例えば、ある地方の老舗旅館では、後継者不在の中、東京の新興ホテル運営会社から買収の提案を受けました。この会社は「地域に密着した再生計画を実施し、地域経済を活性化させる」と約束し、経営者はその計画に期待を寄せました。しかし、売買契約が成立すると、約束していたリニューアル計画を実行せず、延期を繰り返しました。さらに、地元業者との取引を事前の説明もなく一方的に打ち切りました。売り手側の経営者保証を引き受けることなく現預金を関連会社に移転するなどの不正行為も行われました。

この結果、地元社会との信頼関係が崩れ、旅館の評判は大きく傷つきました。最終的に買い手は、施設の魅力を高めるどころか、むしろ悪化した状態で旅館を海外投資家へ短期転売するに至りました。この事例は極端なケースですが、「提案時の話と全然違う対応をされた」という苦情は多いものです。魅力的な提案ほど慎重に商談を進めることをお勧めします。

▼ ACTION GUIDE
立場別に押さえたいM&A判断の観点
01
経営者
信頼できる幹部・専門家を必ず同行させ、即断即決を避ける
02
財務担当
譲渡価格を独自に検証、保守シナリオでも回収可能か試算する
03
後継者
本業との相乗効果を重視し、見栄や規模拡大欲を排除する

→ M&Aの判断ミスを整理したところで、次は業績低下時の原因究明不足のパターンに進みます。

5章. 失敗パターン4 ― 業績低下時の原因究明不足

業績データを分析する場面
想定読者
経営者・支配人・営業企画
取り組む問題
売上低下の原因が掴めず対策が後手に回る
解決の方向
5つの分析手順で原因を体系的に究明する
得られる効果
業績低下を早期に食い止め、回復の道筋が立つ
ひとことで
業績低下時こそ、感覚ではなくデータで判断します

業績低下を放置するとどうなるか

インバウンド需要は順調なはずなのに、足下の売上や利益が低下してしまっているという悩みを聞くようになりました。2025年6月以降、価格競争の激化により宿泊単価の相場が崩れ、期待した収益の確保が難しくなっている地域も出ています。

業績低下を放置すると、資金繰りの悪化、設備投資の遅れ、スタッフの離職、口コミ評価のさらなる低下という連鎖が始まります。一度この連鎖に陥ると、回復には数年を要することになります。早期の原因究明と対策が、被害を最小限に抑える鍵です。

業績低下時の5つの分析手順

業績低下時の原因究明は、5つの手順で段階的に進めることをお勧めします。

[図表C4-6] 業績低下時の5つの分析手順

手順分析対象確認するデータ
手順1エリア入り込みトレンド同一エリア他館の宿泊者数・近隣の催行イベント
手順2チャネル別売上・単価・利益エージェント・契約法人・営業担当・年齢別
手順3顧客満足度の変化口コミ点数・Google評価・予約サイト評価
手順4事業分野別のKPI宿泊・宴会・婚礼・レストラン各部門の指標
手順5スタッフの異動・コミュニケーション退職・配置転換と口コミ点数の相関

手順1 ― エリアの入り込みトレンドを確認

売上低下が発生したら、まず、同一エリアに所在する他館の宿泊者数の増減と差異がないかチェックします。他館が同じトレンドか否かによって取りうる対策が異なるからです。

エリア全体の入り込みが順調にも関わらず、自館だけ売上が低迷しているならば、この数ヶ月間で取り組んだ施策に変化がなかったかチェックしてみましょう。例えば、エージェント向けの販売方針や料金、顧客満足度を確認するとよいでしょう。大胆な施策が裏目に出てひとり負けしてしまっている可能性があります。

施設によって入り込みトレンドがまだら模様であるならば、順調である施設群とそうでない施設群で、特徴に差がないか確認します。例えば、個人客向けのスイート仕様の客室販売が好調である一方、一般客室が低迷しているならば、エリア全体の客層構成が変化している可能性があります。増加が期待される顧客層をターゲットとして、マーケティング方法や内装、設備の見直しを検討するとよいでしょう。

