悪い口コミへの対応|生成AIでの返信と海外OTAへの削除依頼の実務
こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。
インバウンドのお客様が増えるにつれて、英語や中国語、韓国語といった、すぐには読み書きしにくい言語での口コミが増えてきました。なかには、理不尽な要求を断った腹いせの低評価や、事実と異なる悪質な書き込みもあります。「外国語の口コミにどう返信すればよいのか」「悪質なものは消せないのか」というご相談を、最近よく受けます。
結論から申し上げると、この二つは、いまの宿であれば十分に対処できます。返信は、生成AIを使えば、どんな言語の口コミにも、その場で的確な文章を作れます。語学が得意なスタッフがいなくても、構えて準備をしておかなくても、対応できます。そして悪質な書き込みは、プラットフォームごとの手順を知っていれば、削除を申請できます。
- すぐに削除・反論しない。まず落ち着いて、内容が「事実か」「事実と違うか」を確かめます。
- 返信文は生成AI(ChatGPTなど)で作れます。どんな言語でも、その場で。→ 作り方はこちら
- 事実無根・中傷なら、削除を申請できます。→ 申請先と方法はこちら
- 消えない・悪質な場合は、専門家へ。記録を残しておくことが大切です。
この記事は、上から読まなくても、必要なところだけ読めば対応できるように作っています。

外国語の口コミは、たいてい放置されている
インバウンドのお客様からの口コミ、とりわけ外国語のものは、多くの宿で、そのまま放置されているのが実情です。返信がついていても、どの口コミにも同じような一言が貼られているだけ、ということも少なくありません。これは、宿の姿勢が悪いからではありません。返信したくてもできない、いくつかの理由があるからです。
一つは、言葉の壁です。英語や中国語、韓国語で書かれた口コミは、何が書いてあるのかを読み取ることすら手間がかかります。まして、その言語で返信を書くとなれば、対応できる人は限られます。二つは、時間のなさです。日々の業務に追われるなかで、一件ずつ内容を吟味して返信を書く余裕は、なかなかありません。三つは、何を書けばよいか分からないことです。とりわけ、低い評価や厳しい内容の口コミには、どう返したものか迷い、結局、手をつけられないまま流れていきます。
では、外国語の返信に備えて、文例集をいくつか用意しておけばよいのでしょうか。一見、堅実な準備に思えますが、これも実務ではあまり役に立ちません。口コミの内容は、一件ごとにまったく違うからです。料理のこと、清掃のこと、接客のこと、設備のこと。不満の中身も、温度も、言語もばらばらで、用意した数本の文例では、目の前の一件にうまく当てはまりません。無理に当てはめれば、的外れな返信になり、かえって印象を悪くします。
放置するわけにもいかず、文例集も当てにならない。この行き詰まりを解くのが、生成AIです。ChatGPTに代表される生成AIを使えば、一件ごとに異なる口コミに対して、その場で、その内容に即した返信を、どんな言語でも作ることができます。言葉の壁も、時間のなさも、何を書けばよいか分からないという迷いも、まとめて越えられます。定型文をなぞるのではなく、一件ずつ仕立てる。これが、いまの宿に最も現実的なやり方です。
外国語の口コミに、どう返信する? 生成AIでの作り方
先に結論をお伝えします。返信文は、生成AI(ChatGPTなど)に口コミを貼り付けて頼めば、どんな言語でも数分で作れます。手順は三つだけです。難しい設定は要りません。パソコンが苦手な方でも、その場で対応できます。
図表1:生成AIで口コミ返信を作る 3つのステップ
手順1 役割と「使ってよい事実」を与え、口コミを貼る
まず、生成AIに「あなたは誰なのか」という役割を与えます。次に、ひと手間かけて、返信に使ってよい事実を箇条書きで渡しておきます。施設の基本情報と、その口コミの件で確認できた事実です。ここが、最新の使い方の勘どころです。事実を先に与え、「ここに書かれた事実だけを使い、ないことは創作しない」と縛ることで、AIが勝手にありもしないお詫びや約束を書いてしまう誤りを、大きく減らせます。そのうえで、返信したい口コミの文章を貼り付けます。外国語の口コミは、その言語のまま貼って構いません。
手順2 言語・文体・長さを指定する
返信の言語や雰囲気は、指示を加えるだけで自由に変えられます。「英語で」「簡体字で」「ハングルで」と書けば、その言語で返信を作ります。「丁寧に」「紳士的に」といった言葉を添えれば、文体も調整できます。返信が長すぎると感じたら「三文程度で」と頼めば、簡潔にまとめてくれます。
一度で気に入る文章にならなくても、何度でも作り直しを頼めます。「もう少し柔らかく」「謝罪を控えめにして、改善の姿勢を前に」といった注文を重ねるほど、宿の意図に近づいていきます。
手順3 人の目で確認し、整える
最後に、出てきた文章を必ず人の目で確認します。生成AIは、ときに事実と違うことや、宿の方針に合わない表現を混ぜることがあります。日付や金額、対応の経緯といった事実が正しいか、宿として言ってよい内容か。ここだけは、人が責任を持って確かめます。問題がなければ、それを口コミサイトに投稿します。
生成AIは、文章を作る速さと多言語の力に優れていますが、事実の正しさを保証してはくれません。最終的に世の中に出す責任は宿にあります。AIに八割を任せ、最後の二割を人が締める。この役割分担が、速さと安心を両立させます。
ひどい口コミに、感情的に反論してよい? 印象を悪くしない返し方
ここからが肝心です。悪い口コミへの返信は、書いた本人を言い負かすためのものではありません。それを読む、これから予約を検討する人に向けて書くものです。この視点を持つと、返信はカスハラ対策として機能し始めます。
