数字で読む旅館・ホテル経営 ― 業界平均と照らして、自館はどこにいるか

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。本記事は、日本旅館協会の統計データをもとに、自館の経営数値を業界平均と照らし合わせて診断するための、経営者向けのガイドです。観光経済新聞のコラム連載17年で見てきた現場の事例と、協会の営業状況等統計調査の数値を重ねながら、自館が業界のどの位置にいるのかを見極めていきます。

決算書とグラフを前に経営を見つめる経営者

数字は嘘をつきません。ただし、それは正しい物差しで測ったときの話です。同じ「人件費率30%」でも、都市部ビジネスホテルなら高すぎ、温泉旅館ならごく標準的な水準です。自館の数字を、業態・規模・年次に合った平均と並べてはじめて、強みと弱みがはっきりと見えてきます。本記事を、その物差しとしてお使いください。

はじめに ― なぜ「業界平均」と照らして自館を見るのか

ここ数年、相談を受ける経営者の方から、決まって似た声を聞きます。

「黒字は出ているが、これで十分なのか分からない」

「業界誌の数字を見ても、自館がいいのか悪いのか判断できない」

「人件費が重い気はするが、業態として当然なのか、改善余地があるのか確信が持てない」

「コロナ後に売上は戻ったのに、なぜか資金繰りは楽にならない」

こうした迷いの根本には、自館の数字を「正しい物差し」で測れていないという共通点があります。業態が違えば、目指すべき利益率も人件費率も変わります。規模が違えば、固定費の重さも変わります。さらに、業界平均そのものが年々動きます。海外チェーンの数値や、業態の異なる同業の噂を物差しにしてしまうと、根拠なく落ち込んだり、逆に安心してしまったりすることになります。

私が経営者の方にお勧めしているのは、過去5年程度の自社の決算と、日本旅館協会や観光庁が公表する業界平均を突き合わせ、自館の実力に見合った基準値を持つことです。基準値があれば、どの数字が業界水準からどれだけ離れているのか、どこから手をつけるべきかが一目で分かります。本記事では、日本旅館協会の営業状況等統計調査をもとに、主要な経営指標の業界水準と、コロナ最悪期から直近までの5カ年の動きを整理し、自館を測るための物差しを一つひとつ用意していきます。

先に、この記事で何度も立ち返る論点を一つだけお伝えしておきます。コロナの最悪期に、黒字の旅館ホテルは3社に1社まで減りました。それが直近では約7割まで回復しています。しかし、「回復した」ことと「儲かる体質になった」ことは、まったく別の話です。売上が戻っても抜けきらない弱点が、数字のどこに表れるのか。それを見抜くことが、本記事の狙いです。

この記事を読むとわかること

  • 1日本旅館協会の統計でたどる、主要経営指標(黒字割合・稼働率・原価率・人件費率・利益率・借入金)の業界水準
  • 2コロナ最悪期から直近までの5カ年で、業界の数字がどう動いたか
  • 3黒字の宿と赤字の宿を分ける、決算書上の「一線」がどこにあるか
  • 4自館の数値を、業態・規模に応じた正しい平均と比較する診断手順
  • 5各指標の異常値から、どの打ち手を優先すべきかの見極め方
目次 タップで開閉

→ ここまでが導入です。次章から、診断の地図として、自館を測る主要指標の全体像を整理します。

第1章

決算書のどこを見るか ― 診断の地図

複数の財務資料と指標表を見比べて自館の位置を診断する場面
要点 自館を測る前に、見るべき指標と「正しい物差し」を決めます。主要指標を一覧で押さえ、業態・規模で平均が変わることを理解すれば、誤った自己評価を避けられます。

自館を測る主要指標

本記事で扱う指標は、いずれも決算書と日々の販売実績から計算できるものばかりです。まず全体像を一覧で示します。各指標が何を測るのか、どの章で詳しく扱うのかを確認してください。

【図表H-1】自館を測る主要指標と該当章

指標何を測るか該当章
黒字・赤字の割合経常利益ベースで黒字の宿が占める割合第2章
人件費率人件費 ÷ 総売上第2章
客室稼働率(OCC)販売室数 ÷ 販売可能室数第3章
客室平均単価(ADR)・RevPAR単価と、販売可能室1室あたり売上第3章
食材原価率食材費 ÷ 総売上第4章
GOP率償却前営業利益 ÷ 売上第4章
集客チャネル構成旅行会社・OTA・自社予約の比率第5章
外国人宿泊比率外国人宿泊人員 ÷ 延べ宿泊人員第5章
借入金比率・債務償還年数財務の健全性と返済負担第6章

「正しい物差し」をどう作るか

業界平均を見るときに、まず気をつけたいことが二つあります。一つは業態と規模で水準が大きく変わること。もう一つは、海外チェーンの数値をそのまま当てはめないことです。たとえば海外の文献にあるGOP35〜45%といった水準は欧米のチェーンホテルのものであり、日本の旅館ホテルにそのまま重ねると、根拠のない劣等感を生むだけになります。

