事業再生と補助金|補助金で会社は立て直せない

財務資料をレビューする様子
目次
  1. 補助金は、再生の「主役」ではない
  2. 補助金は、赤字の穴埋めには使えない
  3. 苦しいときこそ、後払いと立替が重い
  4. それでも、再生に補助金が活きる場面
  5. 順番を、間違えない

こんにちは。ホテル旅館コンサルタントの青木康弘です。

業績が苦しい。資金繰りが厳しい。こんなとき、「補助金で何とか立て直せないか」と考える方は、少なくありません。ですが、はっきり申し上げます。補助金で、会社は立て直せません。

補助金は、事業再生の主役ではありません。今回は、事業再生と補助金の、本当の関係についてお話しします。長年、再生のご相談を受けてきた経験から、率直にお伝えします。

▶ この記事でわかること
  • 補助金は、再生の「主役」ではない
  • 補助金は、赤字の穴埋めには使えない
  • 苦しいときこそ、後払いと立替が重い
  • それでも、再生に補助金が活きる場面
  • 順番を、間違えない

補助金は、再生の「主役」ではない

経営の打ち合わせ

事業再生の本丸は、二つです。一つは、収益力を取り戻すこと。もう一つは、金融機関との関係を立て直すことです。

再生の成否を分けるのは、突き詰めれば、減価償却を引く前の営業利益、つまり、本業で生み出せるお金がどれだけあるか、です。これが十分にあれば、金融機関も、返済の条件をゆるめたり、場合によっては借入金の一部を減らしたりといった支援を、前向きに検討してくれます。逆に、ここが細ければ、どんな計画も説得力を持ちません。借入金の大きさそのものより、稼ぐ力があるかどうかが、見られます。そして、補助金が、この本丸を肩代わりすることは、ありません。

補助金は、赤字の穴埋めには使えない

補助金と事業計画の検討
運転資金や返済には、出ない ここを誤解している方が、とても多いところです。補助金は、赤字を埋めるためのお金でも、借入金を返すためのお金でも、日々の運転資金でもありません。補助金が出るのは、新しい設備への投資や、新しい事業など、前を向いた取り組みに対してです。「苦しいから補助金で穴を埋める」ということは、できません。

むしろ、補助金は、前向きな投資を後押しするものですから、足元の資金繰りが苦しい局面とは、相性が良くないことも多いものです。

[図解]補助金が使える場面・使えない場面
使える(前向きな投資)
設備投資/再生計画に位置づけた投資/再生費用そのもの
使えない
赤字の補填/運転資金/借入金の返済

苦しいときこそ、後払いと立替が重い

補助金は、後払いです。事業が終わり、検査を経て、ようやく支払われます。それまでは、かかった費用を、全額、自分で立て替えます。

資金繰りに余裕のあるときなら、立て替えられます。ですが、再生が必要なほど苦しい局面では、その立替が、大きな負担になります。補助金をあてにして投資を進めたものの、入金までの資金が続かない。これでは、かえって資金繰りを悪化させます。苦しいときこそ、補助金の後払いという性質が、重くのしかかります。

それでも、再生に補助金が活きる場面

では、再生のときに、補助金はまったく無縁かというと、そうではありません。活きる場面が、二つあります。

一つは、再生計画の中に位置づけた、設備投資です。業績の苦しい施設は、たいてい、必要な設備投資が後回しになっています。そして、設備の古さが、さらなる客離れを招く。客が減るから、ますます投資ができない。この悪循環に陥っている施設が、少なくありません。とくに、水回りのように、お客様の満足に直結する部分に、問題を抱えたままの施設が、多く見られます。

この悪循環を断つには、設備投資が欠かせません。そこに、補助金を活かせる余地があります。ただし、再生の局面では、順番があります。資金が不足し、金融機関への返済が滞っていることも多い以上、自分の判断だけで設備投資に踏み切るわけにはいきません。まず、経営改善計画などを策定し、その中に、なぜその設備投資が必要なのかを、はっきりと位置づけます。そのうえで、金融機関や、中小企業活性化協議会といった支援機関の理解と承諾を得て、進めていきます。補助金の活用も、この計画と承諾の枠組みの中で、はじめて実現します。

