補助金の共同申請(コンソーシアム)|地域で組む申請の勘どころ

財務資料を確認するチーム
目次
  1. 補助金は、一社で申請するとは限らない
  2. どんなときに、組むのか
  3. 組めば、できることが広がる
  4. ただし、「一蓮托生」 ― 連携の重さ
  5. 成否を分けるのは、まとめ役

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。

補助金は、必ずしも一社で申請するものではありません。複数の事業者が手を組んで、一つの補助金に申請する。これを、コンソーシアム、共同申請といいます。

一社では届かない大きな取り組みも、地域で組めば手が届きます。観光の分野では、こうした共同の取り組みを後押しする補助金が増えています。ただ、組むことには、独特の難しさもあります。今回は、共同申請の良いところと、気をつけるところ、そして成否を分けるものについてお話しします。

▶ この記事でわかること
  • 補助金は、一社で申請するとは限らない
  • どんなときに、組むのか
  • 組めば、できることが広がる
  • ただし、「一蓮托生」 ― 連携の重さ
  • 成否を分けるのは、まとめ役

補助金は、一社で申請するとは限らない

握手するビジネスパーソン

補助金というと、一つの会社が申請するものと思われがちです。ですが、複数の事業者が連携して、一つの事業として申請する形があります。これを、コンソーシアムや共同申請と呼びます。

多くの場合、代表となる一社、いわゆる幹事を立て、その幹事が全体を取りまとめて、事務局との窓口になります。ほかの事業者は構成員として加わり、それぞれが役割を分担します。参加する事業者の間では、役割や費用の分担を定めた協定を結ぶのが一般的です。

どんなときに、組むのか

経営の打ち合わせ

では、どんなときに組むのか。一社だけでは難しい、大きな取り組みをするときです。

たとえば、地域の宿が何軒か集まって、共同で予約のしくみを入れる。旅館と飲食店、体験を提供する事業者が組んで、地域ならではの旅行商品をつくる。一軒では規模が足りない、あるいは一軒では完結しない取り組みも、複数で組めば形にできます。

観光では、増えている とくに観光の分野では、地域ぐるみの取り組みを求める補助金が増えています。観光客を地方へ呼び込む事業や、地域全体の受入環境を整える事業では、はじめから、複数の事業者やDMO(観光地域づくりの法人)が連携することを条件にしているものもあります。一社で完結する事業より、地域で組む事業のほうが、国の狙いにかなう、というわけです。

組めば、できることが広がる

組むことの良さは、何といっても、一社では届かない規模や広がりに、手が届くことです。役割を分け合えば、それぞれの得意を持ち寄れます。設備に強い事業者、集客に強い事業者、体験を提供できる事業者。地域の力を束ねることで、一社では描けない事業が描けます。補助の対象となる経費や、評価の対象も、参加する全体へと広がります。