私がお勧めしているのは、過去5年程度の自社の決算と業界平均を参考に、自館の実力相応といえる売上・経費のラインを算出し、そこから売上を数%上乗せ、経費を1〜5%下げた自社の基準値を持つことです。経費を売上比率で示しておけば、優先的に取り組むべき費目の見極めも容易になります。業界平均は出発点であり、最終的な物差しは「自館の基準値」だと考えてください。

本記事が使う統計について

本記事の数値は、特記のない限り日本旅館協会「営業状況等統計調査」によります。この調査の対象は旅館・観光ホテルであり、ビジネスホテルやシティホテルは含まれていません。したがって、ビジネス・シティの数字は、本記事では一般的な業界水準の参考値として補足的に示すにとどめます。調査では、経常利益を基準に各館を黒字・赤字に区分し、規模別(大規模は概ね100室以上、中規模・小規模)や地域別にも集計しています。本記事では、コロナの影響が最も深刻だった令和3年度の調査(令和2年度決算ベース)から、直近の令和7年度の調査(令和5年度決算ベース)までの動きを軸に読み解いていきます。あわせて、私自身が現場で見てきた事例も、経験談として織り交ぜていきます。

→ 物差しの準備ができたところで、最も大切な問い「黒字と赤字は、何が分けているのか」に進みます。

進捗:第1章/全8章 ■□□□□□□□ 12%

ここまで読了:約2分 / 残り約16分

第2章

黒字と赤字を分ける一線 ― 黒字割合と人件費率

損益計算書からコスト構造と利益を確かめる場面
要点 黒字と赤字を分ける最大の差は、売上でも稼働率でもなく人件費率にあります。直近データでは黒字館と赤字館の人件費率の差は約6ポイント。自館がどちら側かを、まず人件費率で確かめます。

「3社に1社」から「7割」へ ― 黒字割合の5カ年

まず、業界全体の黒字割合の動きを押さえます。日本旅館協会の調査によると、コロナの影響が最も深刻だった令和3年度の調査では、黒字の旅館ホテルは全体の32.0%、前年度から約19.5ポイントも減少しました。3社に2社が赤字という、危機的な状況です。それが直近の調査では約7割まで回復し、コロナ前の令和元年度と比べても19.4ポイント高い水準になっています。

【図表H-2】黒字割合の推移と、直近の規模別

① 全体の黒字割合(経常利益ベース)

約51%
32.0%
約70%
コロナ前
令和元年度
最悪期
令和3年度
直近
令和7年度

② 直近の黒字割合(規模別・令和7年度調査)

全体
約70%
大規模
85.7%
中規模
63.2%
小規模
約72%

出典:日本旅館協会「営業状況等統計調査」。最悪期は令和3年度調査、直近は令和7年度調査。コロナ前の規模別は概数。回復局面では大規模(85.7%)が最も高い。

ここで見落としてはいけない逆転があります。コロナ最悪期に黒字割合の落ち込みが最も大きかったのは、実は大規模館でした。固定費の重い大型館ほど、稼働が止まった瞬間の打撃が大きく、小規模館のほうが補助金や固定費の軽さで相対的に底堅かったのです。ところが直近では立場が入れ替わり、大規模館の黒字割合は85.7%と最も高くなっています。団体旅行の一部回復が、大型館の収支を押し上げているためです。

つまり「規模が大きいほど経営は安泰だ」という思い込みは、半分しか当たっていません。固定費の重さは、危機局面では脆さに、回復局面では伸びしろに変わる諸刃の剣です。自館の規模が持つこの両面を理解しておくことが、稼働が落ちたときの備えにつながります。そして何より重要なのは、「黒字に戻った」ことと「赤字に戻りにくい体質になった」こととは別だという点です。その体質を最もよく表すのが、次に見る人件費率です。

黒字と赤字を分ける「人件費率の一線」

黒字の宿と赤字の宿を分けているものは、何でしょうか。売上の大きさだと考える方が多いのですが、データははっきりと別の答えを示します。直近の調査で、人件費率は全体平均で29.7%でした。これを黒字の宿と赤字の宿に分けると、次のようになります。

【図表H-3】人件費率:黒字館 vs 赤字館(直近・令和7年度調査)

黒字館 赤字館 / 破線=40%(黒字確保が難しい水準)

全体

黒字
28.7%
赤字
34.5%

大規模

黒字
27.3%
赤字
32.8%

中規模

黒字
29.9%
赤字
33.9%

小規模

黒字
32.0%
赤字
43.6%

いずれの規模でも赤字館の人件費率が高い。とくに小規模の赤字館は43.6%と、黒字確保が難しい40%の水準を超えている。出典:日本旅館協会「営業状況等統計調査」(令和7年度)。横軸は0〜50%で表示。

数値表:人件費率の黒字・赤字別(直近・令和7年度調査)

区分黒字館赤字館
全体28.7%34.5%5.8P
大規模27.3%32.8%5.5P
中規模29.9%33.9%4.0P
小規模32.0%43.6%11.6P

出典:日本旅館協会「営業状況等統計調査」(令和7年度)。人件費は役員報酬・給料・法定福利費・外注委託費などの合計。

全体で見ると、黒字館の人件費率は28.7%、赤字館は34.5%。黒字と赤字を分けていたのは、売上の大きさではなく、人件費率という「体質」だったのです。この傾向はすべての規模で共通しており、とくに小規模館では黒字32.0%に対し赤字43.6%と、その差が11ポイント以上に広がります。

