慧眼のデータサイエンティストが語る!ヨーロッパのホテルチェーンに学ぶ宿泊主体型ホテル・リゾートホテル・民泊・ゲストハウス・簡易宿所の売上利益アップ・生産性向上のポイント
ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。今回は、ホテルの価格戦略立案(レベニューマネジメント)、ホテルのI Tシステム開発・導入でパートナーとしてご協力頂いている生駒清文さんに寄稿頂きました!
データサイエンス領域において豊富な経験・経験をお持ちであり、もし皆さまのホテル旅館で次のようなお困りごとがあればお気軽にご相談ください。A IやI Tというと高価なイメージがありますが、皆さんがイメージする予算額よりも「かなり安く」対応可能ですよ!
- レベニューマネジメントに取り組みたい
- 自社にとって使いやすいITシステムを作りたい
- A IやI Tを駆使した最先端のホテルを作りたい
さて、私の前置きはこれくらいにして、生駒さんのコラムをご紹介します!
▼目次
フランスのリゾートに見る合理性
ヨーロッパ人は誰しも長期のバカンスを楽しんでいるというイメージがあるかと思いますが、その費用はどうやって捻出しているのでしょうか?フランスのスキーリゾートの事例を見てみましょう。
フランスのリゾートでは、ホテルよりもアパート(レジデンス)を利用するのが一般的です。PierreやOdalysなど、大規模に展開しているチェーンもあり、ホテルと同じようにwebサイトで簡単に予約できます。また、日本でも馴染みのあるBooking*comのようなOTA(ネットエージェント)から予約できるものもあります。もちろん、日本でいうリゾートマンションの1室を個人オーナーがAirbnbなどで貸し出すケースもあります。
富裕層が利用する5つ星クラスから庶民が利用する2つ星クラスまでいろいろな種類があります。2、3つ星クラスであれば1週間利用しても1部屋10万円以下と比較的安く滞在できます。筆者が使うのもこのクラスです。2〜3人用の客室もありますが、多くは4〜6人用ですから、人数で割ればリーズナブルで、庶民も1週間のスキーバカンスを楽しめるというわけです。そのかわり、合理化も徹底しており、あらゆるものがDIY(Do It Yourself)となっています。
徹底的な合理化運営を行うフランスのリゾート施設
まず、1週間単位の滞在が基本なので、チェックイン、チェックアウトは土曜日か日曜日です。それ以外の日が全く駄目というわけではないですが、例外的な取り扱いとなります(5つ星クラスはチェックイン、チェックアウトの日は柔軟に対応してくれます)。そもそも空港連絡バスも土日以外はほとんど動いてないです。逆に土日はロンドン発のユーロスターが乗り入れてきます。施設によっては、チェックアウトの事務処理能力の関係上、チェックアウト時間をあらかじめ予約しておく必要があります。また、チェックイン時に宿泊料金とは別に数万円ぐらいのデポジットを支払います。もちろんカードでOKです。
部屋に入ったら、備品のチェックを行います。客室に置かれている備品リストを見ながら不足しているものがないか確認していくのですが、何がどこに置いてあるのかまでは書いてないですから、ひとつひとつ探していきます。不足しているものがあったらここで申し出ておかないと、自分がなくした/破損させたという扱いになってしまいます(デポジットから差し引かれます)。筆者の経験では、なにか1つぐらいは足りないことが結構ありました。
タオルやシーツなどのリネンは支給されますが(別料金のこともあります)、ロビーで受け取って自分で部屋に持っていき、自分でベッドメイクします。
施設内にレストランはありませんが、部屋にはキッチンとダイニングがありますから、自炊するか、外のレストランで食事をすることになります。ご存知のように欧州のレストランは高いので、基本は自炊です。1人1食千円に収まるでしょう。ランチもスキー場内にピクニックテーブルや休憩室(という言葉で表現するよりはるかにスタイリッシュな施設)がたくさんありますから、ランチボックスを持参する人も多いです。リゾート価格ではありますがスーパーマーケットやパン屋があり、朝から開いているので食材調達には不自由しません。フランスらしく、ワインの品揃えも豊富です。
キッチンに調味料や洗剤の類は一切ないですし、トイレットペーパーなども補充はないですから、まずはスーパーマーケットで食材と一緒に調達します。車で来るフランス人は自宅から持ってくる人も多いです。真冬の外出は大変と思うかもしれませんが、無料のシャトルバスが頻繁に巡回していますし、高低差があるところにはエレベーターもあります。アーケードも多いですから出歩くのは苦になりません。