手順2 ― チャネル別の売上を分解

売上低下時の原因を把握する手段として有効なのが、様々な軸で売上の中身を切り分けることです。例えば、エージェントや出発地、営業担当者、契約法人、宿泊単価、年齢などを軸にするとよいでしょう。

エージェントを軸にするならば、ホテルシステム(PMS)のデータから、エージェント別の売上高、宿泊者数、宿泊単価、年齢、性別、グループサイズなどのデータを2〜3年分、月単位で取得します。過去データだけでなく、今後3ヶ月先までのオンハンド状況について様々な軸で予約内容の分析ができれば、売上落ち込みの原因を早急に突き止め、打開策を講じることができます。

重要なのは、減少した層ばかりを追いかけるのではなく、減少幅が小さいセグメントに注目する視点です。たとえば、平日に1名で宿泊するビジネス客の予約が堅調であれば、その層に対して価格を据え置いたまま、連泊特典などの付加価値をつけて訴求するなど、採算性の高い層へのプロモーション強化が有効です。むやみに値下げを行えば、ブランド価値の毀損や利益率の悪化につながるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

手順3 ― 口コミ点数と売上の相関を確認

口コミ点数の変化は獲得予約・売上に大きな影響があります。毎週決まった日に大手代理店やOTAの点数を記録して、獲得予約との関係性を確認するとよいでしょう。

現在の宿泊業において、口コミ点数はもはや単なる評判ではありません。GoogleやOTAに表示される口コミ点数は、検索順位や表示優先度、予約転換率(CVR)に直結します。わずか0.2ポイントの変動でもクリック率や予約成約率が大きく変わります。にもかかわらず、「たまたま辛口の投稿があっただけ」と片づけ、口コミ点数と予約件数の因果関係を軽視する施設は少なくありません。

特に、繁忙期に高稼働を追いすぎた結果、清掃や接客の質が低下し、口コミ点数が落ち込むケースが目立ちます。中小規模の施設では、フロント対応や食事中の気配り、チェックアウト時の一言までが、そのまま評価に跳ね返ります。こうした日々の接点が宿泊体験の印象を大きく左右し、将来の集客力に影響を及ぼします。

口コミ点数と売上には、通常1〜2ヶ月のタイムラグがあります。点数が下がれば、数週間後から1ヶ月ほどで売上の減少が始まる傾向があるため、週単位でスコアを記録・分析し、変化の兆しを早期に察知することが大切です。口コミは過去を評価するものではなく、将来の業績を予測する経営指標と捉えるべき段階に入っています。

手順4 ― 事業分野別のKPI分析

旅館・ホテルは、宿泊事業以外に一般宴会、婚礼、レストランなどを展開していることが多いですが、業績低下要因を一緒くたに捉えてしまうと誤った経営判断につながりかねません。事業分野ごとに原因究明の手法を身につけたいところです。

分析を行う際には、各事業分野の重要経営指標(KPI)を整理するところから始めるとよいでしょう。

[図表C4-7] 事業分野別の重要KPI

事業分野重要KPI
一般宴会施行組数・1組当たり人数・1組当たり単価・1人当たり単価・顧客別取引額
婚礼婚礼組数・1組当たり人数・1組当たり単価・イベント来場者数・成約率・プランナー別受注額
レストラン朝食喫食率・席回転率・時間帯別売上・時間帯別客数・料理・飲料単価
宿泊ADR・OCC・RevPAR・チャネル別売上・客層別構成

KPIを整理したら、過去3年間の毎月の推移をみて、変化している指標をつきとめましょう。例えば、一般宴会で施行組数と顧客別取引額に変化がないにも関わらず、1組当たり人数が減っている場合には、宴会を行う団体の組織率が低下している可能性があります。既存顧客の維持に努めながら、新規顧客の開拓を行うとよいでしょう。

手順5 ― スタッフの異動とコミュニケーション

中規模以下の旅館・ホテルでは、フロントスタッフがひとり異動や退職しただけで売上が減少することがあります。その原因を紐解いてみると、お出迎えやお見送りの時の対応がとても好印象で、口コミ件数や点数の引き上げに貢献していたケースが多いものです。

一方で、接客態度の悪いスタッフがひとり辞めるだけで、口コミ点数が上がり売上向上することもあります。日勤のフロントの対応が良くても、ナイトフロントを経験浅いスタッフに任せて顧客クレームにうまく対応できず評価を落とすケースもあります。

