目次
  1. 「何に使えますか」から入ると、なぜ採択が遠のくのか
  2. 採択される計画書は、事業の姿が先にある
  3. 人に任せきった計画書は、採択されても回りません
  4. 逆算で考えると、申請書も採択後もラクになります
  5. とはいえ、すべてを一人で抱える必要はありません

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。

補助金のご相談で、はじめに「この補助金、うちは何に使えますか」とお尋ねいただくことがよくあります。お気持ちはよくわかります。ただ、十七年ほど申請のお手伝いをしてきて、はっきり言えることがあります。補助金から考えはじめた計画書ほど、採択は遠のきます。

採択される計画書は、たいてい逆です。補助金の話ではなく、その施設がやりたい事業の話から始まっています。今回は、この「逆算」という考え方をお話しします。これは、これまでお伝えしてきた費目の組み方や、採択された後の進め方とも、根っこでつながっている話です。

この記事を読むとわかること
  • 1「何に使えますか」から入ると、なぜ採択が遠のくのか
  • 2採択される計画書は、事業の姿が先にある
  • 3人に任せきった計画書は、採択されても回りません
  • 4逆算で考えると、申請書も採択後もラクになります
  • 5とはいえ、すべてを一人で抱える必要はありません

「何に使えますか」から入ると、なぜ採択が遠のくのか

この章の要点
  • 補助金の枠に事業を後から合わせると、借り物のような当たり障りのない計画になる
  • 本気度の薄い後付けの計画は、審査で見抜かれやすい
補助金と事業計画の検討
補助金から考え始めるほど、計画書は借り物めいた中身になりやすい。

補助金には、それぞれ目的があります。販路を広げてほしい、生産性を上げてほしい、新しい分野に挑んでほしい。審査する人は、その目的に沿った事業かどうかを見ています。

ところが「何に使えるか」から入ると、どうしても補助金の枠に自社の事業を後から合わせることになります。すると計画書は、どこかで借りてきたような、当たり障りのないものになりがちです。同じ補助金には、似たような計画書が全国から集まります。そのなかで、後付けで取りつくろった計画は、やはり見劣りします。審査する人は毎年たくさんの計画書を読んでいますから、事業への本気度が薄いものは、わりと簡単に見抜かれます。

採択される計画書は、事業の姿が先にある

この章の要点
  • 先にやりたい事業があり、補助金は後から実現の手段として出てくる
  • 事業の芯が通ると、市場の説明も設備の選び方もそこにつながる
チームでの企画検討
通る計画書は、やりたい事業の姿が先に定まっている。

では、通る計画書は何が違うのか。順番が逆になっています。

先に、やりたい事業がある。この施設を将来どうしたいのか、どんなお客様に、何を届けたいのか。その姿がはっきりしている。補助金は、その実現を早めたり後押ししたりする手段として、後から出てきます。

順番がこうなっていると、計画書に芯が通ります。なぜこの事業に取り組むのかという理由を、その施設ならではの言葉で書けます。市場の説明も、設備の選び方も、すべてその芯につながってきます。読む側にも、これは本気だと伝わります。先にお伝えした、型番より目的をはっきり書くという話も、もとをたどればここに行き着きます。

図1:補助金から始めない ― 逆算の順番
1
事業の姿を描く
自館がどうなりたいかを先に決める
2
必要な取り組みを洗い出す
そのために何が要るかを並べる
3
費目に落とす
取り組みを経費の費目に整理する
4
合う補助金を選ぶ
最後に、合致する制度を当てる

人に任せきった計画書は、採択されても回りません

この章の要点
  • 丸投げした計画書は、採択されても現場が自分事にできず回らない
  • 採択後は数年の報告が続くため、事業の芯は経営者自身が握る必要がある

ここで一つ、申請のお手伝いをしてきて強く感じることをお伝えします。事業計画を専門家に丸ごと任せきってしまった計画書は、たとえ採択されても、後で事業が回らないことが多いものです。

他人が代わりに書いた計画書には、どうしても魂が入りません。きれいに整ってはいても、いざ実行する段になると、現場が「これは自分たちの計画ではない」と感じてしまう。書いた本人がそばにいないと中身を説明できない計画書では、採択された後の数年を走りきれないのです。

補助金は、採択されてからのほうが長い道のりです。実績の報告があり、その後も数年にわたって事業の状況を報告し、約束した数値に届いているかを問われます。事業の芯を経営者ご自身が握っていないと、この長い道のりは持ちません。採択されたものの報告の段で苦しむ施設は、たいていここでつまずいています。

逆算で考えると、申請書も採択後もラクになります

この章の要点
  • 事業→必要な取り組み→費目の順で進めると、書くべきことが自然に決まる
  • 実態に根ざした無理のない目標になり、採択後の報告で苦しまずに済む

やりたい事業から逆算すると、申請の作業そのものもラクになります。まず事業の中身を決め、それを実現するために何が要るかを並べ、最後にそれを補助金の費目に振り分ける。この順で進めると、書くべきことが自然と決まっていきます。費目から先に埋めようとして手が止まる、ということがなくなります。

そして、この順番で組んだ計画は、採択された後に動かしたくなる箇所が少なくて済みます。目標も、自社の実態に根ざした無理のない数字になります。採択されたいばかりに高すぎる目標を掲げると、後の報告で自分を苦しめることになります。事業から積み上げた計画には、そうした無理がありません。申請のときの一手間が、採択された後の数年をずいぶんラクにしてくれます。

とはいえ、すべてを一人で抱える必要はありません

この章の要点
  • 構想を審査に通る形へ整え、実行・報告まで走るのは別の大変さ。外の力を借りてよい
  • 事業の芯は経営者が握り、推進役として一緒に整えるのが要点

もっとも、事業の構想を経営者がお持ちでも、それを補助金の審査に通る形に整え、短い実施期間のなかで実行し、報告まで走りきるのは、また別の大変さがあります。ここは、外の力を借りてよいところです。

大事なのは、事業の芯はあくまで経営者ご自身が握っていることです。その芯を、採択される計画書の形に一緒に整え、実行まで推進役としてお手伝いする。この関わり方であれば、計画書に魂を残したまま、採択の確率も、その後の実行のしやすさも上げられます。代わりに書いて差し上げて終わり、という関わり方とは、ここが大きく違います。

さいごに

いかがだったでしょうか。補助金から考えるのではなく、やりたい事業から考える。順番をひっくり返すだけで、採択される計画書に近づき、採択された後の苦労も減ります。補助金は目的ではなく、やりたいことを実現するための手段です。この一点を押さえておくだけで、計画書はずいぶん変わります。

弊社アルファコンサルティングでは、特定の金融機関や業者と利害関係を持たない立場から、補助金の計画づくりをご一緒しています。経営者の方が描く事業の構想をうかがい、それを採択される計画書の形に一緒に整え、採択された後の実行や報告まで、推進役としてお手伝いします。代わりに書いて終わり、ではありません。事業の芯を大切にしながらともに進めるのが、弊社の持ち味です。

補助金の活用や事業計画について、初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

補助金シリーズ 記事一覧(全17回)
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