注目すべきは、協会の調査自体が人件費率が40%を超えると経常利益は出にくいと指摘している点です。小規模の赤字館の43.6%は、まさにこの危険水準に達しています。人件費率は、黒字か赤字かを映す鏡であると同時に、これを超えてはならないという一線でもあるのです。

注意点

「平均より高い=悪い」と短絡しない

人件費率の適正水準は業態で大きく異なります。都市部ビジネスホテルは20〜30%(清掃の外注費などを含む実質値。自社スタッフの給与だけなら20%未満)、温泉旅館は30〜40%が標準で、40%に近づくと黒字確保が難しくなります。

したがって、全体平均の29.7%だけを見て「自館は高い」と判断するのは早計です。必ず自館の業態の物差しで見てください。業態ごとの適正水準は、業態別の利益率・収益構造の記事で詳しく整理しています。

では、人件費率が高いと気づいたとき、何から手をつけるべきでしょうか。私が経営者の方にお伝えしているのは、いきなり人を減らすのではなく、まず人員組織図を描いて、必要な人数を可視化することです。稼働率ごとに、最低何名の社員・パートがいれば運営できるのかを書き出してみる。たとえば50室の宿で1室あたり3名と仮定すると、稼働30%なら1日45名、50%なら75名、70%なら105名のお客様に対応する人員が要ります。この最低人員を稼働の見通しに沿って設計しておけば、人件費が業界水準と比べて高いのか低いのか、その理由まで含めて説明できるようになります。金融機関に対しても、現場に対しても、説明できる人件費こそが強い経営の土台です。

自己診断 ― 自館は黒字ラインのどちら側か

直近の決算書から、人件費率(人件費 ÷ 総売上 × 100)を計算してみてください。

□ 自館の業態の標準より低い → 効率は良好。稼働・単価の伸びしろを見る

□ 標準の範囲内だが、黒字館の水準より高い → 体質改善の余地あり

□ 40%に近い、または超えている → 黒字確保が難しい高負担。早急な見直しを

▶ どこに当てはまったかが、改善の出発点です。人件費率は「減らす」前に「説明できる状態にする」ことから始めてください。

自館の人件費率が黒字ラインのどちら側か、確かめたい方へ

初回相談は無料です(オンライン相談可)

▶ 人件費率の業界比較を相談する

→ 黒字と赤字を分ける一線を押さえたら、次は売上をつくる両輪、稼働率と単価の読み方に進みます。

進捗:第2章/全8章 ■■□□□□□□ 25%

ここまで読了:約5分 / 残り約13分

第3章

稼働と単価をどう読むか ― 稼働率・ADR・RevPAR

客室の稼働率と単価・RevPARを確認する場面
要点 稼働率の高さは、それだけでは利益を意味しません。単価と掛け合わせたRevPARで見て、はじめて売上の実力が分かります。稼働を追って安売りに走ると、稼働は上がっても利益は痩せます。

稼働率だけを見てはいけない

統計資料では、稼働率が主要な指標として大きく扱われます。たしかに稼働率は分かりやすい数字です。しかし稼働率は「客室をどれだけ埋めたか」を表すだけで、「いくら稼いだか」は表しません。稼働80%でも、単価が地域平均に埋もれていれば、利益は薄いままです。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

稼働率を経営の通信簿のように扱うのは、私は危険だと考えています。リーマン・ショック後、ビジネス需要が急減した局面では、宿泊料金の値引き合戦に加え、クオカードや現金のキャッシュバックまで横行しました。稼働は確かに戻りますが、戻っているのは「埋めた量」であって「利益」ではありません。協会統計の稼働率は、あくまで出発点。それ単独で一喜一憂せず、必ず単価と利益に置き換えて読んでください。

RevPARという物差し

稼働と単価をひとつにした指標がRevPAR(販売可能客室1室あたりの売上、=稼働率×平均単価)です。RevPARの業態別の目安を、まず形で押さえてください。業態によって水準がまったく違うことが分かります。

【図表H-4】業態別RevPARの目安(中位の水準・横軸0〜8万円)

ビジネス系
※調査対象外
0.6〜1.2万
シティ
※調査対象外
1.2〜2.2万
温泉旅館
1.3〜2.8万
リゾート
1.3〜3.0万
高級旅館
2.8〜7万

これは中位の施設を想定した目安です。インバウンド回復と円安で近年上昇していますが、業界トップ層の運営会社はRevPAR4万円前後とこれを大きく上回ります。それは例外的な好成績で、目安にすると自館を過大評価しかねません。築年数の古い施設や地方の中小施設では、レンジの下限かそれ以下にとどまることも珍しくありません。旅館は一泊二食のため室料ベースのホテルより高めに出ます。なお本統計の対象は旅館・観光ホテルで、ビジネス・シティは含みません(薄い色の2業態は参考値)。