業績低下時には、スタッフの異動やシフト状況と口コミ件数・点数との関係性を比較して、口コミ低下の引き金となっている担当者変更がなかったかチェックするとよいでしょう。

支配人などの管理職と現場とのコミュニケーションが少なく、売上低下の原因に気づかないケースもあります。顕著に影響が出るのが清掃や設備のクレームです。清掃部門から不備に対処するための改善提案が出されても些末な話と対応を後回しにする管理職は少なくありません。作業手順や清掃器具の変更により大幅な改善が見込まれることが分かっていても、マニュアル変更のための関係部署調整や備品購入の稟議書作成を面倒に思って対処しないことがあります。その結果、リピーター離れや口コミ評価低下により売上減少してしまいます。

業績低下時に取り組みたい経費見直しの勘所

原因究明と並行して、経費の引き締めも検討したい局面です。コスト管理を適切に行うことで、経営の安定化を図り、将来的なリスクにも対応できる強固な財務基盤を築くことが可能となります。

特に効果が出やすいのが、人件費・水光熱費・販売手数料の3費目です。人件費については、最低賃金の引き上げや人手不足の影響により上昇が続いていますが、総労働時間の予算化とシフト管理の徹底で抑制が可能です。年間を通じた労働時間の予算を立て、月次や週次でモニタリングすることで、総労働時間を抑えることができます。シフト管理を現場スタッフに任せきりにすると、1〜2時間程度のピークタイムに合わせて投入スタッフが過大になる傾向があるので注意したいところです。

水光熱費については、建物の築年数が長かったり、ロビーやラウンジ、廊下などのパブリックスペースや売店、大浴場などの付属施設が大きかったりすると費用がかさみます。エネルギー効率の高いボイラーや空調、二重サッシ、蓄電池などの省エネ機器の導入、エネルギー・マネジメント・システム(EMS)の活用などが有効な打ち手となります。

販売手数料については、表面上の送客手数料だけでなく、広告掲載費やキャンペーン参画費、システム利用料、協賛金など様々な名目で支払っている費用を旅行会社ごとに合算して売上に対する比率を求めてみることをお勧めします。実質的な送客手数料率を把握することで、取引方針の見直しが可能になります。

[ 注意点 ]
業績低下時に避けたい3つの判断

原因不明のまま大胆な値引き施策を打つと、OTAの安い順表示の罠に陥ります。一度落とした単価は戻しにくくなるので、安易な値引きには慎重でありたいところです。

全部門一律のコスト削減を実施してしまうと、業績好調な部門まで弱体化させてしまいます。事業分野別に対応を分けて検討することが大切です。

経営者一人で抱え込まないことも重要です。窮境を打開するためのプロジェクトチームを結成し、関与メンバーが知恵を絞って改善策を立案・実行することが望ましいでしょう。

→ 業績低下時の対処法を整理したところで、最後の失敗パターンであるリスクマネジメントの欠如に進みます。

6章. 失敗パターン5 ― リスクマネジメントの欠如

ホテルの設備・機械室
想定読者
経営者・支配人・総務担当
取り組む問題
災害・事故・コンプライアンス問題で打撃を受ける
解決の方向
ハザード・ペリル・ロスの3段階でリスクをコントロール
得られる効果
平常時の備えで、不測の事態でも事業継続が可能になる
ひとことで
リスク管理は、平常時こそ最も重視すべき経営課題です

リスクマネジメントの本質

ホテル・旅館は、災害・事故・感染症・コンプライアンス問題など、多様なリスクにさらされる業態です。そのリスク管理を後回しにしてきた施設ほど、不測の事態で深刻な打撃を受けます。

リスクマネジメントの本質は、ハザード(危険をもたらすもの)・ペリル(事故)・ロス(損失)の3段階でリスクをコントロールすることにあります。これは一般論ですが、ホテル運営の現場ではこの3段階の別をあまり意識せずに管理していることが多いです。

