補助金と投資判断|「2分の1」の誘惑と知られざる自己負担

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。
「2分の1の補助が出ます」。そう聞くと、心が動きます。ですが、この「2分の1」には、あまり知られていない続きがあります。
補助金は、投資の主役ではありません。今回は、補助金の知られざる一面と、それを踏まえた投資の判断についてお話しします。
- 「補助金が出るなら、やろう」が危ない
- 「2分の1」の、知られざる続き
- そもそも、補助金は効果を約束しない
- 補助金に合わせると、投資がふくらむ
- 投資の是非は、補助金と切り離して決める
- では、どう考えるか
「補助金が出るなら、やろう」が危ない

補助金のご相談で、いちばん多いつまずきが、順番の取り違えです。「この補助金が使えるから、この投資をしよう」。一見、賢いようでいて、これは順番が逆です。本来は、自館に必要な投資が先にあって、それに使える補助金がある、という順番です。補助金を入り口にすると、補助金のために投資する、という本末の転倒が起こりかねません。
「2分の1」の、知られざる続き

補助金の魅力は、費用の半分を国が負担してくれることです。2分の1なら、半額で投資ができる。ですが、その先に、案外知られていないことが、いくつもあります。
まず、当たり前のようでいて大事なのが、残りの半分は自分で負担するということです。その投資が本当に必要なものでなければ、半額とはいえ、不要なものに自分のお金を出すことになります。補助金は、投資を「お得」にはしますが、「正しく」はしてくれません。
さらに、見落としがちなのが、消費税です。補助金の計算は、原則として、消費税を除いた金額(税抜)に対して行われます。消費税の分は、補助の対象に入りません。たとえば、補助の対象となる経費が1,000万円なら、実際に支払うのは、消費税を含めて1,100万円です。このうち後で戻ってくるのは、税抜1,000万円の半分、500万円だけ。つまり、消費税の100万円は、まるごと自己負担になります。準備すべきは1,100万円、戻りは500万円、と覚えておくとよいでしょう。
そもそも、補助金は効果を約束しない
もう一つ、冷静に見ておきたいことがあります。補助金が出たからといって、その投資が成果を生むとは限らない、ということです。
設備を入れても、すぐに利益に結びつくとは限りません。効果が出るまでに時間がかかることも、思ったほど使われないこともあります。補助金の効果をめぐっては、国の内部からも、本当に生産性の向上につながっているのか、という疑問の声が上がったことがあるほどです。補助金は、投資の費用を軽くしてくれますが、その投資が当たるかどうかは、まったく別の話です。
補助金に合わせると、投資がふくらむ
こうした負担や不確かさがあるのに、補助金には、投資をふくらませる力があります。対象になる経費や、上限の額が決まっているため、せっかくだから上限まで、これも対象になるなら、と、つい規模が大きくなりがちです。
本当は小さく始めれば十分なのに、補助金に合わせて、身の丈を超えた投資をしてしまう。あるいは、本当に必要なものではなく、補助の対象になるものを選んでしまう。ふくらんだ投資は、立替の負担も、もらった後の税金も宿題も、すべて大きくします。
投資の是非は、補助金と切り離して決める
では、どう考えればよいか。大事なのは、投資をするかどうかを、補助金とは切り離して、先に決めることです。
その投資で、売上や利益がどれだけ増えるか。かけたお金を、何年で回収できるか。たとえば温泉旅館の利益の水準は、施設にもよりますが、おおむね売上の2割から3割ほど。そこから投資を回収するには、相応の年数がかかります。仮に補助金がまったくなかったとしても、その投資をする価値があるか。まず、これを冷静に見極めます。補助金を抜きにして「やる」と判断できる投資だけが、本当にやるべき投資です。
では、どう考えるか
順番を、整理しましょう。まず、自館に必要な投資を、補助金抜きで見極める。その投資が、税金や宿題の負担を差し引いても、なお見合うかを確かめる。やると決めたら、次に、それに使える補助金があるかを探す。あれば使い、なければ自己資金や融資で進める。この順番なら、補助金に振り回されることはありません。
私どもは、特定の業者と利害関係を持たない立場で、補助金ありきではない投資の判断、その投資対効果の見極めから、税務や資金繰りまで見据えた進め方、使える制度の選定までをお手伝いします。補助金から入るのではなく、経営から入る。それが、結局はいちばん損のない進め方です。
さいごに
いかがだったでしょうか。「2分の1」という言葉の裏には、自己負担、税金、宿題、そして効果の不確かさがあります。補助金は、投資を後押ししてくれる、ありがたい制度です。ですが、主役ではありません。補助金が出るかどうかではなく、その投資が自館に必要かどうか。そこを先に決めることが、何より大切です。
弊社アルファコンサルティングでは、補助金の活用はもちろん、その前提となる投資の判断や、事業計画づくりからお手伝いしています。補助金を入り口にせず、経営の視点から、いちばん損のない進め方を一緒に考えます。
投資や補助金のご相談は、初回無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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