大切なのは、稼働率を上げることだけが収益改善の道ではないという点です。とくに温泉地のホテル・旅館では、単価を引き上げる方が、稼働を追うよりも利益率の改善幅が大きいケースが少なくありません。たとえば、ある地方温泉地の60室規模の旅館では、客室の付加価値を高める改装と料理・サービスの磨き上げにより、客室単価(ADR)が約16,000円から約24,000円へと上がりました。稼働率は80%から75%へわずかに下がりましたが、RevPARは約12,800円から約18,000円へ伸び、GOPも18%から25%へ改善しています。高単価化は変動費の追加をほとんど伴わないため、上がった単価のほぼ全額が利益に直結するのです。

稼働率と単価、どちらを軸に伸ばすべきか相談したい方へ

初回相談は無料です(オンライン相談可)

▶ 稼働と単価の最適化を相談する

→ 売上の実力を押さえたら、次は利益を左右するコスト側、原価率とGOPに進みます。

進捗:第3章/全8章 ■■■□□□□□ 38%

ここまで読了:約8分 / 残り約10分(折り返し)

第4章

原価率と利益率 ― 食材費とGOP

料理と食材原価のバランスを見直す場面
要点 原価率は「下げる」より「価値を最大化する」もの。GOPは業態でまったく別物で、海外チェーンの水準を当てはめてはいけません。

原価率は業態で別物 ― 全体平均は当てにならない

直近の調査では、売上総原価率は全体平均で21%台でした。ただし、ここで注意していただきたいことがあります。この「売上総原価率」には、食材だけでなく、飲料や売店商品などの仕入原価も含まれています。つまり、純粋な食材原価率とは別の数字です。実際の料理の原価管理を考えるときは、飲料・売店を切り分けた食材原価率で見る必要があります。そしてその食材原価率は、業態によって2倍以上の開きがあります。

統計の読み方

統計の「売上総原価率」(食材+飲料+売店仕入など)と、料理単体の「食材原価率」は別物です。両者を混同すると、原価が高い・低いの判断を誤ります。なお本統計調査の対象は旅館・観光ホテルで、ビジネスホテル・シティホテルは含まれません。次の図は、業態ごとの食材原価率(料理のみ)の一般的な目安です。

【図表H-5】業態別の食材原価率(料理のみ)の目安(総売上ベース・横軸0〜30%)

ビジネス
※対象外
5〜10%
高級旅館
18〜25%
温泉旅館
20〜25%
シティ
※対象外
20〜25%
リゾート
20〜28%

朝食中心のビジネスは5〜10%と低く、夕食偏重の温泉旅館・リゾートは20%超。これは料理のみの食材原価率の目安で、飲料・売店仕入を含む統計の「売上総原価率」とは別物です。薄い色の2業態(ビジネス・シティ)は本統計の対象外で、一般的な参考値です。

原価は「削る」のではなく「価値を最大化する」

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

原価率が高いと分かったとき、仕入れ業者への値引き要請に走るのは、私はあまりお勧めしません。一律の値下げは受け入れてもらえないことが多く、関係を損なうだけのこともあります。むしろ見直すべきは、夕食偏重の構造です。お客様アンケートを見ると、夕食は「食べきれないほど出た」と好評な一方、朝食は「品数が少なく残念だった」という不満が少なくありません。

夕食の一品を減らすだけで、朝食にかけられる食材費は大きく増やせます。原価率を下げること自体を目的にすると、料理の魅力が落ち、口コミ評価が下がり、結局は直販も値段も弱くなる悪循環に陥ります。原価は削る対象ではなく、配分を最適化して価値を最大化する対象だと考えてください。

GOPは「高ければよい」ではない

GOP(償却前営業利益率)も、業態で水準がまったく異なります。形で押さえておきましょう。

【図表H-6】業態別GOPの目安(横軸0〜60%)

ビジネス
30〜55%
シティ
25〜35%
リゾート
20〜35%
温泉旅館
20〜30%
小規模/高級
15〜30%

海外文献のGOP35〜45%は欧米チェーンの数値。日本の旅館ホテルにそのまま当てはめない。

最近のトレンド

無人・省人化ホテルでは、GOPが70%近くに達することもある

これは統計の話ではなく、近年の運営形態の変化として押さえておきたい点です。フロント無人化やセルフチェックイン、清掃の効率化を徹底した省人化型・無人型のホテルでは、人件費を大幅に圧縮できるため、GOPが上の図の目安を大きく超え、70%近くに達する例もあります。

自館のGOPを評価するときは、対面サービスを売りにする宿と、省人化を前提にした宿とでは、そもそも目指すべき水準が違うことを意識してください。詳しくは無人ホテル・省人化運営の記事でも解説しています。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

利益を細かく見るために部門別損益を導入する施設は多いのですが、運用を誤ると弊害が生じます。旅館・ホテルは部門ごとの相互依存が高く、レストランの採算が悪いからと撤退すると、宿泊や宴会の魅力まで落ちて全体の売上が減ることがあります。部門別損益は予算管理と気づきのためのツールであって、撤退の唯一の根拠にはしないこと。これは私が現場で繰り返し見てきた落とし穴です。