再生の費用そのものに、補助が出ることも もう一つ、意外と知られていないことがあります。事業再生には、財務や事業の調査、計画づくりに、専門家の費用がかかります。数百万円になることもあります。実は、この再生にかかる費用そのものに対して、公的な補助が出ることがあります。地域や条件によっては、費用の全額から3分の2ほどが補助されることもあります。公的な機関を活用すれば、信頼できる専門家を紹介してもらえることもあります。苦しいからこそ、こうした制度を、上手に使うことです。
図解:事業再生と補助金
― 補助金は再生の主役ではない。できること・できないこと
① 補助金で「できること」と「できないこと」
✕ 補助金では、できないこと
赤字の穴埋め
借入金の返済
日々の運転資金
=「苦しいから補助金で穴を埋める」はできない
◯ 補助金で、できること
計画に位置づけた、前向きな設備投資
再生にかかる費用(調査・計画づくり)
条件により費用の全額〜3分の2が補助されることも
=前を向いた取り組みに出る
再生の本丸は、収益力を取り戻すことと、金融機関との関係を立て直すこと。補助金は、その脇役です。
② 業績不振が招く「設備投資の悪循環」
業績が苦しい
必要な設備投資が後回しに
設備が古くなる(とくに水回り)
お客様が離れる
さらに業績が悪化 ↻ 最初へ戻る
断ち切るには、設備投資が要る
ただし、資金不足・返済の遅れがある中では、自分の判断だけでは進められない → 次の順番が要る
③ 再生で、補助金を活かす順番
1
経営改善計画を策定する
その中に、なぜその設備投資が必要かを位置づける。
2
金融機関・中小企業活性化協議会の理解と承諾
資金不足・返済の遅れがある以上、支援機関の枠組みの中で進める。
3
補助金を活用して、設備投資を実行
計画と承諾の枠組みの中で、はじめて実現する。
補助の対象・条件・補助率は、補助金の制度や地域によって異なります。再生の進め方や金融機関・支援機関との対応は、状況により変わります。早めに専門家にご相談ください。

順番を、間違えない

大切なのは、順番です。まず、収益力をどう取り戻すか、金融機関とどう関係を立て直すか。この本丸に、正面から取り組む。そのうえで、計画に沿った前向きな投資や、再生の費用に、使える補助金を活かす。この順番なら、補助金が、再生をしっかりと後押ししてくれます。

逆に、補助金を入り口にして、補助金が出るからこの投資を、と考えると、本丸を見失います。補助金で、会社は立て直せません。立て直すのは、収益力と、金融機関との信頼です。

長年ご相談を受けてきた経験から申し上げると、再生の計画は、専門家に任せきりにせず、経営者ご自身が納得して関わることが、何より大切です。社外に約束する計画ですから、達成できなければ、責任を問われるのは経営者です。

私どもは、特定の業者と利害関係を持たない立場で、再生計画づくりの支援、財務の見通しの作成、金融機関が求める計画の水準への理解、そして信頼できる専門家のご紹介まで、お手伝いします。

さいごに

いかがだったでしょうか。補助金は、事業再生の主役ではありません。赤字の穴埋めにも、借入金の返済にも使えません。再生の本丸は、収益力を取り戻すことと、金融機関との関係を立て直すこと。補助金は、その計画に沿った前向きな投資や、再生の費用を、後押しするものです。順番を間違えなければ、補助金は、再生の力強い味方になります。

弊社アルファコンサルティングでは、事業再生の計画づくりから、財務の見通し、補助金の活用、専門家のご紹介まで、中立の立場でお手伝いしています。苦しい状況こそ、早めにご相談ください。打てる手は、早いほど多くあります。

事業再生や補助金のご相談は、初回無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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