共同申請のチームを、どう組むか
― 誰を、どんな基準で集めるか。顔ぶれは、事業の趣旨で変わる
① 体制の一例 ― 食を核にした地域周遊の旅行商品づくりの場合
補助金の事務局
申請・報告の窓口(国・事務局)
▲ 窓口は一本化 ▼
まとめ役(幹事・代表)
全体を束ね、役割を割り振り、事務局の窓口になる
=特定の一社に偏らない、中立の調整役が望ましい
▼ 役割を分担して参画 ▼
宿泊 ホテル・旅館
滞在の核。泊まる場所と、もてなし。
飲食 料亭・レストラン
地域の食の体験。献立や食事の場。
生産者 農家・酒蔵・漁業者
食材と、その背景の物語。蔵見学など。
体験 ガイド・工房
まち歩き、ものづくりなどの体験。
交通 二次交通
駅から宿、周遊の足。送迎・周遊バス。
販売 旅行会社・OTA・DMC
商品を実際に売る窓口。ここが採択の鍵。
DMO・自治体
地域の取りまとめと、信頼の裏づけ。
「作る」だけでなく「売って、続ける」ことが重視されるため、販売の担い手(旅行会社・OTA・DMC)を最初からチームに入れることが、採択の分かれ目になります。
② 事業の趣旨によって、関わる相手は変わる
顔ぶれは、補助金と事業の趣旨で決まる
どんな連携が評価されるかは、申請する補助金によって変わります。①の顔ぶれに加えて、次のような相手との連携を評価の対象とする事業もあります。まず事業の趣旨を定め、そこから逆算して、必要な相手を選ぶのが順序です。
大学・学識経験者
調査・研究、効果の検証、監修、人材育成。学術的な裏づけが求められる事業で。
工芸家・アーティスト(クラフト/アート)
地域の工芸や芸術を活かした商品・体験づくり。文化資源を活かす事業で。
建設会社・設計事務所・デザイナー
施設の整備や改修、空間や商品のデザイン。ハードの整備やブランドづくりを伴う事業で。
金融機関
資金面の裏づけ、事業の実現性の担保。地域ぐるみの大きな事業で。
メディア
情報発信、広報、認知の拡大。発信や販路の開拓が柱になる事業で。
③ 誰を入れるか ― 5つの選定基準
1
事業の趣旨に必要な役割が埋まっているか
何をする事業かによって、必要な相手は変わります。趣旨から逆算して、欠けている機能を埋めます。
2
実際に活動する主体か
名前を貸すだけ、人数合わせはいけません。実際に手を動かす相手で組みます。
3
全員が要件を満たすか
一社でも要件を欠くと、申請そのものが通らないことがあります。
4
信頼できる相手か(一蓮托生)
一社の不備や目標の未達が、全体の返還責任になります。誰と組むかは慎重に。
5
中立のまとめ役がいるか
参加者の一社が仕切ると都合が偏りがち。公平に束ねる調整役がいると、話がまとまります。
図は共同申請の体制の一例です。評価される連携先・必要な役割・参画事業者数は、補助金の制度や事業の趣旨によって異なります。まず事業の趣旨を定め、それに合わせて体制を設計してください。申請の前に、各制度の公募要領でご確認ください。

ただし、「一蓮托生」 ― 連携の重さ

いっぽうで、組むことには、相応の重さがあります。いちばん心に留めておきたいのは、共同申請は一蓮托生だということです。

一社の問題が、全体に及ぶ 共同で申請する以上、参加する事業者は、全員が要件を満たしている必要があります。そして、もし一社に不備があったり、約束した目標、たとえば賃上げのような要件を達成できなかったりすると、その責任が、組んだ全体に及ぶことがあります。場合によっては、全体で補助金の返還を求められることもあります。誰か一社の問題が、組んだみんなにのしかかる。これが、共同申請のいちばんの怖さです。

さらに、事務の負担も増えます。複数の事業者の足並みをそろえ、意思を決め、書類を集める。一社で進めるより、調整に手間も時間もかかります。連絡の行き違いや、認識のずれも起こりがちです。だからこそ、誰と組むかは、慎重に見極める必要があります。

成否を分けるのは、まとめ役

では、共同申請を成功させるものは何か。突き詰めれば、まとめ役です。

複数の事業者を束ね、役割を割り振り、足並みをそろえ、事務局との窓口になる。この取りまとめがうまくいくかどうかで、事業の成否が決まります。とはいえ、参加する事業者の一社が、この重い役回りを背負うのは、簡単ではありません。本業を抱えながら、ほかの事業者の分まで面倒を見るのは、大きな負担です。それに、参加者の一社が仕切ると、どうしても、その一社の都合が前に出やすくなります。

ご相談を受けてきた中での私の所感ですが、地域で組む話は、まとめ役が定まらないまま、いつのまにか立ち消えになることが少なくありません。誰がどこまでやるのか、利益や負担をどう分けるのか。ここを最初に決めておかないと、途中でほころびます。

私どもは、特定の事業者と利害関係を持たない、中立の立場です。どこかの一社に肩入れすることなく、地域の事業者を公平に束ね、役割や負担の整理、計画づくり、事務局との手続きまで、まとめ役の推進役としてお手伝いできます。中立だからこそ、まとまる話があります。

さいごに

いかがだったでしょうか。補助金は、一社で申請するとは限りません。地域で組めば、一社では届かない大きな事業に手が届きます。ただし、共同申請は一蓮托生。誰と組むか、そして誰がどう取りまとめるかが、成否を分けます。

弊社アルファコンサルティングでは、中立の立場から、地域の事業者をつなぐ共同申請の組み立てや、計画づくり、取りまとめまで、推進役としてお手伝いしています。

補助金の活用について、初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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