[図表C4-8] リスクの3段階コントロール

段階意味ホテル業での具体例対応策
ハザード危険をもたらすもの厨房の手指汚染・耐震基準不足投資・研修で除去
ペリル事故食中毒発生・火災発生・感染症発生事故発生時の即応体制
ロス損失営業停止・賠償金・風評被害保険・BCP・代替体制

事故が起きる原因(ハザード)をどうやって取り除くか無害化するかを検討することが、リスクコントロールの第一歩です。例えば、築年数の古いホテルが耐震診断をしたところ耐震強度が新耐震基準に満たないことがわかった場合、この強度不足がハザードです。耐震補強工事を行なうことがハザードコントロールとなります。

代表的なリスクと対応の方向性

ホテル・旅館における代表的なリスクと対応の方向性を整理します。

[図表C4-9] ホテル・旅館の代表的なリスク

リスク領域主なハザード主な対応策
自然災害地震・水害・台風・噴火BCP策定・耐震補強・避難計画
火災厨房火災・客室喫煙・電気系統消防設備・防火訓練・喫煙ルール
食中毒ノロウイルス・サルモネラ等HACCP導入・手洗い励行・衛生管理
感染症コロナ・インフルエンザ等換気・消毒・スタッフ健康管理
客室内事故転倒・浴室事故・お年寄り急変バリアフリー化・常時連絡体制
コンプライアンス労務・税務・建築基準法違反顧問契約・定期監査
風評被害SNS炎上・取材報道広報体制・初動対応マニュアル
インバウンド対応言語の壁・文化差異多言語対応・ITツール活用

BCP(事業継続計画)の策定

リスクマネジメントの中核となるのが、BCP(事業継続計画)の策定です。BCPとは、「企業が自然災害・大災害・テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法・手段などを取り決めておく計画」のことです。

BCP策定の手順は、次の5ステップで進めます。

  • ・事業への影響度の把握 ― 災害時に優先的に提供すべきサービスを決める
  • ・優先サービス継続の障害要因の把握 ― 何が止まると優先サービスが継続できないかを洗い出す
  • ・目標復旧時間の決定 ― 優先サービスを再開するまでの目標時間を決める
  • ・中核事業が受ける被害の評価 ― 災害パターンごとに被害影響を見積もる
  • ・財務状況の診断 ― 1〜2ヶ月の休業に耐えうる資金を見積もる

判断基準は、会社売上への寄与度・取引先との関係維持に必要かどうか・市場シェアや会社の評判維持に必要かどうかの3点です。例えば、宿泊(個人・団体)のほか、宴会・レストラン・日帰り入浴・運営受託などを事業分野とした場合、どの分野から復旧させていくのか予め決めておきます。

外国人宿泊客への対応

能登地震をはじめとする近年の自然災害では、外国人宿泊客対応の重要性が再認識されました。緊急時の館内放送では、外国人宿泊客への災害内容や避難方法の伝達に問題があったケースが少なくありません。

外国語が話せるスタッフが不在であっても、外国語の館内放送や避難方法の説明がスムーズに行えるよう、ITツールの導入やスタッフトレーニングが必要です。日本人はスタッフが客室に立ち入ることに慣れていますが、外国人にとってはプライベート空間への侵入と受け取られることがあります。文化差異への配慮も含めた対応マニュアルの整備が求められます。

食中毒リスクへの実務対応

食中毒は、ホテル・飲食業界における食品事故で最も多いリスクの一つです。主な症状は嘔吐・下痢・発熱・腹痛で、潜伏期間は30分から72時間というケースもあります。食中毒の発生経路は大きく2種類に分類され、一つはホテル自体が発生原因である場合、もう一つはお客様が外部から持ち込んできた場合です。いずれにしても事実関係を迅速に把握することが重要となります。

食中毒のリスクを回避するためには、日ごろから衛生管理を徹底しておくことが大切です。2021年までに飲食店を含むすべての食品等事業者がHACCP(ハサップ:危害要因分析重要管理点。Hazard Analysis and Critical Control Point)を導入することが義務付けられました。HACCPは、製造工程を継続的に監視し、記録を残すことで問題のある製品の出荷を未然に防ぐことができる管理方式です。もし事故が起きても原因を特定して対応することができます。

