スタッフがすぐ辞めないホテル旅館を作る方法
従業員満足度アンケートを実施する
旅行エージェントの顧客満足度調査(口コミ評価)と同様に、従業員満足度アンケートは自館の労務管理の強み・弱みを正確に把握し、対策を講じるのに有効な手段です。
従業員満足度アンケートの項目は、
「会社満足度、仕事満足度、職場満足度、待遇満足度」
がそれぞれ測定できるよう網羅的に設計すると良いでしょう。質問項目は30〜40項目程度が目安となります。
選択肢は5段階(大いにそう思う、ある程度そう思う、分からない、あまりそう思わない、全くそう思わない)とすると項目ごとの評価が見えやすいと言えます。また、自由回答欄を大きく設けて率直な意見や要望を書いてもらうと人材採用・定着化対策のヒントになります。
- 会社満足度:経営理念・方針に対する共感、将来性、風通しの良さ
- 仕事満足度:自部門の目標や方向性に対する理解、仕事への適性、成長実感、仕事への好感、役割責任、仕事量の適切さ
- 職場満足度:上司の指導・育成、上司の現場把握、コミュニケーション、目標達成意欲、ノウハウや知識の共有、部門方針の明確さ、チームワーク、意見を取り上げる仕組み、ハラスメントへの対応
- 待遇満足度:給与水準、労働時間、福利厚生、教育研修制度、住環境
有給休暇を取得しやすくする
ホテル旅館で働く人の従業員満足度を下げる要因として最も多いのが、休みの取りにくさでしょう。他のスタッフやお客様に迷惑をかけまいと、能力や責任感のあるスタッフほど休みがなかなか取れないことが多いです。
人手不足のために公休の買上げ対応している旅館・ホテルにとっては、有給を取得させるどころではないのが実情です。毎日のシフトのやり繰りだけで精一杯でしょう。一方で、待遇改善を行って人材採用・定着化を進めていかないと、人手不足で営業継続が困難となります。
スタッフに対する待遇改善の中で、経営陣がイメージしている以上に従業員満足度の向上につながるのが有給休暇の取得促進です。特に拘束時間の長い旅館・ホテル業のスタッフには歓迎されるでしょう。もし、皆さんのホテル旅館で離職率の高さを課題としているならば、従業員向けアンケート(従業員満足度調査)を取ると良いでしょう。休暇を求める声が多いはずです。
有給取得を促進して人件費が高騰しないかと心配な場合には、
- スタッフの月給・時給を採用相場(世間相場)まで上昇させる
- スタッフを増員して労働時間を減らし休暇をとらせる
- 休館日を設けてスタッフに一斉休暇とらせる
など複数の前提に基づき売上げ、利益の見通しを計算してみると良いでしょう。閑散期などを活用すれば、休暇を取らせるという選択肢が最も費用対効果が高いことが分かるでしょう。
有給休暇を取りやすくする手段として他業界で取られている施策は、次の通りです。「ホテル旅館業界じゃ難しいなぁ」と思わずにチャレンジして見てください。
- 管理職が率先して有給休暇を取得して、職場全体として取りやすい雰囲気を作る
- 公休とは別に有給休暇の取得目標を部署ごとに掲げ、達成度を公表する
- 期初または年初に有給カレンダーを作成し、スタッフが年間を通じて有給休暇の取得希望日をカレンダーに記入することで、お互いの時期調整をしやすくする
- 休日を利用して他館を視察したスタッフに対して補助金を出す
休暇を取らせることでスタッフの仕事の聖域化、囲い込みもなくなり、無駄な仕事の発見、見直しにもつながるでしょう。