こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。
業績が苦しい。資金繰りが厳しい。こんなとき、「補助金で何とか立て直せないか」と考える方は、少なくありません。ですが、はっきり申し上げます。補助金で、会社は立て直せません。
補助金は、事業再生の主役ではありません。今回は、事業再生と補助金の、本当の関係についてお話しします。長年、再生のご相談を受けてきた経験から、率直にお伝えします。
- 1補助金は、再生の「主役」ではない
- 2補助金は、赤字の穴埋めには使えない
- 3苦しいときこそ、後払いと立替が重い
- 4それでも、再生に補助金が活きる場面
- 5順番を、間違えない
補助金は、再生の「主役」ではない
- 再生の本丸は、収益力を取り戻すことと、金融機関との関係を立て直すこと
- 補助金が、この本丸を肩代わりすることはない

事業再生の本丸は、二つです。一つは、収益力を取り戻すこと。もう一つは、金融機関との関係を立て直すことです。
再生の成否を分けるのは、突き詰めれば、減価償却を引く前の営業利益、つまり、本業で生み出せるお金がどれだけあるか、です。これが十分にあれば、金融機関も、返済の条件をゆるめたり、場合によっては借入金の一部を減らしたりといった支援を、前向きに検討してくれます。逆に、ここが細ければ、どんな計画も説得力を持ちません。借入金の大きさそのものより、稼ぐ力があるかどうかが、見られます。そして、補助金が、この本丸を肩代わりすることは、ありません。
補助金は、赤字の穴埋めには使えない
- 補助金は、赤字の補填・借入金の返済・運転資金には出ない
- 出るのは、設備や新事業など前を向いた取り組みに対してのみ

ここを誤解している方が、とても多いところです。補助金は、赤字を埋めるためのお金でも、借入金を返すためのお金でも、日々の運転資金でもありません。補助金が出るのは、新しい設備への投資や、新しい事業など、前を向いた取り組みに対してです。「苦しいから補助金で穴を埋める」ということは、できません。
むしろ、補助金は、前向きな投資を後押しするものですから、足元の資金繰りが苦しい局面とは、相性が良くないことも多いものです。
苦しいときこそ、後払いと立替が重い
- 補助金は後払いで、入金まで全額を自分で立て替える
- 再生が必要な苦しい局面ほど、その立替が重くのしかかる
補助金は、後払いです。事業が終わり、検査を経て、ようやく支払われます。それまでは、かかった費用を、全額、自分で立て替えます。
資金繰りに余裕のあるときなら、立て替えられます。ですが、再生が必要なほど苦しい局面では、その立替が、大きな負担になります。補助金をあてにして投資を進めたものの、入金までの資金が続かない。これでは、かえって資金繰りを悪化させます。苦しいときこそ、補助金の後払いという性質が、重くのしかかります。
それでも、再生に補助金が活きる場面
- 再生計画に位置づけた設備投資に、補助金を活かせる
- 再生にかかる調査・計画づくりの専門家費用そのものにも、補助が出ることがある
では、再生のときに、補助金はまったく無縁かというと、そうではありません。活きる場面が、二つあります。
一つは、再生計画の中に位置づけた、設備投資です。業績の苦しい施設は、たいてい、必要な設備投資が後回しになっています。そして、設備の古さが、さらなる客離れを招く。客が減るから、ますます投資ができない。この悪循環に陥っている施設が、少なくありません。とくに、水回りのように、お客様の満足に直結する部分に、問題を抱えたままの施設が、多く見られます。
この悪循環を断つには、設備投資が欠かせません。そこに、補助金を活かせる余地があります。ただし、再生の局面では、順番があります。資金が不足し、金融機関への返済が滞っていることも多い以上、自分の判断だけで設備投資に踏み切るわけにはいきません。まず、経営改善計画などを策定し、その中に、なぜその設備投資が必要なのかを、はっきりと位置づけます。そのうえで、金融機関や、中小企業活性化協議会といった支援機関の理解と承諾を得て、進めていきます。補助金の活用も、この計画と承諾の枠組みの中で、はじめて実現します。
もう一つ、意外と知られていないことがあります。事業再生には、財務や事業の調査、計画づくりに、専門家の費用がかかります。数百万円になることもあります。実は、この再生にかかる費用そのものに対して、公的な補助が出ることがあります。地域や条件によっては、費用の全額から3分の2ほどが補助されることもあります。公的な機関を活用すれば、信頼できる専門家を紹介してもらえることもあります。苦しいからこそ、こうした制度を、上手に使うことです。
順番を、間違えない
- 収益力と金融機関との関係という本丸に取り組んだうえで、補助金を活かす
- 補助金を入り口にすると、本丸を見失う
大切なのは、順番です。まず、収益力をどう取り戻すか、金融機関とどう関係を立て直すか。この本丸に、正面から取り組む。そのうえで、計画に沿った前向きな投資や、再生の費用に、使える補助金を活かす。この順番なら、補助金が、再生をしっかりと後押ししてくれます。
逆に、補助金を入り口にして、補助金が出るからこの投資を、と考えると、本丸を見失います。補助金で、会社は立て直せません。立て直すのは、収益力と、金融機関との信頼です。
長年ご相談を受けてきた経験から申し上げると、再生の計画は、専門家に任せきりにせず、経営者ご自身が納得して関わることが、何より大切です。社外に約束する計画ですから、達成できなければ、責任を問われるのは経営者です。
私どもは、特定の業者と利害関係を持たない立場で、再生計画づくりの支援、財務の見通しの作成、金融機関が求める計画の水準への理解、そして信頼できる専門家のご紹介まで、お手伝いします。
おわりに
いかがだったでしょうか。補助金は、事業再生の主役ではありません。赤字の穴埋めにも、借入金の返済にも使えません。再生の本丸は、収益力を取り戻すことと、金融機関との関係を立て直すこと。補助金は、その計画に沿った前向きな投資や、再生の費用を、後押しするものです。順番を間違えなければ、補助金は、再生の力強い味方になります。
弊社アルファコンサルティングでは、事業再生の計画づくりから、財務の見通し、補助金の活用、専門家のご紹介まで、中立の立場でお手伝いしています。苦しい状況こそ、早めにご相談ください。打てる手は、早いほど多くあります。
事業再生や補助金のご相談は、初回無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
- 省力化投資補助金|人手不足に使える補助金
- デジタル化・AI導入補助金|OTA依存・予約管理に
- 小規模事業者持続化補助金|小さく試すための補助金
- 新事業進出補助金|新事業と採択率の実際
- 観光庁・環境省の補助金|高付加価値化とインバウンド対応に
- 自治体の補助金の探し方|採択数を確かめてから申請する
- 補助金の費目設計|流用できない経費の組み立て方
- 補助金の共同申請(コンソーシアム)|地域で組む申請の勘どころ
- 補助金の実施期間と後払い|立替資金とスケジュールの注意点
- 補助金の実地検査とは|採択後に来る検査と処分制限
- 補助金の返還リスク|採択後に続く「宿題」と返さない設計