食中毒発生時のチェック項目は次の通りです。お客様情報の把握(氏名・連絡先・予約経路・宿泊日・館内利用状況)、お客様の症状の確認(いつから・どのような症状か把握)、情報の集約(責任者に時系列で報告)、保健所への通報と相談・対応、対策本部の設置、事実関係の把握(自社が原因か外部からの持ち込みか)、同日宿泊者から同じ症状が出ていないか確認、営業を続けるか自主休業かの判断、休業する場合は宿泊者の他ホテルへの振替手配、翌日以降のお客様の受け入れ調整、お客様との示談等の交渉の方針を検討、マスコミ対応です。これらを一覧化したチェックリストを平常時に作成しておくことを強くお勧めします。

食品偽装・誤表示問題への備え

食品偽装の場合、事実発覚後に社会的反響が大きくなるか否かは、発覚後の記者会見のあり方や情報開示の方法に関わってきます。料理という消費者にとって分かりやすく関心の高いテーマであることから、記者会見における説明が聞き手に納得されないとマスコミの格好のターゲットとなりかねません。

問題を未然に防ぐためには、まず食材調達の安定性について十分配慮した上でレシピを作ることです。特に、鮮魚・青果は時季により主要産地が変わったり、禁漁となったりします。試作段階では安い価格で手に入っても、その後相場の変化により食材原価を上昇させる要因となることもあります。もし地元の漁港からとれる魚や地元野菜を使用したい場合には、「季節の魚」「季節の地元野菜」などメニューの表現に幅をもたせたほうが望ましいでしょう。

次に、メニュー管理を一元化することです。調理部と調達部、マーケティング部、営業部、経営者の意思疎通が十分になされていないと、その時々の都合で使用材料が勝手に替えられてしまうことがあります。最後に、メニュー名・レシピについて経営者が直接関与することです。「どの業者から、どの産地の、どの食材を、どれくらいの量で、いくらで調達しているか」「食材は加工済みか否か」「調達した食材はどのように保存しているか」を経営者自らが理解すべきところです。

業務マニュアルによる安全衛生・クレーム対応

日常的なリスク管理の基盤となるのが、業務マニュアルです。旅館・ホテルは、客室係・調理係を中心に経験浅い高年齢者の労働災害が起きやすい業態です。そのため、スタッフの安全と健康管理、快適な職場環境づくりを図るためのルールを周知徹底することが重要です。業務マニュアルには、安全管理の留意点・衛生管理の留意点・食中毒と防止策・クレーム対応のステップをまとめることが望まれます。

特に注意したいのが、大浴場の不衛生な箇所や設備故障に気づいていながら、そのまま放置したためにレジオネラ菌が発生し、営業休止に追い込まれたケースです。衛生管理の大切さを理解し、気付いたスタッフがすぐに報告するようマニュアルに盛り込んでおくことが大切です。

クレーム対応については、お客様から伺った内容を漏れなく直ちに上司に報告することをルール化することをお勧めします。接客係が料理提供のミスについて調理スタッフから叱責を恐れるあまり、クレーム自体を揉み消すことがあります。心当たりがある場合には、報告ルートや組織風土が適切かどうか点検することが望ましいでしょう。クレーム対応でやってはいけないこととしては、「私は担当ではない」と言ってしまったり、感情的な反応をしたり、「すみません」と消極的なお詫びばかりで具体的な行動をしなかったりというものがあります。これらは事態の深刻化につながるため、平常時にしっかりとトレーニングすることが望まれます。

耐震問題への対応

耐震改修促進法に基づく診断結果の公表が進められています。多い月では毎週のようにテレビや新聞・ネットで「耐震不足 ホテル」といったキーワードが消費者の目に止まる可能性があります。

公表対象となった旅館・ホテルは、数年前より対策を準備しているので、耐震改修のための資金調達さえうまくいけば、あとは無理のない返済ができるかどうかだけです。しっかりとした対策を行なっているというPRの良いチャンスでもあります。

問題は、旧耐震基準ながらも診断の対象となっていない旅館・ホテルの消費者対応です。テレビや新聞を見て不安になった消費者から、予約時に「おたくは大丈夫か?」「何か対策を打っているのか?」などの問い合わせが増えてくる可能性があります。早めに想定問答集を作って、予約係やフロント係、接客係に周知しておくことをお勧めします。

