補助金の実地検査とは|採択後に来る検査と処分制限

検査・監査の様子
目次
  1. 検査は、一度ではない
  2. 本当に怖いのは、「やっていない」が一目でわかること
  3. 「自分のところには来ない」という油断
  4. 数十年、勝手に処分できない
  5. 見つかれば、返すだけでは済まない
  6. だから、正直に。そして信頼できる相手を

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。

補助金は、採択されてお金が振り込まれたら終わり。そう思っていると、思わぬところでつまずきます。補助金には「検査」があります。そして、本当に怖いのは、書類の細かい不備ではありません。やってもいない工事を、やったことにしてしまうことです。

これは、思っている以上に簡単に見抜かれます。今回は、どんな検査があり、なぜ不正がこれほど発覚しやすいのか、そして補助金で買ったものに何年もの縛りがかかることまで、率直にお話しします。

▶ この記事でわかること
  • 検査は、一度ではない
  • 本当に怖いのは、「やっていない」が一目でわかること
  • 「自分のところには来ない」という油断
  • 数十年、勝手に処分できない
  • 見つかれば、返すだけでは済まない
  • だから、正直に。そして信頼できる相手を

検査は、一度ではない

書類を確認する様子

補助金の道のりは、採択で終わりではありません。検査は、いくつかの段階で行われます。

事業の実施中には、中間監査があります。事務局の担当者が現地を訪ね、計画どおりに進んでいるかを確認します。事業が終わって実績報告書を出したあとには、確定検査があります。これを通って、ようやく補助金の額が確定します。そして、補助金を受け取ったあとも、国の会計検査院による検査が、ときに数年が経ってから入ることがあります。一度きりではない、と知っておいてください。

[図解]実地検査の流れ
①完了報告
費用と実施内容を報告
②書類の突合
報告書・台帳・帳簿を照合
③現地確認
現物と設置状況を確認
④処分制限
数十年、勝手に処分できない

本当に怖いのは、「やっていない」が一目でわかること

会計の計算

補助金でいちばんやってはいけないのは、実際にはやっていない工事や買っていない設備を、やった・買ったことにして報告することです。一部だけ、というのも同じです。そして、これは驚くほど簡単に見抜かれます。

理由は、つき合わせれば、すぐにわかるからです。工事の完了を報告する書類。工事の台帳。そして、決算書に添える固定資産台帳。この三つを並べて見比べ、現地を確認すれば、報告どおりに工事が行われたのか、補助金をもらいながら実際には手をつけていないのではないか、ほとんど一目でわかってしまいます。検査に慣れた人なら、なおさらです。

実際に不正とされた例 ある補助金では、業務用の冷蔵庫を買う計画で申請しながら、実際には購入も納品もされていなかった、広告宣伝を行う計画なのに、チラシ一枚作っていなかった、という例が、不正として公表されています。「事業を実施した事実がないのに請求する」ことは、明確な不正にあたり、交付の取消しと返還の対象になります。

ご相談を受けてきた中での私の所感ですが、ここは絶対に手を出してはいけないところです。一部でも実態と違う報告をすれば、それは不正です。発覚しやすいうえに、見つかったときの代償が、あまりにも大きいからです。

「自分のところには来ない」という油断

検査は、すべての事業者に来るわけではありません。件数はそれほど多くありません。だから、「自分のところには来ないだろう」と考えている方も、少なくないと思います。ですが、この考え方には、大きな落とし穴があります。

検査は、いもづる式に広がるからです。ある事業者で不正や不備が見つかると、そこに関わった人や会社をたどって、調査が横に広がります。同じ地域の事業者。同じ工事会社。同じ設計事務所。そして、同じコンサルティング会社。こうした関係先の申請が、まとめて調べられることがあります。