→ コストの構造を押さえたら、次は売上のつくり方そのもの、集客チャネルの地殻変動に進みます。

進捗:第4章/全8章 ■■■■□□□□ 50%

ここまで読了:約11分 / 残り約7分

第5章

集客チャネルの地殻変動 ― OTA・自社予約・インバウンド

予約画面と販売チャネルの構成を分析する場面
要点 ネット時代になっても、旅館は自社予約を約1割しか作れませんでした。OTAが予約の半分を占め、手数料として利益が流出し続けています。そしてインバウンドの恩恵は、統計の見かけほど広くありません。

OTAが旅行会社を逆転、自社予約は10年「釘付け」

予約がどの経路で入るかを、旅行会社・OTA(ネット予約サイト)・自社HP・直予約の4つに分けて見ると、この10年で大きな地殻変動が起きていることが分かります。

【図表H-7】集客チャネル構成の変化

旅行会社 OTA 自社HP 直予約

かつて(平成27年ごろ)

44%
25%

コロナ期

24%
48%

直近(令和7年度調査)

30%
47%

OTAが旅行会社を逆転し約半分を占める一方、自社HP(緑)は10年以上11%前後で横ばい。出典:日本旅館協会「営業状況等統計調査」。かつての数値は概数。

旅行会社経由はかつての4割超から直近30.1%へ、OTAは2割台から46.9%まで伸び、予約のほぼ半分を占めるようになりました。ところが自社HP経由は約11%のまま、10年以上ほとんど動いていません。コロナ期にお得意様の直予約が一時的に増えたものの、回復局面では再びOTAへ戻り、自社HP・直予約はむしろ低下しています。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

協会の統計は、経由率を淡々と並べるだけです。しかし私はここに、業界の構造的な失敗を読み取ります。販売をデジタル化したのに、自前の予約基盤だけは作れず、その分の利益をOTA手数料として明け渡し続けてきた。OTA手数料は10〜15%が一般的で、予約の半分がOTA経由なら、売上の数%が常に外部へ流れている計算です。集客をエージェントやOTaに任せきりにしていないか——回復局面で直販が下がってOTAに戻ったという事実こそ、自社で客をつかむ力を育ててこなかった証拠だと考えています。

「外国人比率24.1%」の落とし穴

外国人宿泊人員比率は、コロナ最悪期にほぼゼロ(0.8%)まで落ち込んだあと、直近では協会調査で全体24.1%まで急回復しました。数字だけ見れば、インバウンドが業界全体を潤しているように見えます。

【図表H-8】外国人宿泊人員比率の推移(協会調査・全体)

約9%
0.8%
24.1%
コロナ前
令和元年度
最悪期
令和3年度
直近
令和7年度

出典:日本旅館協会「営業状況等統計調査」。この比率は協会会員施設の平均値であることに注意(下記参照)。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

この24.1%という数字を、私はそのまま「業界の実態」とは読みません。これは協会の会員施設、つまり比較的規模が大きく、もともとインバウンドに積極的な施設に偏った、協会会員だけの平均値だからです。観光庁の宿泊統計で全国を見れば、外国人は国内の延べ宿泊者数の1割前後にとどまり、その恩恵は立地・客層によって極端に偏在しています。

「インバウンドで業界全体が潤った」という語り口は、半分は幻想です。大切なのは、自館の立地と客層で、インバウンドが本当に利益に変わるのかを冷静に見極めること。協会の平均値ではなく、観光庁の地域データと自館の実績を突き合わせて判断してください。どんな施設を集計した数字かを意識せずに鵜呑みにすると、過剰投資の判断ミスにつながります。

自館の集客チャネル構成とインバウンドの効きを見極めたい方へ

初回相談は無料です(オンライン相談可)

▶ 集客チャネルの見直しを相談する

→ 売上の回復を見たところで、見落とされがちな足元のリスク、財務の重さに進みます。

進捗:第5章/全8章 ■■■■■□□□ 62%

ここまで読了:約13分 / 残り約5分

第6章

隠れた負債の時計 ― 借入金と債務償還年数

借入金の返済計画と金利上昇の影響を検討する場面
要点 損益計算書は回復しても、貸借対照表は癒えていません。借入は総資本の約7割を占め、むしろ増えています。金利が上がる局面では、黒字でも資金繰りで行き詰まる宿が出ます。

売上は戻った、借金は減っていない

黒字割合が約7割まで回復したことを、第2章で見ました。しかし、ここで貸借対照表に目を移すと、まったく違う景色が見えてきます。長短借入金は総資本の約67%を占め、直近ではむしろ前年から増えています。支払利息も総売上の1.9%へと上昇しました。

【図表H-9】長短借入金が総資本に占める割合(横軸0〜100%)

コロナ期
(令和3年度)
70.4%
直近
(令和7年度)
約67%

売上は回復しても借入比率は7割近いまま。直近は前年から増加に転じている。支払利息も上昇(総売上比1.9%)。出典:日本旅館協会「営業状況等統計調査」。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