旅館・ホテル業は安全・安心の確保が前提となるビジネスです。法規制の対象とならなかったといって、旧耐震基準のままでよいわけではありません。任意で耐震工事するのが理想ですが、資金的に難しければ、BCPの策定や災害時の対応体制について社内トレーニングするなどの対策を行うことが望ましいでしょう。

経費構造の体質改善 ― コロナ禍の教訓

感染症の流行は、リスク管理欠如の代償が最も顕在化する局面の一つです。新型コロナウイルスの流行を通じて学んだ最も重要な教訓は、売上減少に見合った経費構造に転換することの重要性です。客数を制限し売上が減少する一方で、経営を維持するためには売上に見合った経費構造にすることが求められます。

そのためには、新たな運営手法の導入やスタッフ個々の役割の見直しなどを行い、コロナ前の70%程度の売上げになったとしても利益が出る組織と仕組みに転換することが大切です。効率的運営と人材育成による生産性アップが必要です。その体質改善ができれば、ある程度売上が戻ってきた際には、いままで以上に利益率は確実に改善することになります。

経費の中には、賃料や減価償却費、固定資産税など、コントロールできない経費、もしくはコントロールしにくい経費があります。運営努力でコントロールできる最大の経費は人件費です。従業員を単純に退職させたり、給与を減額する前に、やるべきことが多くあります。考え方としては、外注人件費を含む総労働時間をどのようにして減らすことができるかです。

具体的な取り組みとしては、外注費削減の観点から、客室清掃の自社化による外注費の削減、配膳人削減のための自社スタッフのトレーニング、社員食堂の内製化、送迎バス運転手の直雇用などが考えられます。料理・レストラン関連では、宴会やレストランなどサービススタイルの変更による人と手間の削減、料理提供方法(提供回数)の変更による作業量削減などがあります。観光地など繁閑格差の大きな立地では、休館日の設定なども人件費の効率化には効果的です。

コンプライアンスリスク

近年、労務問題・建築基準法違反・税務問題などのコンプライアンスリスクが表面化するケースが増えています。SNSの普及により、内部告発や利用者からの指摘が一気に拡散するリスクも高まっています。

コンプライアンス対策は、専門家との顧問契約と定期監査が基本です。労務関係は社会保険労務士、税務関係は税理士、法務関係は弁護士との顧問契約を結び、定期的に経営状況をチェックしてもらうことが望ましいです。

[ 注意点 ]
「業績好調時こそリスク管理を」

業績低下が深刻化すると、経営者は資金繰りのことで頭がいっぱいになり、リスク管理に取り組む余裕がなくなります。業績好調なときこそ、リスク管理に投資すべきです。

身の丈を超えた利益が得られたからといって、効果が見えない設備投資や冗費支出を行うと業績悪化時に困ることになります。日頃から倹約に努め現預金を手厚く持っておくことが大切です。

万一の場合に備えて、雇用調整助成金・制度融資・各種補償の情報を平常時に把握しておくことをお勧めします。

→ 5つの失敗パターンを整理したところで、最後によくある質問にお答えします。

よくある質問(Q&A)

本記事の内容に関連して、経営者や支配人の方々からよくいただく質問をまとめました。実務の参考にしていただければ幸いです。

Q1失敗パターンを早期発見するためのチェック頻度はどのくらいが適切ですか?

A月次・四半期・年次の3段階でチェックすることをお勧めします。月次では財務指標(借入金水準・売上推移・口コミ点数)を、四半期では事業分野別KPIを、年次では総合的なリスク評価(BCP更新・コンプライアンス監査)を実施するのが現実的です。本記事1章のSELF-CHECKは、四半期に1回の頻度で実施することをお勧めします。

Q2過剰投資のリスクが高い時期はいつ頃ですか?

A業界全体の業績回復基調が目立つようになり、金融機関が積極的に融資検討するようになる時期が最も危険です。市場成長期の後期から成熟期に入る時期にあたります。逆に、本来投資すべき時期は、売上・利益が低迷期から回復期へ転じた初期です。市況の先読みが難しい場合は、保守的シナリオでも事業が成り立つかを必ず検証してください。

Q3リニューアル投資の効果を最大化するコツは何ですか?