理不尽な低評価がついたとき、感情的に反論すれば、読み手はどちらもどちらだと感じます。逆に、宿が冷静で誠実な返信を返していれば、攻撃的な投稿のほうに問題があると、読み手は自然に受け取ります。つまり、誠実な一通の返信が、悪意のある書き込みの印象を和らげ、宿を守ってくれるのです。
生成AIに返信を作らせるときも、この狙いを指示に込めると、読み手の信頼を損なわない返信に仕上がります。次にお見せするプロンプト集の③が、その具体例です。
図表2:そのまま使える 口コミ返信プロンプト集(最新版) ※【 】を自館の情報・口コミ本文に置き換えて使います
プロンプト③の要点は、「感情的に反論しない」「事実と異なる点は冷静に指摘」「他の読者に誠実だと伝わるように」の三つを、はっきり伝えていることです。生成AIは、この狙いをくんで、反論と誠実さのバランスをとった文章を作ってくれます。
返信で「認識の相違」という言葉が役に立ちます。事実と異なると感じても、相手を嘘つきと断じれば角が立ちます。「お客様のご認識と当館の記録に相違がございました」と書けば、宿の立場を示しながら、読み手には冷静で誠実な印象を残せます。生成AIにも「『認識の相違』という表現を使って」と頼めます。
事実と違う口コミは消せる? 削除を申請する方法
誠実な返信で多くは対処できますが、事実無根の中傷や、ルールに違反する書き込みは、削除を申請する道があります。ただし、申請すれば必ず消えるわけではありません。各プラットフォームが定めるルールに違反していると、運営側が判断したものだけが削除されます。単なる低評価や主観的な感想は、宿にとって不本意でも、削除の対象にはなりません。
削除されやすいのは、おおむね次のような書き込みです。事実無根の内容、誹謗中傷や差別的な表現、個人を特定できる情報、その施設と関係のない内容、宿泊していない人による投稿、宣伝や不適切な表現を含むものです。逆に、サービスへの率直な不満や低い点数そのものは、ルール違反ではないため、削除はされません。次の早見表で、主なプラットフォームの窓口を整理します。
図表3:プラットフォーム別 悪質な口コミの削除申請 早見表
| プラットフォーム | 申請の窓口・方法 | 削除されやすい書き込み |
|---|---|---|
| Google マップ | 口コミの報告メニュー、またはGoogleビジネスプロフィールの管理画面から、違反の種類を選んで報告 | なりすまし・スパム・虚偽・誹謗中傷・施設と無関係な内容 |
| Booking.com | 管理画面(エクストラネット)から、該当の口コミのガイドライン違反を報告して削除を依頼 | 個人情報・脅迫・無関係な内容・不適切な表現などの違反 |
| エクスペディア | パートナー向け管理画面、またはサポート窓口からガイドライン違反として報告 | 中傷・個人情報・無関係な内容などの違反 |
| 楽天 トラベル | 施設向けの問い合わせ窓口・サポートデスクへ依頼 | 誹謗中傷・名誉毀損・個人情報・事実無根などの規約違反 |
| じゃらん net | 管理画面のサポートデスクへ依頼 | 「クチコミ投稿の掟」違反(上記に加え、未宿泊の投稿) |
※窓口の名称や場所は変わることがあります。申請前に各社の最新のヘルプを確認してください。単なる低評価や主観的な感想は、ルール違反ではないため削除されません。
削除されなかったときは
申請しても削除されないことは、珍しくありません。その場合でも、打つ手はあります。内容が名誉毀損や業務妨害にあたるのであれば、投稿者を特定する発信者情報開示請求や、損害賠償の請求といった法的な対応を検討できます。これらは情報流通プラットフォーム対処法などにもとづく手続きで、専門的な判断を要するため、弁護士など専門家に相談して進めるのが現実的です。
日頃の備えが、最後にものを言う
最後に、悪い口コミに振り回されないための、日頃の備えに触れておきます。
一つは、良い評価を地道に積み重ねておくことです。満足されたお客様に、さりげなく口コミの投稿をお願いする。良い声が多く積み上がっているほど、悪質な一件の影響は小さくなります。口コミの点数は、将来の予約を左右する大切な指標です。日頃の積み重ねが、いざというときの最も確実な守りになります。
もう一つは、生成AIでの返信の型と、削除申請の窓口を、平時に一度試しておくことです。いざ悪い口コミがついてから慌てるのではなく、落ち着いているときに一度、手順をなぞっておく。それだけで、本番での対応がぐっと楽になります。
さいごに
いかがだったでしょうか。外国語の悪い口コミは、もはや手の打ちようのないものではありません。返信は、生成AIを使えば、一件ごとに、どんな言語でも、誠実な文章をその場で作れます。そして悪質な書き込みは、プラットフォームごとの手順を知っていれば、削除を申請できます。大切なのは、返信を「読む人に向けて」書くこと、削除申請は「どのルールに違反するか」を具体的に示すこと、そして日頃から良い評価を積み重ねておくことです。これらを身につければ、口コミは、もう宿を萎縮させるものではなくなります。
弊社アルファコンサルティングでは、ホテル・旅館の経営に特化し、特定の業者と利害関係を持たない独立した第三者の立場から、宿の課題に専門的な視点を添えてきました。口コミ対応の仕組みづくり、生成AIの業務への活用、カスハラに負けない体制づくりなど、それぞれの宿の実情に応じたお手伝いが可能です。なお、悪質な書き込みへの法的な対応については、弁護士など専門家と連携して進めることをお勧めします。
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