協会の解説は、黒字割合の回復を前向きに語ります。それ自体は正しいのですが、損益計算書だけを見て「もう大丈夫」と考えるのは早計です。経営者がP/L(利益)ばかり見て、B/S(借金)の時計を見ていない——これが、私が回復局面でいちばん心配していることです。借入は減るどころか増え、利息は上がり始めています。売上が戻ったいまこそ、借入の圧縮と返済余力の確認に着手すべき局面だと考えています。

債務償還年数という「時限爆弾」

借入の重さは、債務償還年数(借入金を、減価償却費と利益を原資に何年で返せるか)で測ります。私がかつて協会の公表値から試算したところ、旅館業界の平均的な姿は、債務償還年数で20年近くに達していました。これは、借入に対して返済原資が薄く、金利の上昇に弱い体質であることを意味します。

設備の更新余力という観点でも、厳しさは同じです。協会の統計から計算すると、中規模旅館の償却前の税引後利益は年5千万円ほど。仮に借入をせず、毎年の利益をすべて貯めたとしても、建て替えに必要な自己資金(4億円規模)を貯めるには約8年かかる計算になります。黒字に見えても、再投資の原資はなかなか積み上がらないのが実態です。

注意点

金利が1〜2%上がると何が起きるか

借入が総資本の7割近い体質では、金利の小幅な上昇でも支払利息が利益を大きく削ります。黒字であっても、返済と利息で資金繰りが詰まる「黒字倒産」のリスクが高まります。

売上が戻ったいまのうちに、金利上昇を前提とした返済シミュレーションを行い、借入の圧縮余地を確かめておくことをお勧めします。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

財務の立て直しでは、理想的な債務償還年数から逆算して、実現性の乏しい返済計画を作らされ、かえって苦しむケースを数多く見てきました。大切なのは、数字に追われるのではなく、自館の業種特性に即した、無理のない計画を組むことです。私たちは特定の金融機関と利害関係を持たない独立した立場から、再生計画の策定や財務シミュレーション、相談先選定の事前診断をお手伝いします。返済計画そのものの交渉ではなく、依頼者にとって無理のない計画づくりを支える、という関わり方です。

→ 主要指標を一通り見てきました。次章では、これらを使って自館を診断する手順を整理します。

進捗:第6章/全8章 ■■■■■■□□ 75%

ここまで読了:約15分 / 残り約3分

第7章

自館を業界平均と照らす診断手順

要点 診断なくして、改善はありません。5つのステップで自館の位置を客観的に評価すれば、どこから手をつけるべきかが数値で明確になります。

【図表H-10】自館診断の5ステップ

STEP 1
業態を確定する
STEP 2
3年分の決算を整理
STEP 3
KPIを算出
STEP 4
ギャップと原因仮説
STEP 5
改善優先順位を決定

まず自館の業態を確定し(第1章のセルフチェック)、直近3年分の損益計算書を部門別・費目別に整理します。次に、業界水準と比べるKPIを算出します。最低限そろえたいのは、GOP率・客室稼働率(OCC)・平均単価(ADR)・RevPAR・食材原価率・人件費率・送客手数料率・借入金比率です。

ギャップを特定したら、いきなり対策に飛びつかず、原因の仮説を複数並べてデータで検証します。たとえば食材原価率が業態平均を5ポイント上回るなら、夕食偏重、仕入れの分散、ロスの多さ、客単価の低さ——複数の可能性を検証してから手を打ちます。最後に、改善の優先順位を、利益インパクト・実行可能性・回収期間の3軸で評価し、上位3〜5項目から着手します。

ホテル旅館コンサルタント 青木康弘

青木康弘(ホテル旅館コンサルタント)

業界平均は、あくまで出発点です。最終的な物差しは、過去5年の自社決算から作る「自社の基準値」だと考えてください。平均から外れていること自体は、問題ではありません。問題なのは、なぜその数字になっているのかを、経営者が自分の言葉で説明できないことです。意図して接客を厚くしているから人件費率が高いのか、それとも無駄があるのか——同じ数字でも意味はまったく違います。

自館の経営診断を一緒に行いたい方へ

初回相談は無料です(オンライン相談可)

▶ 経営診断を相談する

→ 最後に、業界統計そのものを読むときに守るべき原則を整理します。

進捗:第7章/全8章 ■■■■■■■□ 88%

ここまで読了:約17分 / 残り約1分

第8章

業界統計を読むときの原則

要点 統計は鵜呑みにせず、4つの原則で読みます。物差しを業態に合わせ、どんな施設を集計した数字かを意識し、P/LとB/Sを両方見て、数字の裏の説明可能性を問う。これが「正しい読み手」の条件です。

原則1 ― 業態と規模で物差しを合わせる

本記事で繰り返し見てきたとおり、人件費率も原価率もGOPも、業態と規模で水準がまったく違います。全体平均だけを見て自館を評価するのは、身長の平均値で個人の健康を判断するようなものです。必ず、同じ業態・同じ規模の目安と比べてください。

原則2 ― 統計の「対象施設の偏り」を意識する

どんな統計にも、回答した施設の顔ぶれという偏りがあります。第5章で見た外国人比率24.1%が典型です。これは協会会員、つまり比較的規模が大きくインバウンドに積極的な施設に偏った数値で、全国の実態とは異なります。「この数字は、誰の平均なのか」を常に問う姿勢が、数字に振り回されないための要です。協会統計と観光庁統計を併用し、地域データと突き合わせてください。