Aコンセプト企画予算を、設計・工事予算とは別に確保することが最重要です。設計・工事だけ立派でも、コンセプトが弱ければターゲット顧客に響きません。また、改装エリアと未改装エリアのギャップを最小化し、運営時のスタッフ配置を平面図上で事前検証することも欠かせません。

Q4M&A案件の提案を受けた際、最初に確認すべきことは何ですか?

A案件の持ち込みルートと、譲渡価格の根拠です。間に複数のブローカーが介在していないか、譲渡価格は売主・金融機関・仲介会社のどの立場から提示されているのかを確認してください。また、本業との相乗効果が得られるかの検証も、判断の早い段階で行うべきです。

Q5業績低下の兆候を最も早く察知できる指標は何ですか?

A口コミ点数の週次推移です。口コミ点数と売上には1〜2ヶ月のタイムラグがあるため、点数の変化を週単位で記録することで、売上低下の兆候を1ヶ月程度早く察知できます。GoogleとOTA主要3社の点数を毎週決まった曜日に記録する習慣をつけることをお勧めします。

Q6BCP策定はどの規模の施設から取り組むべきですか?

A規模に関わらず、全施設で取り組むべきです。10室規模の小規模宿でも、災害時にお客様の安全を確保し、スタッフの避難経路を確保する責務は同じです。簡易版のBCPでも、策定して周知することで、有事の初動対応が大きく変わります。

Q7失敗パターンに陥った後の立て直しはどの順序で進めるべきですか?

Aまず資金繰りの安定化、次に固定費の見直し、その後に売上回復策の順序が基本です。資金繰りが厳しい状況で売上回復策を打っても、施策の効果が出る前に資金ショートしてしまうリスクがあります。落ち着いて対処するための体制づくりが最優先です。

Q8コンサルタントへの相談はどのタイミングが最適ですか?

A失敗パターンの兆候が見え始めた早期段階での相談をお勧めします。深刻化してからでは、選べる選択肢が大幅に狭まります。月次の業績低下が3ヶ月続いた段階、借入金水準が警戒水準に達した段階、口コミ点数が継続的に低下している段階などが、相談の最適なタイミングです。

アルファコンサルティングの伴走支援

アルファコンサルティングの相談

いかがだったでしょうか? 弊社アルファコンサルティングでは、ホテル・旅館の経営失敗パターンの早期発見・予防、業績低下時の原因究明と立て直し支援、リスクマネジメント体制の構築、BCP策定支援、M&A判断のセカンドオピニオン、リニューアル計画の効果検証まで、幅広くご支援しております。

青木は、観光経済新聞では2009年4月から17年にわたるコラム連載を継続しており、業界の構造的な変化と現場の実態の両方を踏まえた、実践的なご支援を強みとしております。多数のオペレーターと取引関係を持ちつつも、中立的な第三者性のある専門家として、オーナー様の利益最大化を最優先する立場でご支援いたします。

ご支援できる主なテーマ

  • ・経営失敗5パターンの早期診断 ― SELF-CHECK実施と詳細評価
  • ・過剰投資リスクの財務シミュレーション ― 保守的シナリオ作成
  • ・リニューアル計画の効果検証 ― コンセプト設計と運営オペレーション設計
  • ・M&A判断のセカンドオピニオン ― 8つの検証ポイントの精査
  • ・業績低下原因の究明 ― 5つの分析手順による体系的調査
  • ・BCP策定支援 ― 5ステップでの計画書作成
  • ・リスクマネジメント体制の構築 ― ハザード/ペリル/ロスの3段階管理
  • ・事業承継・後継者育成 ― 失敗を防ぐための事前準備

ご支援の進め方

まずは現状の課題と目指す姿のヒアリングから始めます。施設の業態・規模・財務状況・現在の経営状況を踏まえて、ご支援の方向性をご提案いたします。初回相談は無料です。

ご支援の期間は、課題の規模により3ヶ月から1年程度が一般的です。短期集中型の課題解決から、長期伴走型の経営支援まで、施設のニーズに応じて設計いたします。お気軽にご相談ください。

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