滞在中は、清掃やリネンの交換はありません。これもDIYです。タオルを洗いたければ、自分でコインランドリーへ持って行きます。防犯上、施設スタッフが部屋に入った場合は誰々が何のために入ったというカードが置かれます。
一見すると不便なことが多いように感じますが、逆に考えると、平日はフロント部門、客室部門は最低限の機能でよいわけです。フロントは限られた時間しかオープンしませんし、もちろんルームサービスなど一切ありません。ピザなど外部のデリバリーサービスを使うことはできます。玄関はオートロックで、チェックイン時に暗証番号を教えてもらえますから、いつでも出入りできます。
土日は施設スタッフも忙しくなりますが、その分スキー場は宿泊客の移動日で人が少なくなっています。
チェックアウト時は、自分で清掃しなければなりません。食器を洗い、バストイレも洗い流し、部屋は掃除機をかけます。ごみも外のごみ収集場所(巨大なごみ箱がある)に自分で持って行き分別します。チェックアウト時には、部屋の状況と備品がチェックされます(結構いい加減だったりしますが)。それもあってチェックアウトが予約制になっていたりするわけです。清掃が不十分と判断されると別途清掃料が発生します。これもデポジットから差し引かれます。問題なければデポジットは返金されます。もちろん富裕層が宿泊するようなところであればそんな必要はありませんが、それらはすべて高額な宿泊料金に反映されます。
このような徹底的な合理化を図ったシステムにすることで宿泊料金をリーズナブルに抑えることができ、庶民でも1週間のスキーバカンスが楽しめるようになっているわけです。
また、顧客を富裕層に限定してしまうと、リゾートタウンやスキー場が小規模になってしまいます。フランスのスキー場の麓のリゾートタウンはどこも1シーズンで100万人ぐらいは集客します。リフトで連結されているスキー場を足し合わせると500万人を超えるところもあります。日本は白馬エリア全体(リフト連結はない)でも150万人程度です。だからリゾートタウンやスキー場の施設、関連サービスを充実させられるわけです。これだけの規模になると、さすがに富裕層だけでは埋められません。
サービスはお金がかかるものという認識
いまは外国人観光客も富裕層ではなく中間層が中心です。一時期オーストラリア人にブームとなったニセコも、いまやオーストラリア人も中間層は高いといって敬遠するようになりました。富裕層にだって、値段と価値が見合っていないと思われると二度と来てもらえません。
彼らは過剰なサービスは求めていませんし、あまり細かいことは気にしません。日本ではサービスという言葉が無料の意味で用いられますが、海外ではサービスは有料であるという認識です。無料といっても民間ですから、それは顧客全員が少し割増料金を払っているか、施設スタッフに必要ない負担を強いているかのどちらかです。
割増料金を払っているなら、そんなサービスいらないから値下げしてくれと考えるのが普通です。外国人は施設スタッフをリスペクトしますし、巡り巡って自分の仕事でも同じように過剰な負担を強いられることにも繋がるので、施設スタッフに必要ない負担を強いることは求めません。価格以上のサービスを提供してもらったと感じたらチップです。チップは中間搾取なく直接受け取った施設スタッフに渡ります。
逆に、彼らが迷惑に感じるホテルの独自ルールは、日本国内の商慣習もあるでしょうが、可能なら取り払うべきです。門限を設けられてしまうと深夜にお腹が空いてもコンビニにも行けないことや、飲食物の持ち込みが禁止なのにこちらが食べたいもの、飲みたいものを提供してくれてないことに不満を持ちます。飲食に関しては別の機会に詳しく説明したいのですが、日本の宿泊業は外国人の飲食に関するニーズに対応できていないことが多いと思われます。
日本人の宿泊が休前日に集中してしまうならば、あとの6日を連泊前提で顧客ニーズにあった合理的なサービスを低価格で提供すれば、効率的に運営しつつ稼働率や収益率を向上させることができるのではないかと考えています。具体的な手法については別の機会に説明したいと思います。
いかがだったでしょうか?皆さんのホテル旅館運営に少しでもご参考になれば幸いです!
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