原則3 ― P/LとB/Sを両方見る

黒字割合の回復は、損益計算書の話です。しかし第6章で見たとおり、貸借対照表の借入は減らず、むしろ増えています。利益が戻ったことに安心して、借入・債務償還年数・再投資余力を見落とすと、金利上昇の局面で足をすくわれます。利益と財務、両輪で見る習慣をつけてください。

原則4 ― 数字の裏の「説明可能性」を問う

最後に、もっとも大切な原則です。業界平均から外れていること自体は問題ではありません。問題は、その理由を経営者が自分の言葉で説明できるかどうかです。説明できる数字は、戦略の表れです。説明できない数字は、放置されたリスクです。統計は、自館の数字に説明をつけるための「問いかけの道具」として使ってください。

注意点

統計を「鵜呑み」にしないための実践

公表された平均値は出発点であり、結論ではありません。対象施設・業態・年次を確認してから読む習慣を。

自社の数字と業界平均の差は、必ず「なぜか」をセットで言語化し、経営判断の根拠にしてください。

→ ここまで、業界統計で自館を診断する見方を整理してきました。続いて、よくある質問にお答えします。

進捗:第8章/全8章 ■■■■■■■■ 100%

完読おつかれさまでした。

よくある質問

本記事の内容に関連して、経営者の方々からよくいただく質問をまとめました。

Q黒字割合が約7割まで回復したと聞きました。もう業界は安心ではないですか?

Aそれは損益計算書の話です。貸借対照表を見ると、借入は総資本の約7割を占め、むしろ増えています。利益の回復と財務の健全性は別物です。黒字でも、金利上昇局面では資金繰りが厳しくなる宿があります。利益と財務を両輪で見てください。

Q協会調査の外国人比率24.1%は、自館にも当てはまりますか?

Aそのまま当てはめないでください。これは協会会員、つまり比較的規模が大きくインバウンドに積極的な施設に偏った平均値です。全国では外国人は延べ宿泊の1割前後で、恩恵は立地・客層に偏在しています。観光庁の地域データと自館の実績で判断してください。

Q人件費率を業界平均の29.7%まで下げるべきですか?

A業態の物差しで見てください。温泉旅館なら30〜40%が標準で、ビジネスホテルなら20%台が当然です。下げること自体を目的にすると、サービスや口コミが崩れ逆効果になります。まずは人員組織図で必要人数を可視化し、説明できる状態にすることから始めましょう。

QOTA経由が予約の半分です。問題でしょうか?

AOTAは強力な集客装置ですが、手数料10〜15%が利益を直接圧迫します。問題は比率の高さそのものより、自社予約を「作る」努力をしているかどうかです。自社サイト・公式LINE・リピーター施策で、手数料のかからない予約を少しずつ育てることをお勧めします。

Q稼働率は高いのに、利益が薄いのはなぜですか?

A稼働率は「埋めた量」であって「稼いだ額」ではありません。単価が地域平均に埋もれていれば、稼働が高くても利益は残りません。稼働率ではなくRevPAR(稼働率×単価)で見て、単価を上げる余地がないかを確かめてください。

Q自館の数値が業界平均から外れていたら、問題ですか?

A外れていること自体は問題ではありません。問題なのは、なぜそうなっているかを説明できないことです。差別化のために意図して人件費率を高くしているのであれば、それは戦略です。理由を言語化でき、事業戦略と整合していれば問題ありません。

Q統計の数字を、そのまま経営目標にしてよいですか?

A出発点にはなりますが、そのままでは目標になりません。過去5年の自社決算と業界平均から「自社の基準値」を作り、そこへ売上を数%上乗せ、経費を数%下げた値を目標にするのが現実的です。平均は他社の話、目標は自館の話だと切り分けてください。

Qコンサルタントに業界比較診断を頼むメリットは何ですか?

A最新データへのアクセスと、複数施設を見てきた比較経験に基づく診断精度です。同じ数値でも、立地・季節・競合により解釈は変わります。特定の業者と利害関係を持たない第三者の視点で見ることで、自社内では気づきにくい構造的な課題を発見できます。

用語集 ― 経営指標に関する主な略称・専門用語

本記事に登場した略称・専門用語を、業界外の方にも分かるようにまとめました。

用語・略称意味
黒字割合経常利益ベースで黒字の施設が全体に占める割合。直近は約7割まで回復
人件費率人件費÷総売上。外注委託費を含むか否かで水準が変わる。40%超は黒字確保が難しい目安
OCC(客室稼働率)販売室数÷販売可能室数。埋めた量を表すが、単独では利益を示さない
ADR・RevPARADR=客室平均単価、RevPAR=販売可能客室1室あたり売上(OCC×ADR)。売上の実力を測る
食材原価率食材費÷総売上(料理のみ)。飲料・売店仕入を含む統計の「売上総原価率」とは別物。朝食中心のビジネスは低く、夕食偏重の温泉旅館は高い
GOP償却前営業利益。運営効率を測る指標。業態で水準が大きく異なり、海外水準は当てはめない
OTA・送客手数料OTA=ネット予約サイト。経由予約に10〜15%程度の手数料がかかり利益を圧迫する
外国人宿泊人員比率外国人宿泊人員÷延べ宿泊人員。どの施設を集計したかで大きく異なるため読み方に注意
長短借入金比率長期・短期借入金の合計が総資本に占める割合。財務の重さを示す
債務償還年数借入金を、減価償却費と利益を原資に何年で返せるか。短いほど健全