実際にあった話 あるリスキリング系の助成金では、特定の業者が関与した案件をたどった結果、178社・およそ19億円もが、返還の対象になったと報じられています。また、申請を支援していた専門家が不正に関わって処分を受け、その事務所が手がけたすべての案件が調査対象になった、という例もあります。書類のつくりがどれも似通っている、という理由で目をつけられることさえあります。

つまり、自分が真っ当にやっていても、頼んだ業者やコンサルが別の案件で不正に関わっていれば、その流れで自分のところにも調査が及ぶことがあります。確率が低いから心配ない、というのは、大きなリスクを抱えることと同じです。ちょっとしたきっかけで、近くの、あるいは遠くの誰かの問題から、自分のところに調査が来る。そう考えて、油断しないことです。

数十年、勝手に処分できない

もう一つ、見落とされがちな、しかし重い縛りがあります。補助金で買ったものは、長いあいだ、自由に手放せません。

数年ではなく、数十年 補助金で取得した、単価50万円以上の機械や器具、そして建物などは、決められた期間のあいだ、勝手に売る・譲る・捨てる・転用する、といったことができません。この期間は、便宜的に5年や10年とされることもありますが、基本は、その財産の法定耐用年数です。建物のように耐用年数の長いものでは、数十年に及ぶこともあります。

この期間内に、古くなった、使わなくなった、建て替えたいといった理由で処分するときは、事前に事務局へ申請して承認を得る必要があり、補助金の一部を返すよう求められることもあります。補助金で建てたもの、買ったものは、自分のものでありながら、長ければ数十年、自由には処分できない。このことを、取得する前に頭に入れておいてください。

[図解]取得財産の処分制限
対象
単価50万円以上の取得財産
期間
法定耐用年数が基本(数年〜数十年)
制限
売却・廃棄・転用には事前の承認が必要
違反すると
補助金の返還を求められることがある

見つかれば、返すだけでは済まない

では、不正や違反が見つかると、どうなるか。受け取った補助金を返すだけでは、済みません。

まず、補助金は全額の返還を求められます。そこに、年に10%を超える高い利率の加算金が上乗せされることがあります。さらに、事業者の名前が、原則として5年間、公表されます。この情報はインターネットに長く残り、取引先や金融機関の信用を損ね、その後の事業に重くのしかかります。悪質と判断されれば、詐欺の罪や、補助金の法律の違反として、刑事告発されることもあります。一度の不正が、事業そのものを揺るがしかねません。

だから、正直に。そして信頼できる相手を

ここまで、厳しい話を続けてきました。ですが、伝えたいことは単純です。実態どおりに、正直に申請し、実施する。これに尽きます。

補助金がつくからと、計画を大きく見せたり、やっていないことをやったことにしたり。そうした誘惑にかられる場面があるかもしれません。ですが、それは必ずリスクとして返ってきます。「実質無料」「キャッシュバック」といった甘い言葉で不正を勧めてくる業者も、世の中にはいます。そうした相手に乗ってしまうと、いもづる式の調査に巻き込まれます。誰に頼むか、ということも、身を守るうえでとても大事です。

私どもは、特定の業者と利害関係を持たない立場で、実態に沿った計画づくりと、採択後の実施から検査の備えまで、推進役としてお手伝いします。正直に進めることが、結局はいちばん確実に、補助金を手元に残す道です。

さいごに

いかがだったでしょうか。補助金は、採択されて終わりではなく、中間監査、確定検査、そして会計検査院の検査まで、長く付き合っていくものです。やっていないことは、書類のつき合わせと現地で、すぐに見抜かれます。検査は全件には来ませんが、いもづる式に広がります。そして、買ったものには数十年の縛りがかかることもあります。だからこそ、実態どおりに、正直に。それが、いちばん確実な備えです。

弊社アルファコンサルティングでは、補助金の申請から、採択後の実施、検査の備えまで、推進役としてお手伝いしています。正しく、無理のない計画で進めることで、安心して事業に集中していただけます。

補助金の活用について、初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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