さいごに ― 「正しい物差し」で自館を測る

財務資料を前に第三者の専門家と対話する場面

いかがだったでしょうか。本記事では、日本旅館協会の統計をたどりながら、主要な経営指標の業界水準と、その読み方を整理してきました。最後に、私がふだん経営者の方にお伝えしている考え方を、一つだけ加えさせてください。統計の数字は、答えではなく、問いの出発点だということです。

黒字割合が約7割に戻ったというニュースを見て安心するのではなく、「では自館の借入と返済余力はどうか」と問う。外国人比率24.1%という数字を見て期待を膨らませるのではなく、「これは誰の平均で、自館の立地ではどうか」と問う。協会の解説をそのまま受け取るのではなく、対象施設の偏りや業態差を踏まえて読み替える。この一手間が、数字に振り回される経営と、数字を使いこなす経営を分けます。

そして、業界平均はあくまで他社の話です。最終的な物差しは、自館の過去と、自館が目指す姿から作る「自社の基準値」です。平均から外れていても構いません。その数字に、自分の言葉で説明がつくかどうか。そこが、利益改善の本当の出発点になります。

相談の前に ― まず自分の手で確かめる3ステップ

ステップ1:自館の業態を確定する(所要時間:30分)

第1章を参考に、自館が5業態のどれに最も近いかを見極めます。これが比較すべき物差しの対象になります。

ステップ2:決算書からKPIを算出する(所要時間:2〜3時間)

直近3年分の損益計算書から、GOP率・人件費率・食材原価率・RevPAR・借入金比率などを算出します。年次だけでなく月次まで分けると、繁閑差や異常値が見えてきます。

ステップ3:同業態の目安と比べ、優先順位をつける(所要時間:半日)

本記事の業態別の目安と自館の数値を突き合わせ、ギャップの大きい費目から改善の優先順位をつけます。そのとき、なぜその差が出ているのかを必ず言葉にしてください。

この三つを自分の手で進めてみると、相談の中身が一段と具体的になります。差の解釈に迷ったところから、ご相談いただいて構いません。

アルファコンサルティングは、業界水準との比較による経営診断、部門別損益管理の設計、利益改善計画の策定、そして金利上昇を見据えた財務シミュレーションをお引き受けしています。メンバーは全員が宿泊施設の役員を経験しており、相談から実行まで担当が変わらないチーム制で進めます。これまでお引き受けした案件は通算四百六十件を超え、他社で断られた案件にも向き合ってきました。

私たちの立ち位置は、特定の金融機関・運営会社・建設会社と利害関係を持たない、独立した立場です。だからこそ、どの数字をどう読むかを、どの業者に都合がよいかではなく、依頼者にとって何が得かという基準で組み立てられます。青木は観光経済新聞で2009年からコラムを連載し、業界の構造変化と現場の実態の両方を見てきました。本記事で繰り返したとおり、統計を鵜呑みにせず、依頼者の立場で読み替えること——それが私たちの仕事の核心です。

ご相談の多い依頼

  • 業界水準との比較による経営診断 ― GOP・人件費率・原価率・借入の客観評価
  • 自社の基準値づくり ― 過去5年の決算と業界平均からの目標設定支援
  • 集客チャネルの見直し ― OTA依存からの直販比率向上の設計
  • インバウンドの効きの見極め ― 立地・客層に即した冷静な投資判断
  • 金利上昇を見据えた財務シミュレーション ― 返済余力と借入圧縮の検討
  • 利益改善計画の策定 ― 5ステップ診断と改善優先順位の決定

ご相談から着手までの流れ

まずは現状の課題と、目指す宿の姿をうかがうところから始めます。業態・規模・財務状況・現在の経営状況を踏まえて、どの数字から手をつけるべきかの見立てをお返しします。ご相談は無料です(遠方の場合のみ、交通費を実費でいただきます)。関わり方は、診断を中心に数か月で仕上げる形から、一年単位で経営判断のたびに相談を重ねる形まで、宿の状況に合わせて設計します。

「自館の利益率が業界水準でどの位置にあるか知りたい」「黒字は出ているが財務が不安だ」「OTA依存から抜け出したい」——こうしたご相談をお受けしています。ご相談は無料です。

ご相談は無料/相談から実行まで同じ担当者が対応/全国対応

CONSULTATION

描いた構想を、
ともに、かたちに。

こうしたい、こう変えたい——経営者が描いた構想を、ともにかたちにしていくのが弊社の役割です。数多くの経営に寄り添ってきた立場から、依頼者の望むかたちを、いちばんに考えます。

初回無料相談を申し込む

初回相談無料 ・ 秘密厳守 ・ 全国対応